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塔の管理をしてみよう  作者: 早秋
第2章 塔の運営を開始しよう
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(3)召喚術

よろしくお願いします

 召喚術。

 それは術者が望む対象を、呼びだす術である。

 ここでいう対象とは、生物無機物を問わない。

 術者の力量が高ければ、理論上はどんな物でも呼び出すことができる・・・らしい。

 ここで注意しなくてはならないのは、召喚術は対象を呼び出すだけ呼び出して終わりということもできる。ということは、術者自身よりも強いものを呼び出した場合、召喚時に何の制約もしてないと、呼び出した物に術者が倒されてしまうこともありえる。

 それ故に、召喚術とは召喚と制約がセットになっている。

 制約とは、すなわち契約であり、基本的には術者が上位者になるように、召喚する際に術にそういう契約が組み込まれている。

 ただし何事にも例外はある。

 それは、すでに召喚する対象が術者と契約を結んでいる場合だ。考助の場合は、コーがそれに当たる。

 ミツキに連れてこられたコーは、召喚契約をする前にすでに主従契約を結んでいた。主従契約の後で召喚契約を結んだ形になる。

 どちらの場合も召喚者が、被召喚者にとっての上位の存在になるというのが、召喚術なのだ。

 ・・・・・・その、はずである。


「・・・で、コウヒ、ミツキ・・・これはどういうこと?」

 考助は目の前の光景を一旦見なかったことにして、コウヒとミツキに問いかけた。

「何か問題でもありましたか?」

「ごめんなさいね。私も考助様が、何を言いたいのかわからないわ」

 本気でわからないといった様子の二人に、考助は一度天を仰ぎ見て、もう一度召喚術について反芻した。

 何度反芻しても目の前の状況になる要素はなかった。

 それなのに、なぜか考助の目の前で二人の男女が傅いていた。

 この二人は先ほど、コウヒとミツキがそれぞれ召喚した者達だ。

 男性がワーヒド、女性がエクと名乗っていた。

 召喚術の規則に則れば、考助に対してではなく、それぞれコウヒとミツキに対して傅くはずなのだ。

「いや、なんでこの二人がこうなってるのかな・・・と」

「・・・・・・ああ!」

「・・・それは、簡単です。召喚者は被召喚者にとって上位者。その召喚者である私達は、主様の眷属。二人が主様に傅くのは当然です」


(・・・え、当然なの!? ・・・そうか、当然なのか・・・・・・)


 コウヒとミツキどころか、召喚された二人共がその話を聞いて頷いているのを見て、考助は深く考えるのを諦めた。

「ふーん。そうなんだ。それじゃあまあ、よろしく」

 考助のその言葉に、目の前の二人はさらに深く頭を下げた。

「・・・はっ」

「よろしくお願いします」

 これから一緒に過ごすのに非常に硬い感じがするが、それを一々改めるのはやめておいた。

 なにせ、コウヒとミツキの計画では召喚はこれっきりというわけではないのだから。


「それはともかく、今回の召喚は彼らで終わりじゃないんだよね?」

 予定では、コウヒとミツキでそれぞれ三人ずつ計六人を召喚することになっている。

「それなんだけれど、ちょっと予定と変わって、一日一回の召喚になりそうだわ」

「・・・どうもクリスタルからの力の補充が上手くいかないのです」

「・・・へ? そうなの!?」

「ええ。補充自体はできなくはないんだけれど、クリスタルの中の魔力をうまく取り出せないのよ。クリスタルから直接取り出すと、どうしてもロスが発生するようね」

「私たちが直接取り込んで使うよりも、塔の管理で使用したほうが効率がよさそうです」

 二人の言葉に考助は、腕を組みながら考えた。

「・・・・・・なるほど。ということは、今日からこっちで使い切ったほうがいいのかな?」

「そうですね」

「そっちの方がいいわ」

「了解。じゃあやってみたいことがあるから、そっちで使うことにする」

 召喚された二人は、コウヒとミツキに任せることにして、考助は塔の改変を行うことにした。


 ♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦


 考助が考えているのは、冒険者たちに各層に出てくるモンスターを討伐してもらって神力を獲得するということだ。

 問題はどうやって冒険者をこの塔に呼び込むかということだが、最初は転移門ですぐ塔まで来れる、ということを売りにすることができるだろう。

 だが考助は、それだけでいいとは思っていない。

 そもそもセントラル大陸にいる冒険者たちは、この世界の平均レベルからすれば高いところにいる人の割合が多い。

 初級クラスのモンスターが出てくる層が四十層まで続くのは、レベルの高い冒険者にとってはうまみが少ない。一つ一つの層が非常に広いこの塔ではなおさらである。

 セントラル大陸では街から多少奥に入ったところに、中級クラスの魔物がたくさん出てくるので、今のままだとわざわざこの塔で稼ぐ必要がないのだ。

 ではどうするか。

 考助は、管理メニューである機能を探していた。


(・・・・・・あった! これだ!!)


 目的の機能を見つけて一安心する。

 これができなければ、計画が崩れてしまう可能性もあったのだ。


 名称:階層交換

 設置コスト:10万pt(神力)

 説明:任意の二つの層を入れ替える。


(高っ!! ・・・くはないか? これが無くて、一から環境を作り変えることを考えたら、まあまあいい値段か・・・。といっても今残ってる神力だと、予定通りにするには足りないなぁ。どうするか・・・)


 層を一回だけ入れ替える分には問題ないが、いくつか入れ替える予定だったので神力ptがいくらあっても足りなくなってしまう。

 とりあえず<階層交換>は保留にして、ほかの機能を探してみる。


 名称:転移門(階層指定)

 設置コスト:1万pt(神力)

 説明:転移先の層を任意で指定できる転移門。指定できる層は一層のみ。往復、一方通行設定可。


「・・・・・・これだ! ・・・あっ、ごめん」

 思わず声を出してしまい、傍にいたコウヒが驚いた表情を向けてきたので一言詫びを入れた。

 とりあえず層の誘導に関しては、この<転移門(層指定)>で何とかなりそうなので、さっそく設置していくことにした。


 とりあえず村を作る予定の第五層を基準に、動線を作ることになる。

 第一層から第六層まではそのままにしておいた。

 第六層に<転移門(階層指定)>を一つ設置して、第四十一層に繋がるようにしておく。

 次に第四十五層に<転移門(階層指定)>を一つ設置して、第七十一層に繋がるようにする。

 最後に第七十二層に<転移門(階層指定)>を一つ設置して、第七層に繋がるようにした。

 続いて第六層と第七層に挟んだ階層を飛ばすように設定する。第四十層・第七十層にそれぞれ<転移門(階層指定)>を一つ設置して、第四十六層・第七十三層に繋がるようにする。

 これで、転移門の設置はとりあえず終了する。

 今のままでは塔の動線の管理が面倒になるので、第六層・第四十層・第四十五層・第七十層・第七十二層にもともとあった一つ上層に向かう転移門を撤去した。

 ちなみに撤去にはptはかからなかった。残念ながら獲得もしなかったが。

 ついでに第一層と塔の外をつなげる門も閉鎖できるので閉鎖しておいた。

 これで転移門関連の作業は終了して、動線は以下のようになった。


 第一層(外部閉鎖)~第五層(村予定)⇔第六層⇔第四十一層~第四十五層⇔第七十一層⇔第七十二層⇔第七層~第四十層⇔第四十六層~第七十層⇔第七十三層~第百層 

 ※「~」は一層ごとに⇔(往復)で繋がっている。


 ついでに毎日各層から回収される聖力・魔力が勿体ないので、どうにかできないか確認したところ、各層からクリスタルへの接続を切る項目があったので、第七層から第四十層のクリスタルへの接続を切っておいた。

 余ってた聖力・魔力はどこへ消えてたんだろうと疑問に思ったが、考えても答えが出なさそうだったので、考助は途中で考えるのを止めたのだった。

珍しくコウヒとミツキの計画通りにいきませんでした。たまにはこういうこともあります。


次話は明日20時更新予定。

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