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VRスローライフ。  作者: 丸井気宇
二章 AI少女との冒険。

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第10話 決着。

「がっ……!」


「私、AGIには自信、あるんだぁー」


「……やっぱり速い……!」


またしても攻撃を食らってしまった。

もうなるべくダメージは避けたいが……


「手応えからしてぇー…」

「残りHPは三割……ってとこぉー?」


(なんで分かるんだよ……)

……ルシファの言うとおり、私の残りHPは三割ほどだった。


「こっちも……!」

「『(りん)』!」

燐。盾を仮想化することが条件の盾使い専用スキル。

盾が実体化されるまでの二十秒、STG、AGI、DEF、LUKの数値が二倍になる。


「初めて聞いたスキルだにゃー…」

「まあ関係ないんだけど、ねっ!」


「ぐっ……!」

また攻撃を食らった。

しかし、DEFが二倍になっているため、ほとんどダメージはなかった。


「はぁぁぁっ!」

(今度はこっちの番……!)


相手の足元へと一気に距離を詰めた。


──────…………


私達は、攻略を再開した。


長く休憩を取った私達の体力は、すっかり元気になっていた。


「それにしても、どこまで行けばボスとエンカウントするんだろう」


「とにかく、先に進むしかなさそうね」


──…

「なんか、明らかにボス部屋っぽい扉だ」

少し進んだ先に、重厚感のある明らかな扉があった。


「ほんとね、開けたらブ○ブンでもいるんじゃないかしら」


「入ってみよう〜…。」


「ふんっ……」

「あ、意外と軽い」


扉を開けると、眠っている黒竜がいた。


「あれが邪竜?」


「なんか、『守護者の天空城』の神竜と対象的なカラーになってるような〜…。」


黒いボディに紅い目……

神竜とは本当に真逆だった。


「言われてみれば、確かに……」

「名前も神竜と同じオシリスだし、意図されてるのかもね」


「あ!邪竜が起きるよ!」


すると、勢いよく扉が閉まった。

おそらくは、ボス戦開始の合図だろう。


『ギャアァァァ!』


「神竜は喋ってたけど、こっちは喋らないのかな?」


「さあ?」

「倒してみればわかるわ、よッ!」


──────…………


「はぁぁぁっ!」


ここからは、単純にSTGの勝負…… と言いたいとこだけど、多分それは無理。

ルシファが何レベかは知らないけど、おそらくは五分五分くらい。

つまり、何かしらの策が必要。


────一か八か、盾を使って殴る。

これが咄嗟に思いついた苦肉の策というやつだった。


「『三日月』ッ!」

ダメージなんか期待してなく、ただの目くらましだ。


「もうそれはッ!」

「見飽きたよォ!」


全ての斬撃をかわしたルシファは、距離を縮めてくる。


三……

「アハハハァ!」


二……

「もう諦めなぁ!」


一……

「諦める?」


ゼロ……!


「そんなこと、するわけないじゃん!」


実体化した盾を、迫ってくるルシファと衝突するように前へ突き出した。


「これで……!」

「どうだあぁぁぁッ!」


「あ」

「用事思い出したから帰るねぇー」


ルシファは方向を変え、どこかへ消えてしまった。


「…………へ?」

「どういう、ことぉ……???」


──────…………


「やぁぁぁぁ!」

私の先制攻撃。


「ッ!?」

「ダメージが入ってない!?」

そう、邪竜のHPはミリも削れていなかった。


「どういうこと!?」


「あ!邪竜の攻撃がくるよ!」


邪竜は、口から黒い炎を放ってきた。


「……ん?」

「邪竜のHPが、少し減ってる?」


「ほんとだね〜…。」


「……!ねえ二人とも、見て!」

「邪竜のHPがちょっとづつ回復してるわ!」


アイの言う通り、邪竜のHPは少しづつ戻っていた。


「もしかして……」

「マジックドレイン!」


マジックドレイン……?

ただMPをドレインするだけのスキルのはず…………

……MP?

──MPは魔法やスキルなどを使うことで消費されて、時間経過で回復する仕様のはずだ。

つまり……


「ルナ、私達もマジックドレインだよ!」


「マジックドレイン〜…?」

「あ…… そういうことか……!」


「「マジックドレイン!」」


三人がマジックドレインを発動して間もなく、邪竜のHPはみるみる削れていった。


邪竜のHPは、MPだった。


そうなると、なぜ第1エリアのメインダンジョンの報酬がこんな特殊な魔法なのかも辻褄が合う。

おそらく、このダンジョンを攻略するために考えられた魔法だろう。


───……


そしてマジックドレインを放ち続けて1分ほど。

最初のインパクトはどこへ消えたのか、あっけなく倒れた。


『ギィァァァァァ!』

という、絶叫音を残して消えた。


「……結局、喋らなかったね」


「結構あっけなかったね〜…。」


「まさか、あの魔法がこんなとこで使えるとはね」


「……そういえば、報酬なにかしら?」


すると、消えかけてる邪竜から一つのアイテムが出てきた。


「『破戒者の指輪』?」


「ふむふむ〜…。『破戒者の指輪』、任意のタイミングで邪竜を召喚し、使役することができる……」


「邪竜を……使役……」


「多分ナーフはされてるだろうけど、それでも十分強いアイテムだと思う〜…。」


邪竜を使役できるということは、空を飛ぶこともできるのだろうか?


「今日は疲れたし、明日にでも使ってみよう────」



──────………


「ルシファ、随分と遊んでいたみたいだな」

「玩具もいいが、あまり夢中になりすぎるなよ」

そう言いこいつは、強く私のことを睨んできた。


「ちっ…… わぁーってるっての」

「次のギルドバトルで…… 確実に仕留めるから」


「そいつが次のギルドバトルに出場するという確証はあるのか?」


「んぅー…… 確定要素は、ないかなぁー」

「でも、彼女…… いや、彼女達は出るよ、絶対」

「私の『勘』が、そう言ってる」


「……そうか」


誰だか知らないけど、あいつ、あの女は。

私が…… 必ず殺す。



──────────────────────


・燐

二十秒間盾を仮想化する代わりに、STG、AGI、DEF、LUKの数値が二倍になる盾使い専用のスキル。


・破戒者の指輪

邪竜を召喚し、使役することができるアイテム。

いつでも召喚できる。

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