4-32 春日山の巫女
春日山の巫女
春が来た。
保倉川の小屋で起き上がり、オヤジがよしっと声を出して、歩き出した。直江津王国の神殿に向かった。
「宰相殿、来ました。」
オヤジは顔を知られており、執務室に向かって挨拶を済ました。
「戸隠の巫女様には、事前に知らせてあります。春日山の巫女様をお連れできます。よろしいでしょうか」
宰相は、応を促し、巫女を呼んでくるように家来に話していた。王がオヤジに聞く。
「戸隠の巫女はなんと申しておったのか?」
「巫女様は、春日山は、縄文巫女の血筋なれば構わぬ。と、申しておりました。しかし、昨今、周りが騒がしく、直江津王国の後ろ盾が欲しいともおっしゃておりました。如何でしょうか?」
王は、ビックリして宰相を促した。
「ほう、後ろ盾とは、どのようにあすれば良いのか?オヤジ殿、教えてくれ」
「はい、後ろ盾であれば、戸隠に、人を送り、護衛の任をするしかないと思いますが、どうでしょうか。」
「護衛か、、、それはどのくらいの人数が必要か?我らには戦う兵のようなものは無いからのぉ。」
「兵という事は必要ないです。戸隠の小屋は大きい、小屋が湧水のある場所に何重かに重なっています。そこを2人程度で警護すれば良いと考えます。縄文では無いことなので、それだけで良いと思います。秋の収穫の米を少しばかり、融通していただければと思いますが如何でしょうか?」
王はその程度なら、巫女の力をつけるためじゃ、構わないだろと、宰相に大きく頷いて、促した。
「ははー、それでは人選して、明日の出発という事で如何でしょうか」
王は、大きく頷き、春日山の巫女を待った。直ぐに、巫女が来た。
「父上様、お召しにより参上いたしました。」
王は困った顔をして、
「巫女よ、お父様じゃない王だぞ、しっかりしてくれ」
巫女は気にしない様子で、オヤジを見ていた。あの時の巫女ではなかった。時が経ち、別な娘を巫女にしたのか、、、オヤジは頭を下げて、礼を尽くした。
「我が春日山の巫女じゃ、よろしく頼む。」
王が仕方ないなと付け加えた。
「巫女よ、よろしく頼むだけでなく、よろしくお願いしますだろ」
巫女は反省するでもなく、父である王を睨見つけていた。
オヤジは、こりゃ困った娘が来たな、大丈夫がと感じていた。
次の日、警護の2人が決まり、巫女と侍女を数人つけて、戸隠に行くことになった。
オヤジたちの足なら夕方には着くが、1泊していく予定にしていた。
妙高に入ると山の道だ、遠くに見える山を目覚めし、森の奥の適当な所まで来て休むことになった。
春日山の巫女は、疲れた顔で焚き火にあたっている。侍女たちがあれよ、これよと面倒をみていた。オヤジは、困ったと思った。
《こりゃ、戸隠に行っても修行にならないぞ、どうする、、、》
しかし、行くしかない。一晩過ぎて昼前には、戸隠に着くのであった。




