4-33 南の国の動き
南の国の動き
直江津王国では、田植えが始まっていた。
唄を歌いながら、腰をかがめる苗を土に押し込む。リズムをつけると、田植えも楽しい、お祭りのようであった。
春日山の巫女たちは、戸隠についていた。
「戸隠の巫女様、春日山の巫女でございます。何卒、よろしくお願いいたします」
オヤジは、学習は出来るんだなと、思ったが不安は変わらなかった。
戸隠の巫女が、返事をした。
「おお、警護の人間とお米をこんなに沢山、ありがたい。春日山の巫女よ、お主たちは、縄文巫女の血筋、ゆっくりと、この里で、縄文を教えてやろうぞ」
佐久の巫女が来た時はとは違い、小屋の横に少し大木の小屋を作っていて、春日山の巫女は、侍女とともに入って行った。
オヤジは不安は、伝えず、とりあえず、直江津王国に戻り、始末を報告し、保倉川の小屋に戻っていった。
佐久の巫女は、婆様と話していた。
「婆様、春日山の巫女は、自然の力を見分ける事が、できるでしょうか?」
婆様は高笑いして、巫女に返した。
「巫女よ、お主は自然の見る力を持っておるのか?」
巫女が、気が付き、顔を横に振る。
「そうじゃ、見る力なんぞ、ありゃしない。自然の理を知ることしかないのじゃ、そんな見る力を得る方法なんてありゃしない。戸隠では、縄文の暮らしをさせるだけじゃろうて、は、は、は」
「では、宰相様を騙したのですか」
「それも違う。縄文の力は暮らしの中にあるんじゃから、上手く修業が続けば、期待もできるが、お姫様なんだろう。どうだかな」
巫女は、春日山の巫女を知らない。オヤジ殿がいるんだから、大丈夫だよな、、、と思うのであった。
保倉川では、夏の海風が吹いていた。南に移動するグループが戻ってきていた。
「オヤジ、帰ったぞ、また数日頼むよ。」
すっかり、中継となった小屋の中で皆はワイワイし始めていた。
「南の国の動きが酷くなってきた。力で縄文を平地に引き入れ、無理やりの感じが酷い。縄文の者たちは夜になれば、山に戻り、今度は深く隠れてしまう。上手くいってない」
「ほう、それで」
「直江津王国の米を直接とるようになるかもな、これは我の想像だよ、は、は、は、、、」
不穏な陰を感じたオヤジだったが、愛想を使い、一緒に笑っていた。
戸隠では、春日山の巫女が、縄文の暮らしを続けていた。
戸隠の巫女には、春日山の巫女が、侍女を動かし、自分で暮らしを覚えるという事ができていない事に気が付いていた。しかし、どうすることも出来ないと、手を出せないでいた。
春日山の巫女は、それでも侍女のする事に慣れてきて、それなりに楽しく暮らしていた。
警護が2人、暑くなったか風に吹かれ、立っている。戸隠は、暑いといっても、高原の涼しさがあり、夏は過ごしやすい場所であった。




