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09話 父と子

 


「はじめっ!!」


  リュウゲンの掛け声と共に、グレンは最初から全快の雷光で身体を纏い、体勢を低し地を蹴った。爆発的な音が鳴り、あたかも飛ぶんでかのような速さでセンに迫る。

  真っ向からグレンに勝負するかのように、ガっと目を見開き漲る力を放つセンも体勢を低くし構えると、グレンの正拳を同じく正拳で返した。

  お互いの拳が衝撃波を出しぶつかりあい、センがそのまま押し込みグレンを弾き返した。コンマ数秒であったが、2人な時間はゆっくりと流れていくように感じていた。


  弾かれたグレンは一発目の勢いが殺されてしまったが、いつもより冷静であった。すぐ横に来たセンの蹴りを、雷光を多く纏わせた両手を交差させて防ぐ。

  想像以上の力で吹っ飛ぶグレンに追い討ちをかけるように走ってくるセンを、視線から外すまいと交差した腕の隙間から見る。

  (くっ、おもてぇ。調節出来てなかったら折れてたな......。次はどっちだ)


  迫ってくるセンは自分から目を離さなさいグレンに、あえて重心を右、左と交互に移動させフェイントをかけながら疾走し最後は右足で回し蹴りを放つ。


  もろに食らったグレンはまたも真横へとぶっ飛び背中から地面に叩きつけられゴロゴロと転がったが、途中で両手両足で地面を着き、地面に跡を付けながら勢いを殺した。


  センがどちらから来るか見当がつかなかったため、どちらにも対応出来るよう両手両足均等に雷光を纏わせていた。

  尚且つ吹っ飛んだことで空中にいたため、身体を丸めて左手と左足をくっつけた状態で盾のようにして凌ぎきっていた。

  立ち上がるグレンを見て、センはニヤリと笑い獰猛な目で視線を送る。あたかも今の数回のやり取りは調節のためで、もっと力を出してもいいと確認が取れたことが嬉しかった目つきであった。


「お、おい。何が起こってんだ......?」

「何で普通に戦えてんだよ?」

「なあ、グレンのあの、バチバチ言ってんのなんだよ?」

  グレンが立ち上がるまで、村の者は息をするのを忘れるくらいに2人の戦いに見とれていた。

  少しずつ声が聞こえてくるが、どれもグレンがやり合えていることに驚愕する声であった。


「ガハハっ、これは想像以上に愉快なことが起きてるなあ、!」

「お、おやじ、グレン兄すげぇえ、!」


「父さん......何でセンさんグレン兄さんの力に触れてるのになんともない、の、?」

「んー俺も多分問題ないかな。魔法ってイメージが重要だよね。今のグレンはどちらかというと守りのイメージが強いんだ。攻撃としてのイメージがまだ出来てないから、今のままだったら戦い慣れてる戦士には効かないな。あと宝具は一応魔力で出来た魔法であること、そして2次的効果は宝具を出せなくても得られる。ということは?」


「2次的効果は......。魔力がその効果を出してるって考えると、えーと、今のセンさんは魔力で覆われている?」

「正解。身体の中も外も強化してるみたいなもんなんだけど、単にセンの魔力の方がグレンよりつよいってことかな」


  ミナトの父親のカイトが言ったことは、グレンもリュウゲンとの鍛錬で分かっていた。それに加え攻撃に転じることが出来ないことや、自分の雷光の質がセンの2次的効果に負けていると感じていた。

(今の数回だけで、息が上がりそうだ。分かってはいたけど、やっぱり少しのダメージも受けてなさそうだな......)



「休憩は終わっか?お前が来ないならこっちから行くぞ」

 ダンっとセンは地面を蹴るとグレンに向かって正拳突きを繰り返し放っていく。

  圧倒的な力と繰り出される拳の量がグレンを襲った。1つ1つ丁寧に見極め流し、受け止める。後手に回ってしまい防戦一方な状況が続く。カウンターを狙うこともできず徐々にダメージが蓄積し反応が遅れていく。

 

「ぐはっ」

  何十回目かの撃ち込んだセンの拳がグレンの鳩尾に入り、後方に飛ばされ倒れる。

  (はっ、息が......)

  お腹を押え悶えているグレンは息をするのもやっとな状況であり、観戦していた者はこれで終わりかと思った時大きなグレンを呼ぶ声が聞こえてきた。


「ぐれんおに゛い゛さ゛まー!がんばれ゛え゛!!」


  エルが泣き声で声援を送ると、いつも一緒に鍛錬をしてきたアカシア達もそれに続いた。

「グレン兄!!がんばれえ!」

「グレン兄さん!立って!」

「グレン兄ならやれる!いけぇえ!」

「グレン!!立ちなさいよ!!負けるんじゃないわよ!」


  そんな懸命な子供達の様子を見た大人達も、無意識にグレンに声援をグレンに送る。


  それを聞いたグレンは膝に手を置きながら何とか立ち上がった。

(くっ。まだまだ、これから......。絶対にやり返す)


  バチバチバチとグレンから音が鳴り出し、爆音と共にセンに疾走し、センはそれを向かい打つ。お互いに何発も拳や蹴りを打ち混んでいく。

  (見ろ! 見ろ、見えろぉおお!!)

  内心で叫びセンの動きを無極めるよう目に集中していく。

  すると突然センの動きがスローに見え、顔スレスレの所で拳を避け、左足で踏み込みながら勢いを乗せた拳をセンの腹部に突き出した。それを受けたセンの身体からも少しバチバチと音を立てて後方に下がる。

  極限まで高めている雷光を、無意識的にグレンは目に纏わせることで目で見えているものと意識とのやりとりのスピードが上がっていたのだ。

「ぐっ、」

  とグレンからの拳を受け少し後方にスライドしていくセンは、初めてくぐもったり声をだした。



「ふん。中々いい拳だったか。俺のも見えてたみたいだしな。が、まだ攻撃のイメージが出来てないし、扱いきれていないな。今のくらいか?少し痺れたのは。そろそろお前、限界だろ?次、お前の出せる本気でこい」


  格上の相手であるセンに対して、ここまで戦えているの自分の限界以上の力を出しているためであった。センと対峙し、その圧力をもろに浴びているグレンは精神的にも削られており、体力や筋肉も悲鳴を上げていた。

(さすがに、もう一度殴りあったら死んでたな......。ふぅー。最後、あれやってみるか。父さんなら大丈夫だろ......)

 

  2人は間合いをあけ対峙する。

  グレンは目を瞑り、今までの宝具を出す時に見てきたイメージを膨らませていく。段々とグレンの周りから今までよりも身体から迸らせる力が強く、光と共に爆発的に膨らんでいく。

  そして身体を屈め、その膨大な雷光を右手の手のひらの中に凝縮し丸くボールのように形造った。今にも弾き出されるように、ブワッンブワッンと鼓動のように蠢く雷光を制御するグレンからは額の汗が滴っていく。


  (ほう。それが今のお前の最高か。ふんっ真っ向勝負と行こう)

  ニヤリと笑うセンは同様に体勢を低くし右手に力を込める。


  そんな2人の様子に焦りを覚えた戦士達は、それぞれ立ち上がろうとすると、目の前の地面から突如木々が突き出てきた。それが絡み合い壁を作くり観戦する者達を守る。

  ギョッと村の者達が驚く中、ほっほ、若いのう。と呟く声が聞こえていた。

 


「来い!!」

「死ぬなよ父さんさん!! 霆撃テイゲキ!! おらああああ!いけぇええええ!」


  グレンから放たれた雷光は唸りを上げながら地面に跡をつけながら飛んでいく。

  それを自分の拳をぶつけるセン。

「ぉぉおおおおお!!!」

  ぶちあったった瞬間爆発的な音と眩い光が辺りに広がり衝撃が周りに広がり、木の壁がミシミシと音を立て勢いを吸収していく。


「な、何が起こった......?」

  光が収まり木々が土へと消えると、そこには、上半身の服が無くなり半裸で仰向けに倒れているセンと、笑顔を浮かべ倒れるグレンの2人が見えた。

  辺りは物音1つない静けさが広がる。


 次第にセンから笑い声が聞こえてきた。

「くっはははは、流石にやばかったぞ?」


「はあ、バケモンだ......」



「ほっほっほ。盛大にやったのう......。皆の者よ、この勝負ここまでやったグレンの勝利とする!!」

  うおおおおぉと周りの者達から歓声が爆発する。


(まったく、真っ向から当たりに行くとはバカもんじゃのう)

(はっ、息子の本気を身体で受けのは、中々いいもんだな)

  リュウゲンとセンは目でそんなやり取りしていた。



  2人に駆け寄るレイ達家族と子供達。

「もう!!やりすぎです!!」

 とレイの叱る声が広がるのだっだ。

「ぐれんおにいちゃん!!ねー!おきてよ!」

「大丈夫、大丈夫だよ!エル!寝てるみたい」

 うわーんと大声で泣くエルにアカシアがなだめる。

 グレンは穏やかな顔で寝息を立てていたのだった。



  興奮が収まらない中辺りは少しずつ落ち着きを取り戻していく。そこでセンは土埃を払い、平然と立ち上がると話し始めた。


「あーなんだ、皆も見たと思うが、これが俺の息子の力だ。宝具が無くても一族の誇りと心はちゃんとある。これからも、見守っていて欲しい。よろしく頼む」


「ガハハ、当たり前だ。こんな事する前から分かっておったわ! もしこの中でまだ変な事を言うやつがいたら俺が相手してやるわ!なんだ?まだなんかあんのかセン」


「ああ。それとグレンから提案があってな。

 今決めたことで色々決めなきゃならんが......。


 来年から年の末に誰が強いかを決める模擬戦をやる事をここに宣言しよう!」


  センが大きな声で言うと辺りはまた爆発的な喧騒にのまれたのだった。

(ほんとにこの一族は戦闘狂だな。ああ、まだ身体が痺れてやがる)


  そんな声は山に巡回をしている戦士にも聞こえたほどだった。

  1番声を上げていたギランは今日は飲むぞぉぉと叫びそれに連なり他の者も続いていく。


「待ちなさい!!ちゃんと片付けをしてからにしなさい!!」

 とレイの声が響き、観戦していた屈強な戦士や村の者は首をすくめ、足早に片付けをするのだった。


「あとセンさん。私言いましたよね? 後でお説教ですからね?」

「ああ......すまん」

「もう!!」

  そんな長とレイのやり取りを見て村の者は笑い合うのだった。

「そう言えば、あの木の壁って何だったんだ......?」

  村の者の声もその笑い声でかき消されたのだった。

「ほっほっほ」



  ボコボコになった広場を片付け、それぞれは家や残りの仕事をしに帰路へとつく。


「おやじ......かあさん! ほんとに凄かった! 俺、もっと頑張る!だから俺に時々相手して欲しい」

「おれも、おれも!」

「ガハハ、ああ凄かったな。分かった、その代わり弱音を吐いたらそこでやめるからな?」

「弱音なんて吐かねぇ!サイガはまだ宝具も出してねんだから、ダメだ!」

「やだっ!!やるもん!」

 興奮しているコウガとサイガの頭を撫でるギランとその母親のアカネは穏やかな目で見てるのだった。




「父さん。母さん。僕、グレン兄さんに追いつけるとどこかで思ってたんだ。けど全然甘かったみたい。今のままじゃ離される一方なんだ......。だから僕と鍛錬して欲しい!」

「ははは、生半可な気持ちだったら無理だよ?グレンは今からでも見習い戦士として狩りに行けるくらいだからね。そうだなー、休みの日にやろうか、コテンパンにしてあげるよ」

「ふふふ、ミナトからのお願いなんだもん、私も相手してあげるわね」

 カイトと母親のヒスイは滅多にお願い事をしないミナトがそんなお願いをすることで嬉しくなったのだった。



「さっきからどうしたアリス。なんも話さないじゃないか」

「ほんと、さっきの見てびっくりしちゃったのかしら?」


「違うわ......。ただ実力が違いすぎて、2歳しか離れてないのに」

 そんな意気消沈なアリスに目線を合わせてレオと母親のアンナは話す。


「ああ、凄かったな。それほど努力してきたんだグレンは。アリス、あれはただの才能だけじゃないぞ。宝具が出せないことで苦しんできたグレンを傍で見てきただろ?なんと言われてもそれでも諦めずにやってきた賜物だ。けどアリスはどうだ?宝具を幼い時から出してからどこか余裕があったんじゃないか?」

「うん」

 ポツリと色んな感情から涙が流れる。


「アリス。私も昔は鍛錬をサボってしまう時期があったわ。私なんかより弱いと思っ待てね。けどね金髪の誰かさんにいつの間にか抜かされてたわあ。誰かに勝とうとするんじゃなくて、自分との戦いなの。今の気持ちにも勝って強くなりなさい」

「うん、自分に勝つわ! こんな事で凹んでられないもの!」

「おう!その意気だ! その誰かさんも今や金の獅子なんて言わてるからなあ!」

 と豪快に笑い、つられてぷっとアリスは吹き出すのだった。




 グレンはというとセンにおんぶされながら、自宅へと帰っていた。

 背中からから寝息が聞こえてくるグレンの重さにでかくなったと考え深かった。

 エルも泣き疲れたのか今はレイに抱っこされながら寝息を立てていた。


「お父さん!グレン兄凄かったね!やっぱり流石だなあ......!」

「ああ、まあ俺が本気を出したら一瞬だがなあ」

「まあ!息子に張り合うなんてもう」

「ははは、僕も頑張らないと。ほんと遠い存在だな」


「何言ってる、アカシア。お前もこれから俺と鍛錬するんだ。遠い存在じゃないぞ?グレンに負けるな。お前がこれけら1番張り合っていける才能があるんだからな」

「ほっほ。そうじゃ。アカシアよ。どこか劣等感があるようじゃが、お主もう2次的効果が出ておるんじゃろう?その年でもうそこまで行ったのじゃ。グレンも気づいておるしの。自信をもってすくすく育っておくれなあ」


  そんなセンとリュウゲンの言葉にびっくりしながら、褒められたことで顔を赤くする。そしてちゃんと見てくれていることに安心して少し涙が出そうになるのを堪えたのだった。




  次の日の朝、いつもの時間に目を覚ましたグレンは自分に巻かれている包帯と身体の重さに昨日の事を思い出す。

(はは、あの後ずっと寝てたのか。これはキツイな......自分の身体じゃないみたい。あーそれにしても楽しかったな、あんなに本気になって戦えるのは)


  気合いを入れたグレンは布団から起き、広間へと向かった。

「あら、グレン起きたのね。まだ寝てていいのよ?」

「ん?鍛錬行かないと」


「何言ってるのよ。そんな身体で鍛錬なんて。休むことも鍛錬の1つよ?」

「そうだね、分かった。今日はゆっくりしよーと。父さんも休み?」

「ふふ、お父さんは張り切って狩りの仕事に向かったわ。アカシアも早くに鍛錬に向かったわよ」

「げっ、流石だね。アカシアももう行ったんだ」

「アカシアもお父さんとグレンのを見て感じることがあったみたいよ?あ、グレンは寝てたけど来年の末に模擬戦やることになったわ。ほんと凄い喧騒だったんだから」

「うわっ!いててて、やるんだ!楽しみだなあ〜」

「あら、後で薬塗ってあげるわね、座ってなさいご飯用意してあげるから」


  広間で座っているとドタドタとエルが起きてきた。

「おはよー!ぐれんおにいさま!んーおきずだいじょぶかなー?」

  エルはグレンの周りを歩き傷を確認していく。

「おはよう。エル。グレン......。エルはずっと心配して泣いてたのよ?帰ってからも傍を離れないし」

「そっか。エルごめんね......」

「うん!ぐれんおにいさまがだいじょうぶならいいの!きょうはおやすみでしょー?」

「ありがとう。優しいねエルは。そうだよ、エルは今日爺ちゃんのとこで勉強かな?」

「うん! がんばる!」


  朝ご飯を食べたエルはリュウゲンの所に向かい、久々にグレンは家でゆっくりと本を読んだりと1人で時間を過ごした。


「ふあーゆっくり過ごすのもいいなあ〜。んー昨日咄嗟に出来たことだけど。目に意識すればするほど父さんの動きを視ることができたから、あの力が出来たら相当な力になるなあ......あと最後に使ってみた雷光を飛ばす技も初めてまぐれで出来たことだし。あぁ〜覚えることがまだまだ沢山ある」

  昨日の模擬戦の反省をしながらも、どこかその目はワクワクとした輝きを放っていた。

  昼過ぎにエルは帰ってくると、グレンと久しぶりにお話やおままごとをして遊んで過ごした。


  そうして時間が過ぎ、いつの間にか外は日が落ち始め、辺りは暗くなり始めていた。


「ただいま〜!グレン兄!身体はどう?痣だらけだったけど......」

「おかえり。充分休めたし、明日からまた鍛錬いくよ〜」

「はは、流石だね!みんな模擬戦見て今日も興奮してたよ〜気合い入れて鍛錬してた!」


「そっか、それは明日楽しみだ」

「昨日の途中で、グレン兄さん父さんの攻撃完全に避けてたよね?最後の凄かったし!」

「お、流石だねアカシア。あの時初めて出来たことだけど新しい技だね」


「え!すごいっ!」

  コウガやミナト、アリスは決意を新たにして、鍛錬を行っていたようだった。

  アカシアは昨日の模擬戦についてグレンに熱く語った。


  外が暗くなり、そろそろ夕食時にセンが帰ってきた。

「帰ったぞ」


「あら、おかえりなさい。センさんお風呂入ってきたらご飯にしますね」

「ああ。頼む」

「おとうさま!おかえりなさーい!」

  エルも出迎え、センに飛びつこうとするがひらりとかわされる。

「エル。魔物の血が着いてるから後で抱っこしてやる」

「えーー!もう!はやくはいってきてね!」


  広間に行き、ちらりとグレンを確認し問題ないことを確認すると風呂に向かっていった。


 

  今日の夕食は、魔物肉のシチューとパン、サラダであった。

  センが座り、エルがリュウゲンを連れてくると夕食が始まった。

「きょうもおいしいー!」

  いつものようにエルが料理を絶賛し、それにレイは笑っている。


「グレン。調子は良さそだな」


「うん。今日はゆっくり出来たからね。それより父さんの方こそ、狩りに行っても大丈夫なんだね」

「ああ、問題ない」


「そっか、良かったよ」

「まあ、そのなんだ......昨日、爺さんと母さんとも話してな。今回お前の力を見て、街に鍛錬しに行くことを許可しようと思う」

「え!いいの!!やったああ!ありがとう、父さん、かあさん、爺ちゃん!」


「え!!きいてない!エルきいてないよ!」

「僕も聞いてない!」

「やだああ!ぐれんおにいさまどこかにいくのやだあ!」

  泣き顔のエルとビックリしているアカシアの声が上がる。


「ほっほっほ、今回の模擬戦はただの勝負じゃなくてのう。グレンの力の使い方を学びに街に行けるか判断するための物じゃったのよ」

「ふふ、エルもアカシアも最初から聞いてたら嫌だって言うでしょ?それにちゃんと決まってから伝えようと思ってたのよ?」

 エルは涙を流し続ける。


「ごめんね、エル、アカシア。別に隠そうと思ってんじゃなくて、俺のわがままを父さんが受けてくれたんだ。この村では俺の力の使い方を学べないからさ。自分のために行くんだ。だから泣かないで」

「ふぇーん......いなくなっちゃうのやだあ!」


「エル。グレンはずっと街にいるわけじゃないぞ。ちゃんと帰ってくる」

「父さんの言うとり、時々行商の人と一緒に帰ってくるからさ!」


「グレン兄。な、何年も居なくなるの?」

「はは、そんないるつもりないさ。魔力の使い方を学んだら戻ってくるつもりだし。俺も頑張るからアカシアも頑張れ」

  ぽたぽたとエルは泣き続け、レイがそんなエルを抱きしめる。


「エル。グレンは遊びじゃなくて鍛錬のために行くの。一緒に応援しましょ?」

「すぐかえってきて!!やくそくして!」

「分かった。早く帰れるように頑張るね。エルも勉強頑張るんだよ。帰ってきた時に2人とも成長してるんだろうな〜?」

「も、もちろんだよ!グレン兄を抜かしてるかもね!」

「え、エルも頑張る!」

 

  そんな子供達を微笑ましく大人達は見守るのだった。

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