表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/62

ラーセ防衛戦...5

今回も何とか、土曜日投稿守れました。(汗汗)

なるべく、隔週土曜日で頑張ります!

また、読んでいただけると、大変うれしいです。

拙い文章力ですが、引き続き書き続けますので、よろしくお願いします。



ピチャッ・・ピチャッ・・・ピチャッ・・・・・・



雫が葉から零れ落ち、根を下ろす地を濡らしている。

そう・・・それが雨が降った後の雲間から差す、陽に照らされた光景であれば、暗くじめじめと鬱屈した気持も、その空の様に晴れやかになった事だろう。

だが、其処に広がっていた光景は、赤?紅?朱? つい今しがた迄は、それ以外の色も在った。 だが今は、ただ一色に染め上げられ---。


「ギィッ! グナッ!グナァッ!!」

「ギャギャッ、ギィ!?」

「ギュアアアアアァァァ・・・・・・」


魔物達は、恐怖に包まれていた。 おかしい・・・自分達は先程まで、これから行う破壊と殺戮に、狂気・・狂喜していた、はず・・・だっ、た。

それが、今は目の前の存在『ナニカ』に---。


「ふぅ~・・こんなモノ、か?」


その『ナニカ』は別に、急ぐ訳でも無く悠々と---。


次の瞬間には・・・頭が割られていた。 熟れたメーロ(メロン)の様に血と脳漿が飛び散る。

次の瞬間には・・・首が切断されていた。 別たれた頭は足元を(スパエラ)の様に転がり、吹き出した血は辺りを朱に染め上げる。

次の瞬間には・・・上下に胴が別たれていた。 切断面から零れ落ちた臓物を、絶命しなかったモノが掻き集め藻掻く。

次の瞬間には---。


繰り返し繰り返し、身体が分断され、磨り潰され、姿形を失っていく・・・その光景を見ても、そんな状況の中でも、動くことが出来ない以上、そのまま見続けるしかない。

決して身が竦んでいる訳ではなく、知能が低くとも、殺す、喰う、犯すと、本能に・・衝動に従い行動してきたが、自分たちの身に起こっている事、それは理解出来ない・・・それが更に恐怖に拍車を掛け、恐慌状態に陥り喚くがどうにもならない。

そして今犠牲になっている同族の・・そう同族の殺戮が終われば、次は自分達の、番だと---。


・・・・・・もう数え切れない程・・いや、数えるのが馬鹿々々しい程、辺りは魔物死骸と、飛び散った臓物、撒き散らされた汚物の饐えた匂い、吹き出た血の臭気等に満たされ、辺りは薄く血煙で霞んでしまっていた。


其処には、全身を血に染めながら、銀と青に彩られた一匹の獣が---。


そんな魔物の事を気に留める事なく、『ナニカ』は次の獲物を見据え。


「ナンダゴデハ! ナンダゴデバァァァッ!?」

「・・・・・・」

「グリュゥゥゥアアアッ! グムッ!グゥゥゥッガァッ!!!」


苛立ちから咆哮を上げるも、それに応えられるモノも居らず、己が身が自由にならず、目の前の事も解出来ない。

巨人族が苛立つのも無理はなく、既にゴブリン、オルクスの大半は無く。 オウガーもその殆どが、死に絶え残った一部も、その高い生命力から生きているだけ---。



◆◇


あ・・・・・・あれ? あれだけ居た魔物が・・・ん?歩き難いな。



ピチャッ・・ピチャッ・・・



うぇっ! 何でこんなに地面が血濡れて・・って、辺り一面死骸だらけじゃないか?!

誰がこんな・・えっ? 何で俺の手が・・・いや、装備や服も血で真っ赤じゃないか!?

血濡れた手やその他を見ていると---。



ブブッ・・ブルブルブルブル・・・・・。



装身具(祝祭)が、振動してい、る? 振動は、徐々に大きくなっているような---。



ガタガタガタガタ・・・・・・・・・・・・カチャッ。



何かが外れた様な音がし、僅かに継ぎ目の様な箇所が---。



キィィィイイイイイインンンンッ・・・・・・・・・。



「ぐあっ! ひぅあぁぁぁっ!!」


頭が割れそうな音に、脳味噌を掻き回される感覚の中、意識が奈落の底に沈み・・そう、に---。



ドクンッ!



腕輪の装身具(祝祭)の継ぎ目から、黒い痣が侵食するかの様に広がり。 霞みがかった意識の中---。


『げらげらげら・・・ふぅふぅ、んふぅ~~。 散々、邪魔されていたが、やっと繋がった』

『何やら面白い瞬間に、くひゅ、くふふふふっ・・・・覗けたようだなぁ~。 あ~~~はははっ、あははははははははははは』

『奴め・・・奴め奴め奴め奴めっ! はぁはぁはぁ・・防いだつもりだろうが、詰めが甘いのは変わってないなぁ~』

『ぶふぅ! これで、楔を入れられた。 次は・・こちらの番だ』


”ナニカ”は嘯く。



◆◇



その『ナニカ』は突然奇声を上げ、頭を掻き毟って歩みを止めている。

それを如何受け取ったか分からないが、苛立ちが怒り取って代わった巨人族は、自由にならない身体を無理やりにも動かそうと---。


「グルルォォォォッ!!」


「煩い・・・」



ヒュンッ!(ドサッ・・・)



何かが落ちる音がし、動く視線だけを音のした方へ向けると、其処には人族を掴んでた左手が、そう己が左手が肘から無くなり、足元に転がり落ちて---。


「!? ギュオボォアァァァァッ!!」


「いちいち煩い奴だな。 黙れ、よ?」


「・・・・・・(ぞくっ!)」


自分は強者のはず、全てを蹂躙するのは当然の権利! それが、それが・・・腕を切り落とされたばかりか、ただの人族に、ただの人族に! 睨まれ、口を噤んでしまった。

何たる屈辱かっ! 許さん、許さん許さん許さんぞっ!! 意識がひとつに塗りつぶされ---。


「グロァァァァッ! ユヅザン、ユヅザンゾボォォォォッ!!」


その時、陽は中天に到り、濃く伸びていた影が僅かに---。


「グロァ? ボフゥ~! ゴアァァッ!!!」


動かせなかった身体が、僅かに動かせる。 動き出せばその膂力と突進力を持って、目の前の『ナニカ』等簡単に押し潰し、磨り潰し、欠片も残すものかっ!

巨人族は怒り狂って襲い掛かり、僅かに残されたオウガーも、それに追随し『ナニカ』に肉薄して行く。 が、巨人族の大ぶりな一撃・・・それは余りにも力任せな一撃で、辺りには土煙が舞い上がり、その場の視界を奪ってしまった。


「ブフゥゥ~~・・・ゴフォゴフォッ! ビダガッ!ビンジャグダビドゾクベッ!」

「「「グゴゴゴッ!」」」

「ザバッ! バジボジデイヅッ、バヤグラーディグズザマ゛ドボドベッ!」


巨人族もオウガーも貧弱な人族なんぞ、『今の一撃で潰した』と・・そう思っていた。

が、現実とは非常なもので---。


「煩いっ!」


『ナニカ』・・いや、ジークが冷静に、冷徹に、手を横へ薙いだ。



%制・貞#(テ&@ラ▼テ$*ア)・・・暴食(グラ)



土煙が晴れない中、ジークに襲い掛かったオウガーは、両足を失いその場に倒れ伏す。


シャァ――――ッ・・・


鞘から静かに、剣が抜き放たれる。



▲気・@毅(ア#$キ%)・・・憤怒(イラ)



両足を失い藻掻くオウガーの元へ、ゆっくりした足取りでジークは近づく。

次の瞬間その頭と胴は、永遠の別れを告げ・・絶命した。

如何に生命力が高くとも、そうなっては生きていられない。


「ボイッ! ナデダバデエイヅ!」

「・・・」

「オバエダジッ! ナジボ---」


土煙が徐々に晴れてきた其処には、叩き潰した筈の『ナニカ』が此方を見上げている。

そんな、そんな筈は・・ない。 あってはならない! その視線を受けた巨人族は、深淵からくる恐怖に全身を震わせ、瞬間『逃げよう』と考える。が、ラーディクスに抱く畏怖に---。


「グウゥゥァァァッ!!」


抱いた恐怖を押さえつけ、その拳で再度襲い掛かる。 その時には、驚異的な再生能力にて、失った左腕も既に癒えている。 万全の一撃・・そう、一撃---。


「失せろ・・・」



◆◇


ラーセ南門近く---。


「ん? ヴィ、何してるさねぇ?」

「あ、え、ええ・・」

「ぼーっとしてたら、置いてっちまうさねぇ~」

「わ、分かってるわよ・・」

「さ、ヴィさん。 い、行きましょう」

「う、うん。 ターニャ・・ありがと」


宿屋から出た私達は、アイノに先導され南門へと向かっている。 私とターニャ、コゥは離されないように、お互い身を寄せ手を繋ぎ歩いている。 門に向かうにつれ道々は、人で溢れて---。


「ジークさん・・が、気になります、か?」

「う、ううん・・・」

「き、きっと、だ、大丈夫。 そう、大丈夫ですよ!」

「・・・」

「だ、だって、あんな凄い力を、あっ!」


慌てて口元を押さえ、辺りを気にするターニャ。 直ぐ後ろで私達を守ってくれてるオーロフも、殺気立った人並みに意識を割かれていて---。


「大丈夫よ。・・・この喧騒だもの」

「で、でも・・ご、ごめんなさい」

「謝る事じゃないわよ・・・」


更に南門に近づくにつれ人混みでごった返し、殺伐とした喧騒に辺りは包まれていた。


「おいっ! 邪魔だっ! どけよっ!」

「何だとっ! お前こそっ!」

「煩いっ! 儂を、儂を先に通せっ! か、金ならいくらでも・・・」

「黙れよっ! 今更金なんて、何の役にも立たない!」

「お、お願いよっ! こ、子供が居るの! は、早く出して!」

「知るかっ! どけっ!」

「あっ・・・」

「うわぁ~~ん。 おがあぢゃ~ん・・・」

「早く行けよっ!」

「ま、待って! 置いてかないでおくれぇ!」


方々の体で街の外へと、退避しようとする人々。 そこに秩序は無く、一斉に門へと詰め寄り、他者を押し退けてでも、我先にと縋っていた。 そんな中でもまだ出入りは制限されてない、けど・・・それも時間の問題、よね。


「ほら、こっちさねぇ」

「あっ、うん」

「は、はい。 コゥ、手を離さないでね?」

「うん・・・」

「オーロフ! 離されないように、3人を守っとくれよぉ?」

「分かっとるわい! あっ、こら! くっ付くんじゃない!」

「任せたさねぇ」

「だから、分かっとる!」


徐々にだけど、門に近づくと兵士が---。


「コラッ! お前達、戻れ!戻れっ!! もう、門は閉めるんだっ! 魔物が入って来るだろうがっ!」

「うるせえっ! 早く出しやがれ!」

「だから! お前達が居ては、魔物を防ぐ為に門を閉めれんのだ!」

「そんな事、知るかっ! 街の中に居るよりも、他所へ逃げた方が---」

「なっ! き、貴様らっ!!」


人の流れに乗りながら徐々に兵士の方に近づくと、声高に叫んでいた兵士が---。


「ん? そこのお前達!」

「・・・」

「おいっ! お前達だっ!!」

「ん~~、あたいらかい?」

「そうだっ! お前達以外に---」

「何さねぇ? こんだけ沢山人が居るんだ。 普通、あたいらとは思わないさねぇ」

「ぐぅ・・う、煩いっ!」

「それより、さっさと外へ出しとくれさねぇ」

「なにっ!? お前達、その身なりなら、冒険者じゃないのか!」

「だったら、どうだって言うんさねぇ?」

「どうって・・街を守るのが、お前達の役目だろうがっ! それを---」


顔を真っ赤にして、怒鳴り散らす兵士---。


「あ~~、あたいらは、この街の冒険者じゃ無いさねぇ」

「こっ---」

「それに守るなら、兵士であるあんた達さねぇ」

「しか---」

「煩いねぇ。 用事がそれなら、あたいらは此れで失礼するさねぇ」

「まっ、待て---」

「ほらっ! あんた達、行くよっ!」


門兵とのやり取りを流し、流れに乗って門の外へと---。

その時、私とターニャ、コゥの腕輪が、淡い光を放ち始め、温かな想いと、暗く冷たい塊の、複雑な感情が---。



◆◇



『!?』

『・・・あれ? 此処は・・どこ?』


先程まで人混みに揉まれて---。


『あれ、は・・女の子?(ううん。アレは・・コボルト?)』


不思議な感覚・・不思議な空間で、一人佇む---。


『ねえ?』

『・・・』

『何で・・そんなに悲しそうなの?』

『・・・』

『何処か・・痛いの?』

『・・・』


問いかけても返事は無い。


『あなたは---』


再度声を掛けようとすると、悲し気な顔で此方を見、ある方向を指さし---。


『ジー・・・』



◆◇



「はっ!! だ、だめ・・駄目よっ! ジークッ!駄目ぇーーーーーーーーーーーーっ!」

「「ヴィ、ヴィ!?」」

「「・・・」」


急に意識が覚醒し、周りの目も気にせず、私はその場で力の限り叫んだ。



To be continued...

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ