ヒンダルフィヤ山脈...6
何とか、土曜日投稿守れました。(汗汗)
なるべく、隔週土曜日で頑張ります!
また、読んでいただけると、大変うれしいです。
拙い文章力ですが、引き続き書き続けますので、よろしくお願いします。
月明かりも消え始め、僅かに空が白み始めた中、薄暗闇の中で影が動く。
「う゛うぅんん~~っ」
「ジーク---」
「ん゛? あ゛あぁ、ブレナン起きたかぁん゛ん゛~(コキコキッ)」
凝り固まった体を解しつつ、起きて来たブレナンに答える。
山脈手前で一夜を明かした俺達・・・まあ、一夜を明かしたと言っても装備を外したり、多くは持ち歩けない荷物を解いたりと、安穏とした休息を取っていたわけでは無い。
当然、見張りに立つ者は言うまでもないが・・・それ以外の者は、温かくなってきたとは言え、まだまだ夜の冷え込みは厳し中、暖を取る為に火を熾す事は出来ないので、各々なるべく体を寄せ合って寒さを凌いでいた。
「そろそろ、夜明けが近いな」
「う゛んん! そうだな」
「ジーク、すまないな。 見張り番ご苦労」
「ああ、気にするな。それより---」
「そうだな。 おい、皆準備しろって・・・ふっ、大丈夫みたいだな」
最後の見張り番として起きていたジークと、ブレナンがやり取りしている中、既にメンバーも起き出して各々、装備品の確認や固まった体を解していた。
「それじゃ、朝闇に紛れて、さっさと山脈へ入るか」
「あいよっ」
「あ゛、ああ、そうだな(ぶるっ)」
「ぼそぼそ・・・・・・」
「まあ、近隣を探索したら、今日の内に帰還する。 そのつもりで行くぞ?」
その場に居た者は、その声に首肯して応える。
◆◇
所変わり、ジーク達が居る場所から、ヒンダルフィヤ山脈を挟んで反対側---。
「ぶろろろろぉぉぉ・・・・・・」
「「「グギャ、ギャギャッギャッギャ!」」」
「「「ブモブモブモッ、ブフォ~~~ッ」」」
「「「グロロロロッ!」」」
「「「キィーッ、ギャギャギャッ」」」
まだ日が照らぬ闇の中、無数に蠢く魔物達の咆哮が、其処かしこに響いていた。
オウガー・ミーノータウロス・ゲーリュオーン・オルクス等々、巨人達に交じって種々雑多な魔物達が犇めきあう中、一際目を引く単眼と巨躯が特徴の---。
「グギョッ、ギャギャッ! ラ゛ディグズザマ!ザマッ!」
「う゛どぅざいぞぉぉっ、ずごじばじずがにじど!」(訳:うるさいぞっ、少しは静かにしろ!)
「グギィッ! ボウジワゲ、ゴザマゼ、グゥギャ!」
「ぞろぞろ、ぞろっだぎょうだがだな゛。 ばがげんぞぐどぼよぉ! べざばりな゛う゛じむじどものずべぶがう゛ぞぉ」(訳:そろそろ、揃ったようだな。 我が眷属共よっ! 目障りなウジ虫共の巣へ向かうぞ)
「ザ、ザギュデ、ゴザバズ」
闇の中魔物達の匂いに交じり、濃密な血の臭気が辺りを漂っている。 夜目が利く者が見たら、その場に胃の中の物を戻していた事だろう。 其処彼処に食い散らかされた、嘗て人だったモノの五体が無残に散らばっている。 光を失った目からは恨めし気に、己が身の不幸を嘆くかの様に、血の涙を垂らし・・・。
「バババッ! ヅガバエダボドデバ、ダ、ダジナギ・・・ダ、ダグザン、ダベ、ダベデヅ、グギャッ!!・・・・・・」
巨腕が振るわれ、興奮していた一体が吹き飛び---。
「ぶむぅぅっ、ばでどばなじぼぎいでだどがっ! づばびぐいぼ、ぞでぐだいじじでおげ! ごのばどでだらぶぐみだぜばがぼどがっ! ばが、ばがげんぞぐぎょっ!」(訳:ぶむぅぅっ、我の話を聞いてたのかっ! つまみ食いも、その位にしておけ! この後でたらふく満たせ馬鹿者がっ! 我が、我が眷属よっ!)
「「「ギョギョギョッ、ギャッギャッ!!」」」
「「「グボボボッ、グォォォォッ!!」」」
「ばれ゛でがおぶじぎょがいだだいだごのぎがい。 ごのぎがいじじっぎょに、おろがなびどぞぐを、あ゛のむじどもぼぜんめづずるのだ!」(訳:我らが王に許可いただいた機会。 この機会に一挙に、愚かな人族を、あの虫共を殲滅するのだ!)
「「「「ブオオォォォォッ---------!!」」」」
闇夜を劈く様な咆哮が響き渡り、鬼眼の氏族長 『ラーディクス・デュル・ユミル』 彼の者に率いられる群れが、全てを飲み込もうと山脈の向こう側へ向け---。
◆◇
「ふぅ~・・・ここまでは問題無いが---」
「静かだねぇ~~」
「まったくだ。 多少とも、魔物の気配があるはずだが---」
「そうだな・・・静か過ぎる」
山脈へと侵入した俺達だったが、鬱蒼と茂る樹木の中を山頂に向け進んでいた。
「おかしいな? いくら俺達や他の冒険者が討伐したからと言って---」
「だなぁ・・・本来はこの辺りは奴らの住処だ」
ブレナンもオーロフも、現状に違和感を感じているが---。
「議論しても始まらないさねぇ~。 もっと、先へ進むかねぇ~?」
「・・・そうだな。 このままじゃ、何も分からないままだしな」
「あいよ。 あんた達、遅れないよう付いといでぇ~」
「ああ」
「分かってるわよ」
「はい」
「う、うん・・・」
日が中天に差し掛かる頃には麓から中腹辺りまで辿り着き、周囲に見える樹木は麓よりも幾らか疎らになりつつあった。 が、それでも先々を見通すには邪魔な程度は茂り、見通しの良い山頂付近から俺達の姿を隠してくれていた。
警戒しながら進むのは精神的に疲れるが、山頂から吹き降ろす風によって匂いが風下へと流れる為、匂いによって相手に先に気取られる心配は無かった。
「やっぱり、おかしいな・・・」
「ああ、ここまで気配と言うか、生き物の呼吸が感じられないとはな・・・虫すら居らんぞ」
「・・・オーロフ、アイノ、スヴェン、此処までだ。 俺達の存在を隠す物も、ここから疎らになる・・・撤退するぞ」
「そうだな・・・」
「あたいも、賛成さねぇ~」
「ぼそぼそ・・・・・・」
余りにも生き物の気配が無さ過ぎる・・・異常過ぎる状況や、そろそろ辺りも低木の茂みや岩々が在るだけで、身を隠せる場所が少なくなってきた事等から、ブレナンの言に従って撤退する事に---。
「しっ! まて・・・」
ブレナンの声に、一気に緊張が走った。 視線の先を追うと、山頂から人型をした何かが近づいてるようだ。 近づいて来る何かはまだまだ離れているのに、陰影だけで大きさが伺い知れ---。
「スヴェン、俺に魔術を掛けろ」
「ぼそ・・・分かった。 世界の根源たる真名よ、恵みの源・照らし育む光よ。 織りなす糸は色彩を湛え、彼の者へ彼方を見通す眼を与えん。 解放! 遠視光」
スヴェンが小声で何かを呟き、杖の先をブレナンの蟀谷へ当てると---。
「おいおいおい、何の冗談だよ。 ありゃ・・・・・・」
そう呟いたまま固まったブレナンに、そっと近づき顔を見ると青ざめ、大粒の汗が頬を伝い落ちていった。
「・・・・・・はっ! おいっ!今すぐぅっ---」
振り向き声を張り上げかけた瞬間、急に言葉を噤んだと思ったら小声で、視線を先程の方向へ向けたまま---。
「・・・アイノ。 ちょっと来てくれ」
「何だい、何だい?」
視線を外す事無く、小声で何か伝えると---。
「良いな? 分かったな? 分かったなら先行して、俺達から見て左へ、大きく逸れろ。 ほらっ!急げ」
「あ、あぁ、わ、分かったさねぇ」
「決して木や岩の陰から出ず、一直線に谷合を目指すんだ。 そしたら、谷合沿いに山を下り、ラーセに向かって全力で戻れ、周辺の警戒なんか必要ない。 万一魔物と遭遇しても、牽制だけして逃げ続けろ。 良いな?」
何を伝えたのかは分からないが、アイノは首肯して応えると、一瞥し直ぐに移動を開始した。
「オーロフ、お前も後に続いて行け。 理由は・・・後でアイノに聞け。今は脇目も振らずに、アイノの後を追え。 良いな?」
「わ、分かった・・・この後の事に、わしは足手まといみたいだな」
「分かってるなら、さっさと付いていけ。 ヴィちゃん、ターニャ、コゥ、お前達も続け」
「あ、えっ・・・うん。 わ、分かったわ」
「は、はい。 さっ、コゥ行こ・・・」
「う、うん・・・・・・」
ブレナンに言われたままに、ヴィ達もオーロフの後に続いて---。
「さっ、ジーク。 行こ?」
「すまないがジークは、俺達と少し残って居てくれ」
「分かったわ。 ジーク・・・後で、ね?」
「ああ・・・ヴィも気を付けて」
「うん・・・じゃ、ね」
「・・・」
ヴィ達が離れて行くのを見送り---。
「スヴェン、すまない。 魔術を解いてくれ・・・」
「ぼそぼそぼそ・・・・・・」
視線を外し此方を向くと、幾分落ち着きを取り戻したブレナンが---。
「すまん。 少し、取り乱した---」
「あ、ああ、良いさ。 で、な、何を見、いや、何が見えたんだ?」
「・・・魔物の大群と・・・・・・巨人族だ」
「!? きょ、巨人族・・・」
「まだ、距離がある事と、樹木に紛れている事、それと山からの吹き下ろしで、俺達の存在は知られる事は無い、だろうが・・・奴らの進行方向を考えると、真っ直ぐラーセに、そう・・・ラーセに向かうだろう」
「・・・」
確かにまだ距離は十分に離れているし、今なら此処を安全に離れられる。 なら---。
「だったら俺達もアイノ達に続いて、急いでラーセに戻ってこの事を報告---」
「いや・・・俺達はあいつらと、反対方向に向かう」
「なっ! まさかっ---」
「馬鹿、お前まさか俺達が囮になって、何て考えたんじゃないだろうな? 囮になって死ぬなんざ、俺の柄じゃないんだよ。 アイノにはこの事を街に伝える事と、ヴィちゃん達を少しでも安全に、連れ帰れと伝えてある。 最悪、報告したら街を離れろとも、な」
「だ、だったら---」
「奴らの向かう先は、さっき言った通りで間違いない。 奴らは幾度もラーセに、攻め込んで来ているんだからな」
「・・・」
「大丈夫だ。とは言えないが、スヴェンの魔術とお前が居れば・・・兎に角、少しでも奴らの戦力を把握し、街に伝える事が出来るのは俺達だけ、だろ?」
「ぼそぼそ・・・ぼそ・・・・・・」
「だよなぁ。 さっすがスヴェン様様だっ! あはっ、あはははっ(苦笑)」
ふぅ~~、仕方が無いな。 まあ、アイノとオーロフが付いてるし、ヴィ達も戦えない訳じゃないんだから、街までは無事に着ける、だろう・・・って、此処で心配しても何も出来ないしな。
「分かった。 じゃっ、さっさと行動を開始しよう」
「だな。 生きて帰るぞ?」
「当然だ。 そっちこそ、死ぬんじゃないぞ?」
「なぁ~に、生意気な事言ってやがる(苦笑)」
「ぼそ・・・・・・」
「はいはい。 んじゃ・・・行くぞっ!」
To be continued...
新たな展開が始まりますが、頭の中で動いてる彼ら次第です。
・・・(汗汗)




