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姉弟…7

面白いと思っていただければ幸いです。

評価やコメントも頂けると、今後の励みになります。

拙い文章力ですが、引き続き書き続けますので、よろしくお願いします。


宿屋の裏側から表に回り、一階の酒場に4人連れ立って入る。

まだ客が誰も居ない酒場は、奥の方で忙しない音だけが響いてる。

まだ準備中のようだけど、ちょうど奥から女将さんが顔を出した。


「おやっ? こんな早くからお客さんかい?って、ああ、あんた達かい。 昨日はゆっくり眠れたかい?」

「朝食を頼みたいんだが、早すぎたか?無理なら後で出直すが―――」

「早い事は早いけど、まあ問題ないよ」

「そっ、そうか、じゃあ頼みたいんだが」

「あいよっ! ん?そっちの二人は見ない顔だね」

「あぁ、えっと、この二人は―――」

「ああ、いいよ。 で、何にする?って言っても、まあお任せになるけど良いかい?」

「あ、ああ、それで人数分頼むよ。 ただ、重めより、軽めの物中心で」

「ん? そうかい? 朝からしっかり食べないと力が出ないって、まあ、そこのお二人さんにはその方が良いかも知れないねぇ。 まっ、少し待っといで、直ぐに出したげるよ」


そう言うと、さっさと奥に引っ込んで行った。


「さて、じゃあ空いてる席に適当に座って・・・っ!!」


や、やばい、やばい、やばいぞっ!!


「ちょっ、ちょっと待った!」

「っ!? なっ、なによっ! きゅ、急に大きな声出して―――」


ちょうど座ろうとしてたヴィから、抗議の声が上がるが・・・。


「あ、ああ、いや。 今から話すから、座るの待ってくれ」

「? え、えぇ・・・でも、どうして―――」


急に大きな声を出したから、女将さんが此方を覗いているが、手を振って問題ないと告げておく。

少し小声にして・・・。


「あ~、あのな。 二人とも、昨日の事は覚えてるか?」

「昨日って・・・」

「途中から、氷の上を歩いたよな?」

「え、ええ、理由は分からなかったけど、そう、だったわね・・・」

「理由は、二人の見た目はそうだけが・・・ごほんっ!体重は”そのまま”だからだ」

「えっと・・・それが?」

「それがって・・・お前達がこのまま座ったら、机や椅子に床はどうなると思う?」

「それは・・・・・・あっ!」

「そう、木で出来てる机や椅子は壊れ、床は抜けるよな」

「じゃ、じゃあ―――」

「うん。 だから、ちょっと待っててくれ」

「うん・・・」


さてと・・・。


信仰・忠実(フィデス)!力を貸せっ!』

『我らが主よ。 想いに応え(与え)ん』


意識を集中し真名(ルーン)を、(ヴィータ)の光を感じる。

木と言う事は、土に関連してるだろう。

さて、机や椅子、床に意識を向け、重量を増やさず、固くするよう想像(イマージン)してっと・・・これでどうだろう?


「っし、待たせた」

「えっ、いや、待っては、ないんだけど―――」

「ん? そうか? さて、うまくいったと思うが、ちょっと床を踏んでみてくれ」

「あ、うん・・・」


ギィイイ・・・キシキシィ・・・・・・。


お、おお! 多少音はするけど、何とか大丈夫そう、だよな?(汗汗)


「な、なんとか、大丈夫そうだな」

「えっと・・・」

「ああ、気にするな。 さあ、座って待とう」

「う、うん・・・」


机も椅子も多少軋む音はするが、壊れる気配は無さそうだな。

さて、食事が出てくる間に、少し話でもしようかな。


「あ~、これからだけど---」

「はいよっ!待たせたねぇ」

「っ!?」

「さあ、さあ! しっかり食べてっとくれ!」


ドン、ドンドン、ドン!・・・


!? えっ、と・・・さっき頼んだばかり、だよな?あれ?

頼んでから殆んど待ってないぞ?でも、目の前には食欲を刺激する香気と、湯気を上げる品々が並べられていく?!

其々の前には、オリュザ()と根菜や野菜を煮込んだ物、野菜屑が入ったイュース(スープ)、他にスース()(?)かスイーラ()(?)の、固まり肉を焼いて切り分けた物に、ラク(牛乳)(?)、パニス(パン)カーセウス(チーズ)、木の実等が大皿に盛られて並ぶ。

お任せとは言ったけど、朝から多すぎじゃないか? ま、まあ、町で働く者、畑仕事をする者、冒険者も例外なく、朝からそれなりの量を食べている。 これは一日の始まりであり、この後労働に従事するにも、それだけ食べておく必要があるからで―――。


「さあ、さあ、冷めないうちに、食べちまっておくれよ?」

「あ、ああ・・・じゃ、じゃあ、食べようか」


ま、まあ、話は食事の後でゆっくりすればいいか、まずは目の前の温かい食事をいただこう!

食事に手を伸ばそうとしたら、あれ?ターニャもコゥも固まってるな。どうした?


「? 二人とも、どうしたんだ? 早く食べないと、せっかくの食事が冷めるぞ?」

「あ、えっと・・・」

「うん? さあ、腹が減ってるだろ? いいから喰えって」

「あの、い、いいの・・・食べても?」

「? なんでだ? 食べる為に人数分頼んだんだ、駄目なわけないじゃないか」

「いや、でも・・・(ぐぅぅきゅるるる~~~)」

「ほら、お前の腹は正直だぞ?」

「っ!!・・・・・・」


どうしたんだ? 腹は鳴ってるんだから、おかしい事は何も無いはずだが?

俯いてどうした? 顔も赤いようだし・・・厩で寝たから熱でもあるのか?


「ちょっ! ジ、ジークっ! もう少し言い方に、気を遣いなさいよっ!」

「ん? 何がいけないんだ? 温かいうちに、食べろって言ってるだけだぞ?」

「だ・か・ら! 二人は遠慮してって、ああ、もうっ!」

「いやいや、ヴィこそ料理に視線釘付けで、何を怒って言ってるんだ?」

「なっ! そ、そんな事ないわよっ!!」


ふむ、ヴィは何を怒ってるんだ? 遠慮?何それ?美味しいの?お腹張るの?


「何を言いたいのか分からんが、いいからほら!さっさと食べるぞ」

「ちょっ―――」


ヴィが何か言ってるようだけど、気にせず冷めないうちにっと、まずはオリュザ()と根菜や野菜を煮込んだ物から一口・・・・・・はわぁ~~、オリュザ()のぷちぷちした食感と、根菜のホクホクした感じに、野菜の優しい甘さが相まって、ああ、まだ温まってない身体を芯から温めてくれるぅ~~。

視線を上げると俺が食べ始めた事で、恐る恐るといった感じ?で、ターニャもコゥも食事に手を伸ばし口に運んでいる。


「ふぅ~ふぅ~はむっ! はぁ~~~、はわぁぁ~~~・・・」

「あ、あちっ、はふっはふっ、ふぅ~ふぅ~・・・」

「・・・・・・」

「ふぇ、ふぇえちゃん! ふぉ、ふぉいふぃよ~~、あ、あふぁふぁかいよ~~」

「こらっ!コ、コゥったら! 口に物を入れならが喋らないの! で、でも・・・うん・・・美味しい、ね。 温かい、ね・・・(ぐすっ)」


ああもう、喋る度にオリュザ()が飛んでって、泣きながら食べるなよな。 ああ、鼻水がって、ま、まあ、とにかく食べてくれれば良いか。

漸く食べ始めた二人を横目に見つつ、俺はさて―――次は肉にいくか!


おふぉぉっ! しっかりした食感と、噛んだ瞬間に滲み出る肉汁と脂っ! それにこの、食欲をそそる数種類のコンディーメントゥム(香辛料)が、胃袋を刺激して食欲増進だなっ!


このラク(牛乳)もほんのり甘くて、良い感じで口の中の脂や香辛料を、洗い流してくれるのが良いな。

この甘さって、メル(蜂蜜)が入ってるのかな?

さて、次は何を食べようって、あああっ!ヴィ!!おまっ―――。


そらから暫くの間は、咽び泣きながら食べる二人と、無心に食べるヴィと取り合いながら、目の前の食事は次々と各々の胃袋に収まっていく、ひと時の幸せな時間が過ぎて行った。


「ふぅ~~、もう入らないな(げふぅ~~~)」

「(けっぷ)そ、そうね」

「・・・」


そうねって、ヴィは食べ過ぎだろう・・・と、此処で余計な事を言うと藪蛇だろう。

さて、お腹も張ったし、人がまだ居ないうちに、ちょっと話をするかって・・・やけに静かだな。


二人に目をやると・・・・・・おっふ、机に突っ伏して寝てる?!

ま、まあ、あの倉庫で聞いた話や、これまでの事、そして昨日の事、温かい食事を食べたことで、緊張の糸が緩んだんだな。 まっ、まあ急いで考えても仕方ないし、今は少しでも休ませてやるか。


「寝ちゃったね・・・」

「ああ、そうだな。 まあ、状況が状況だからな」

「うん・・・」

「ヴィさ」

「なに?」

「これから、どうする?」

「どうするって・・・」

「はぁ~、二人の事だよ」

「えっ!・・・その二人って、いや、あたしとジークは、まだ、あの、知り合って間もないって言うか、その・・・・・・」


ん? なに言ってんだ? てか、なんで”もじもじ”してるんだ?


「はぁ~、あのなぁ~。 何考えてるか知らんが、ターニャとコゥの事だぞ?」

「えっ! あぁ・・・そ、そう!そうよっ! わ、分かってるわよ」

「本当か?」

「そ、それは・・・ごにょごにょ―――」

「ふぅ~・・・まあ、いいや。 まず俺としては―――」


其処からはヴィと話しながら、俺自身も考えを整理していく。


1.二人の身分証が存在しない(街への入街もしていない・・・奴隷としてはあるが、これが無ければ、今後の行動に支障が出る)

2.ブレナン達へ二人をどう説明(紹介)するか(てか、そもそも紹介する必要があるか?)

3.説明(紹介)した場合に、二人をどうするか(パーティーに加えることは出来ない、だろうな・・・)


てか、1.が一番問題なんだが・・・さてさて、どうしたものか。


◆◇


それから昼頃まで、二人が起きるのを待ったが・・・全然起きる気配が無い。 二人を揺り起こし、酒場を一旦後にする。 ってか、昼時で客が増え始めた中で、そのまま居続けることが、ね?

腕を組んで、女将さんが・・・。


寝ぼけ眼の二人を連れて酒場を後にし、冒険者登録の為にギルドへと向かう。 目的は、身分証だ。

まだ騒がれては無いようだが、そろそろ街中が騒がしくなってくるはずだ。

それまでに既成事実を作ってしまおう。 と言うかそもそも、身分証が無ければ街を出るにしても、滞在するにしても、色々と都合が悪いことばかりだからな。


で、登録自体は、まあ、簡単に済ませれた。 問題?無い無い。 それにブレナン達が、まだ居なかったも良かった。 んで、問題なのは次なんだよな・・・ギルドを出て、一旦人気の無い所に移動する。


「さて無事に、冒険者として身分は確保したが・・・問題点が一つある。 それは、二人がこの街に入った事実、それが今のところ無いと言うことだ。 これがどう言う事か、二人は分かるよな?」

「え、えっと・・・」

「いいか? これから街中が、騒がしくなる。 それは、お前達が一番分かるだろ? 巨人の奴隷二人、街中へ逃げ出したんだ。 血眼になって探して回る・・・が、見つからない」

「う、うん・・・」

「そんな時に、身分証が無い人間、この場合お前達だが、街中に居れば怪しい。 大きさ的に、巨人とは思われないだろう。 けど、詮索されれば・・・」

「・・・」

「でだ。 身分証は手に入れた。 後はこの街に”外から入って来た”、と言う事実があれば、誰も怪しむ者はいないわけだ」

「そ、そうね・・・」

「そうだ。 じゃあ、今から俺達と街の外へ出てもらうが、(ラットゥス)に姿を変えてくれ。 そのままの姿で、出る訳にはいかないからな」

「う、うん」

「よし! じゃあ、さっさと行くぞ!」


To be continued...

リアルが忙しくなり、一度ここまでで連載を休止します。

読んでいただいてる方々には、本当にありがたく、申し訳ありません。

7月頃の、再開を目指します。

また、読んでくださいね?

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