姉弟…5
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<毎週土曜日掲載>
side ターニャ...
はぁ~、今日も終わったわ。
あの日以来・・・そう、山中を二人で彷徨い歩き、突然人族の集団に囲まれた時に覚悟し、『あぁ、同族に追われ殺されかけ、最後は人族に殺されるのか』と諦めたのに、人族は私達の首に縄をかけて四肢を拘束し、そのまま捕まえこの街へと連れて来た。
その後は、粗末な衣服を与えられ毎日同じ作業を繰り返し、謂れのない言動も投げかけられ続け、それが終わればこの檻に戻って、少量の食事を与えられて生かされている。
あれからいったい、何日が経ったのかしら?
あの追われる恐怖から今度は、いつ終わるとも知れない奴隷の日々・・・。
コゥも疲れ果てて、隣でうとうとしてる。
嘆き悲しんでも仕方がないし、わたしも、ふぁあ、寝なくっ、ちゃ・・・・・・ん? 薄暗くてよく見えないけど、何か足元で・・・。
「うん? 何だ鼠か・・・ふふっ、迷子なの?」
「ん、んん・・・ね、姉ちゃん。 どうしたの?」
「ん? ああ、ごめんね。起こしちゃった? ねえ、コゥ見てごらん。 ほらっ」
「あ、ああ、うん。 可愛い鼠だね。 何処から来たんだろ?」
「ほんとね。 でも、そこら中、隙間があるから」
「うん・・・ここは冷えるから、大丈夫かなぁ?」
「そうね。 ほらっ、お前の住処にお帰り」
「げ、元気でね」
ああ、私達がこの鼠だったら、こんな所から抜け出して、何処へでも逃げていけるのに・・・。
「何? 帰らないの? ふふっ、変な鼠ね」
「こ、怖がってないね」
「そうね。 あたし達を見れば、人も動物も逃げるのに」
「こっちを、観察してるよ」
「ほんとにね。 まるで此方の言ってる事が・・・言葉が、分かるのかしら」
ガシャンッ!
びくっ!
「おいっ! 煩せぇぞ、ガキどもがっ!」
「そうだぞっ! この巨人がっ! 体だけじゃなく、声もでけぇんだ」
「黙って、寝やがれっ!」
はぁ~、もう慣れたけど、人族って・・・あなた達の方がずっと煩いじゃない。
もう、コゥも怯えて黙っちゃったし・・・でも、男の子なんだから、もう少ししっかりして欲しいけど・・・。
鼠も大きい声だした人族の方を向いて、微動だにしていないし・・・驚かしちゃってごめんね。
「びっくりした? ほら、もうお行き」
「も、もう、来ちゃ、だ、駄目だよ?」
鼠に離れるように促したら、暗がりへと去って見えなくなって・・・? 何か、暗がりで動いてる?
他にも、鼠が居るのかしら?
「オイ」
「?」
何かしら?何処からか、声がするような―――。
目だけで辺りを見てみると・・・。
「オイ。 オマ、コチ、ミル」
「・・・?!!」
えっ!? な、何が・・・・・・えっ!?
「姉ちゃん、どうし・・・!?」
な、な、何で、魔物が此処に・・・そ、それ、それに・・・・・・。
「あっ、あっ、あん、た・・・」
「ウサ、シズ、スル」
はぁ~~っ!? 何となくだけど、煩いって言ってる・・・? て、こんな所に、人族の街の中に、ま、魔物が入って来ててって、えーーーーーっ!!
「ね、姉ちゃ・・・」
はっ! コゥを怯えさせちゃ駄目よね! 危害を加えるなら、とっくにされてるだろうし、と、と、とにかく落ち着かなくちゃ! で、でで、でも---。
「シズ、ワカ、タ?」
はぁ?! し、静かにしろ、って、今言ったの、よね? ま、まま、周りには人族が居るし、こ、ここは、お、おお落ち着いて、頷いた方が、良いわよね?
コクコク・・・。
「オレ、ジー。 マ、モノ、ワカ?」
!!? って、やっぱり、喋ってる?! そ、そ、それに、名乗ってる・・・のよね?
「あ、あぁ・・・」
な、なんか、乾いた声が出ちゃったし・・・あぁ、変な汗かいてきたわ---。
「ウン。 ジャ、オマ、ワル、カ? イ、ヤツ、カ? ドチ」
はっ? な、何聞かれて・・・わる? い? えぇっと、ああ、いい奴か、悪い奴かって、あぁぁ、頭が混乱して---。
「・・・・・・。」
「ン? ドタ、シズ、ハナ、スル」
ああ、ええと、静かに、話をしろ、よね?
「あ、あ、あんた、何処から」
「アァ、サキ、イタ。 オマ、ミ、サワ、タ」
? さっきって・・・!?
「えっ? あ、えっと、さっきの・・・鼠?」
「ウン、ソ」
はぁ----------っ?!!
「えっ!? でも、その、姿っ、て」
「ン、キ、スナ。(ニィィ~)」
ひぃっ! なんか、口角上げてるし、牙見えてるし、た、たた、食べるつもりなのっ!?
「・・・あぁ」
あれ? 何か、落ち込んでると言うか、がっかりした感じが---。
「デ、オマ、ドチ?」
どち?・・・ああっ、どっち、ね。 さっきの、質問?によね?
「あ、ああ、あたし達は、ただ、迷い込んだだけで・・・悪いとか、そんな―――」
「ン? マゴ、カ?」
「まご? あ、迷子ね。 そう、だよ」
「ン、ソカ、ナ、コデル」
「えっ?」
えっ? でる、って・・・出る、よね? 此処を?
「オマ、ワル、ナイ、デ、ウチ、カル」
「ああ、うん。 出られれば、帰れるけど・・・」
「ン、ナ、オレ、タス、ダジョブ」
「いや、えっとね」
いやいやいや、だ、大丈夫って、なんか自信満々に見えるけど・・・って、何か会話が成り立ってないし。
「ドタ? モダ、ナイ」
「いや、だからね」
「デ、ヤカ?」
「あの、ね」
あぁぁっ、もうっ!
「ン~、オレ、ワカ、ナ。 オマ、デナ」
「あのね。 例え出れてもこの体の大きさだと、直ぐに見つかって捕まっちゃうの、分かってくれるかな? だからね。 その、気持ちだけで十分よ。 ほんとに・・・」
「ウ~・・・・・・ワカ! チョ、マツ」
はぁ~~、やっと分かってくれたのね? 待てって言ってるみたいだけど、此処から立ち去ってくれるなら良かった。 まあ、見送ったら寝なくっちゃ・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、えっ??
はぁぁぁぁ―――――――――――――――――――――っ!!!!!
えっ?魔物が、ええっ?!人族にって、えぇぇぇぇ―――――――――――――――――――――っ!!!!!
「あ~、こっちの方が、話しやすいかな? えっと、聞こえてるかな?」
「あぁ、あぅあぅぁ・・・」
いや、えっ? はぁっ?! あぁ、あぅあぅぁあがががぁ・・・
「ん? 口閉じないと、顎が外れるぞ? 大丈夫か?」
「あっ! あんたって・・・」
「っ! おい、大きい声出すなよ。 聞こえてるから」
「あ、いや、ご、ごめん。って、なんで謝ってるのよ。ああ、もう。 あんた、一体何者なの?」
「う~ん。 詳しく話してる時間も無いし、まあ話すつもりもないから、その辺は適当に捉えてくれ」
ああ、もう駄目。 頭がぼーっとして、何話してるのか、てか、そもそも話してるのか、段々分かんなくなってきちゃった・・・・・・その暫くは、自己紹介したり、身の上話したり、してた様な? ふわふわした時が経って―――。
◆◇
さてっと、力をちょっと、ほん~~のちょっとだけ渡した、んだよな? ま、まあ、後は行動あるのみだなっ!
「あ~、いいか?」
「えっ?! あぁ、う、うぅん・・・」
「今、渡したモノだけどな」
「!! そ、そうよっ! こ、こ、これっ!こ、この腕輪っ!! 急に現れてって言うか―――」
「ちょっ、ちょっと興奮するのは分かるが、今それを説明するから、少し落ち着いてくれ」
「あっ、えっと・・・わ、分かったわ」
「ええっと、その、なんだ。 俺にはちょっとした力があって、今それを少しだけ二人に渡した。と言うか貸した、かな?」
「・・・」
「で、だな。 その腕輪なんだけど、少しだけそれに意識を、向けてみてくれないか?」
「? 意識を、向けるって・・・」
「あ~、そうだな。 まあ、目を瞑って集中すると言うか、何と言うか・・・まあ、騙されたと思って、試してみてくれないか?」
「・・・わ、分かった、わ。 今以上に、酷い事にはならないでしょうし・・・なんか、貴方と言っていいのかしら? を、悪い人(?)とは思いえないし、こ、こうすれば、良いのかしら?」
『我らが主よ』
『我らと対なる。 主の眷属よ』
「ひぃっ、何!! 何処かから声が」
「ね、姉ちゃん!?」
「落ち着け・・・落ち着いて、声に、耳を傾けてくれ」
「う、うん・・・」
『供に主に仕え、支える者よ』
『我は、嫉妬=希望・期待』
「ひぃぐぅ・・・」
『主の眷属たる者よ。 我が力を貸さん』
『我が力にて、その姿を変じよ』
「あぁ、っと・・・ジ、ジー、ク?」
「うん? 何だ?」
「あ、あのね。 声がね。」
「ああ、声がどうした」
「す、姿を、変じろ、って言ってて・・・」
「そうか、なら、人族になった姿を想像してみろ」
「えっと、想像、するのね? こ、こうかしら・・・」
次の瞬間、淡い光に包まれ、ターニャの体が縮んでいく。
「ねっ、ねね、姉ちゃんっ!!?」
「う、うぅんん。 わ、私って、ど、どうなったの・・・あれ? なんか、周りが大きくなったような?」
「うん。 成功のようだな」
「うん? って、えっ! あなた、ジーク?」
「そうだぞ? 何に見えるんだ?」
「えっ、だって、私と同じ大きさで、貴方も巨人族だったのって・・・・・・えぇぇぇっ!!?」
「おうっ! あぁ、大きさが変わっても、声は大きいままだな」
「いやっ! だって、あれ?どうして?はぁあっ???」
「まあ、なんだ、お前が小さくなったんだよ」
「えっ? 小さくって言ったって、そんな、まさか―――」
「じゃあ、お前の着ている服や、隣を見てみろよ」
「服って、あれ?だぼだぼで、隣って・・・えっ、コゥ?!」
ふぅ~、問題なく力は、効力を発揮したみたいだな。
さて、さっさとこんな所とは、おさらばしてしまいたいが・・・おかしいな?
隷属の首輪?だっけ、体の大きさが変わったのに、首にはそれが残っている。ってか、魔術的な何かなのかな? う~ん・・・奴隷商行った時に、もう少し詳しく聞いとくんだったな。
「あ~、困惑してるとは思うが、これ以上此処に長居は出来ない。 何時、異変を感じて、他の人族が来るか分からないからな。 ほら、お前もさっさとしろ」
「あっ、えっと・・・うん。 こ、こうかな?」
弟の方も、問題なく姿を変え、二人揃って佇んでいる。
「ちょっと聞きたいんだが、その首に付いてる物だけど」
「あっ、うん。 隷属の首輪って言うみたいだけど―――」
「ああ、それは聞いて知ってるんだが、それは外そうとするとどうなる?」
「えっと、来たばかりの時に、一度だけ試したけど・・・」
「どって、どうした?」
「あぁ、うん。 あのね。 全身にす、凄い痛みが走って、息が出来なくて・・・それで―――」
「わ、分かった。分かったから、それ以上は言わなくて良い・・・」
そうかぁ~、隷属って名前だから、そんな事かと予想はしてたけど・・・恐らく此処を離れる。と言うか、ある程度離れると多分・・・・・・。
「あっ、あの・・・」
「ああ、すまない。ちょっと、考え事してて」
「う、うん・・・」
さて、邪魔な首輪をどうするか・・・・・・。
ふぅ~、人を従わせる首輪か・・・ちとイライラするな。
『節制・貞節!』
『我らが主よ』
『お前の力を貸せ!』
『我らが主の望むままに』
掌を二人に翳す。
「あ、あの―――」
「気にするな。 そのまま、其処でじっとしれくれ」
「う、うん」
意識を首輪に向け、食い千切り、消し去る事を、想像する。
次の瞬間、首輪はその形を残す事無く、二人の首から消えて無くなった。
「えっ? あれ?」
「ふぅ~、これで首輪の頸木から、解放されたな」
「あっ、えっ? はぁっ!?」
ん? 二人とも目玉ひん剥いて、何? また、その面白い顔?
やっぱりそれ、流行ってる?
まっ、いいや。 首輪が無ければ、この後も動きやすいだろう。 まあ、二人が居なくなることで、当然騒ぎにはなるだろうけど、調べる方法も無いだろうし、知ぃ~~らないっと!
To be continued...
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