姉弟…4
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拙い文章力ですが、引き続き書き続けますので、よろしくお願いします。
<毎週土曜日掲載>
「で、迷子?なんだ、よな?」
「ああ、う、うん・・・」
「なんだ? 何か他にあるのか?」
「いや、えっと・・・ね」
「うん? ハッキリしないなぁ。 どうした?」
「あ、うぅ~ん・・・」
ん? 視線だけきょろきょろして、周りを気にしてるのか?
こんだけ静かだから、大丈夫なのにって、そりゃ分らないか。てへっ♪
「ああ、周りは気にしなくても良いぞ」
「えっ、どう言う・・・」
「気づいかないか? まあ、なんだ。 倉庫周辺を含めて、周りには眠ってもらった」
「えっ?!」
そう、色欲=愛・慈悲です。 何処でって? ふふっ、見つけたまい。
さあさあ、其々が望む希望や欲望を刺激し、深い眠りへ、夢の彼方へ誘ってってか?ぶふっ!
だから、ちょっとやそっとじゃ起きないぞ!えっへん!!って、誰に自慢してるんだ?
「さあ、だから何も、気にする必要は無い。で、何があったんだ?」
「あ、う、うん・・・じ、実はね。私達は迷子、じゃ無くて―――」
ぽつりぽつりと話し出した内容は、まさに嫌な予感が的中するものだった。
今回のラーセ近郊の魔物の出現って、これが原因だったのか・・・あ、頭が痛い。
◆◇
ヒンダルフィヤ山脈の奥地、雪と氷の大地を東に進んだ先、巨人の住む世界の果て『ラートゥム』。
肥沃とはかけ離れた痩せた土地は、弱者の生存は許容されない・・・。
遠く噴火した山から伸びる雲が重苦しく空を満たし、生気の感じられない荒涼と続く大地の果てに、突如世界を隔てるかの様に現れる岩壁。 何処まで続いているのか、端を窺い知る事も出来ず、見上げればその先が霞み頂をも見ることが叶わない。
そんな岩壁を切り裂くように、小さい村程度はすっぽり収まる程の幅で、巨大な回廊が奥へ奥へと続き、その先も窺い知る事ができない。が、中には等間隔に光源が灯り、来る者をその最奥へと誘っていた。
その中を進み着く最奥、薄暗き地の底より、高く、高く据え置かれるは、黒く、そう黒く巨大な玉座。
その座主は、巨人族の王『スィリュムル』。
始祖の巨人の末裔にして、全ての巨人を統べたる王。 その巨躯を玉座に沈めつも、深き皺が刻まれし顔には尚、黄金の瞳が輝き沈むも眼下を睥睨し、その眼前には数多の眷属達が控え立つ。
その眷属達の中でも、威容を誇るは根源3氏族の長。
牙槌の氏族長 『イニティウム・ヴィユ・ユミル』 - 根源の氏族が一人。 体躯は他の氏族の中でも小柄ながら、目を惹くはその身の丈より尚大きい槌である。 身に纏う鋼の鎧と相まって、武を体現しているかのよう。 その頭部を覆う兜の奥は、何を見つめ、何を想うか・・・。
鬼眼の氏族長 『ラーディクス・デュル・ユミル』 ― 根源の氏族が一人。 巨人族の中で最も数多く、特徴的な単眼と巨躯が特徴。 部位欠損以外の傷を再生する強靭な体躯と、無尽蔵の体力をもて阻む者を悉く蹂躙する。
獣頭の氏族長 『スティルプス・ゲェル・ユミル』 ― 根源の氏族が一人。 山の如き体躯を誇り、その大きさは巨人族最大を誇る。 複数の頭と腕を持ち、他の氏族と比べるも愚かしい程、その力は圧倒的の一言に尽きる。 因みに彼は三兄弟で、長兄コゥトス、次兄ヴィアレス、末弟ギュロスである。 遠い過去の話であるが、彼が戦った際に日の光が消え、後には岩山が現れたとか・・・。
そんの背後に控えるは氏族の戦士達の他に、オウガー・ミーノータウロス・ゲーリュオーン・オルクス等々、巨人達程ではないが種々雑多な魔物達も犇めきあう。 名状し辛い一種異様な空気の中、王に向け・・・。
「おぶよ゛! ばれ゛らが、おぶよ゛っ!」(訳:王よ! 我らが、王よっ!)
回廊全体を震わせるかの様、身に、腹に響く声で、場に溢れた喧騒が収まり、一瞬の静寂が訪れる。
そんな中、再度・・・。
「ばれ゛らが、おぶよ゛っ!」(訳:我らが、王よっ!)
「ラーディクスか・・・」
「ばばっ! おんばえじひがえまずば、おんびにづぎじだがう゛げんぞくにで―――」(訳:ははっ! 御前に控えますは、御身に付き従う眷属にて―――)
「口上はよい。 して、参集したるは何用であるか」
「ばっ! ごだびば、お゛う゛かがいじがぎぎが」(訳:はっ! 此度は、お伺いしたき儀が)
「よい。 申してみよ」
「ア゛レ゛どのやぐじょうば、がみがみをぼろぼすやぐじょうは、まごとまぼられずのでじょうが?」(訳:アレとの約定は、神々を滅ぼす約定は、真守られるのでしょうか?)
暫しの沈黙が訪れる。
「・・・・・・それで、あるか」
「ぶれ゛い゛お゛じょうぢで、ア゛レ゛がぎえてよじ、ずうびゃぐねんがずぎ、い゛ばだびがんがだっぜいじでお゛だず―――」(訳:無礼を承知で、アレが消えてより、数百年が過ぎ、今だ悲願が達成しておらず―――)
「分かっておる」
「じがじ―――」(訳:しかし―――)
「分かっておると申すに・・・アレと、アレと我らは同じ、始原の巨人より生まれし同族。 我らを騙し、裏切り、この地に閉じ込めし、あの傲慢な神々、それを討ち滅ぼさんとする意、決して色褪せぬわ。 慌てるでない、我らに時はまだあるが、あの神々には残されておらぬ。 仮に後百年待つとしても、待つことに何の問題があろうか」
「じがじっ! ばれ゛らじば、じゅうぶんなぢがらばずでに―――」(訳:しかしっ! 我らには、十分な力が既に―――」
「足りぬ。それだけでは、足りぬ、足りぬのだよ・・・神喰いの、力がな」
再び沈黙が訪れる。
「・・・・・・して、急いておるは、ラーディクスのみか? イニティウム、スティルプスらよ。 其方は、急いておらぬのか?」
「「はっ! 我らは共に、王の御心にそう迄」」
「・・・で、でば、おろがなびどぞぐを、あ゛のむじどもをうづ、ごぎょがをいだだぎだぐ」(訳:・・・で、では、愚かな人族を、あの虫共を討つ、許可をいただきたく)
「ふむ・・・我らの脅威にはならぬが、放っておけば羽虫の様に増え、邪魔になるもまた煩きものよ。 よかろう。 羽虫共を、叩き潰してまいれ」
「ばばっ! でば、ざっぞぐ」(訳:ははっ! では、早速)
そう言うとラーディクス以下、一族と眷属が付き従い場を辞して行く。 かの氏族長が発言する中も、然したる意見を述べる事も無く、イニティウム、スティルプスの両氏族長、如何なる思惑あっての事か、それとも・・・。
こうして動き出した流れは濁流を打ち、ただかの地へ侵攻するだけに止まらず、力持たぬ弱き同族をも無慈悲に蹂躙し・・・追う者、追われる者が入り乱れつつ、多くの魔物も巻き込み・・・・・・。
◆◇
「・・・で、ある日突然、同族から追われた。と言うより、襲われた、と?」
「う、うん・・・」
「で、理由は?」
「・・・」
「黙ってたら分からないぞ。 って、まさか分からないのか? まったく?」
「と、突然の事で・・・」
「いや、でも、理由もなく同族からって、いくらなんでも―――」
「ほ、本当よっ! 父様や母様、他の大人達は、私達や幼い者を逃がす為に・・・・・・ぐすっ」
「ね、姉ちゃん―――ぐじゅっ」
「そう、か・・・ん? 他の、他の者は? 同じ様に、逃げた者はどうし―――」
「・・んない」
「ん?」
「・かんない。 分かんないのっ! 必死に逃げる中で、みんな散り散りになって、気づいたら私達以外、周りに誰も居なくなってて、魔物も彼方此方から溢れ出てて、分かんないの、分かんないのよ・・・何で、何でこんな、こんなあ゛ぁぁぁぁ・・・・・・」
「うわあ゛ぁぁぁぁ・・・・・・」
「ぅおうっ!?」
あちゃ~、泣かせちゃったよ。どうしうしよ・・・これ。てか、姉弟揃って、声がでかいって・・・おいおい、衝撃で壁板が剥がれ落ちたぞ。 それに、耳が痛い・・・音波攻撃かよっ!
ま、まあ、暫くは放っておくしかないが、こりゃ周りに響いて人が集まってくるかな?
早くしないとって、あぁ~あ、やっぱり巨人族が原因か、今のこの魔物が多い現状は・・・何となくそうじゃないかと思ってたけどぉ、え?何でそう思ってたかって?
あ~、こほん。 お忘れかも知れませんが、ピューター男爵邸で読んだ?と言うか、取り込んだ?書籍の情報で、北の大地の向こう世界の果てって、あったの覚えてない? え?忘れたって、本気で?!てか、誰に説明してるんだ?
まあ、いいや。 北の地での異変を知ってしまった訳で、さて参った・・・って、誰にも言えないじゃないかこれ・・・・・・あぁ、頭痛いなぁ(2回目)。
何とかしてこの姉弟以外から、同様の情報を手に入れないと、ブレナン達にもギルドにも相談できないぞ。 あぁぁ・・・一番手っ取り早いのは、他から情報を入手することって、そんな都合の良い事が転がってる訳ないし・・・なぁぁ、頭痛いなぁ(3回目)。
一人悩んでても答えが出る訳でもないし、泣き続ける姉弟を放っておく訳にもいかないし、別の情報元に関しては後でゆっくり考えていこう。
で、この姉弟をどうするか、だが・・・連れていくにしても、此処から出すだけなら簡単だけど、う~ん・・・祝福を一部分け与える? いやいやいや、そんな事簡単に考えちゃ駄目だよな。
まだ、よく分かってない力だし、さっきだよ?会って話したのって、全然知らない相手だよ?いや、そんな相手を助けようと、してるけど・・・でもなぁ。
でも、いつまでも此処で逡巡してても仕方ないし、ほんとぉ~っに一部、そう、ほんの一部、希望・期待の力の内、容姿の変化(身長や見た目)だけにさせ、奴隷小屋からの脱出しよう。うん!そうしよう。
よしっ!そうと決めたら、早速行動開始だっ!
装身具を飾る装飾から、二枚の小さな葉を摘まみ千切り、それを姉弟へ渡そうと声を掛ける。
「おいっ!」
「う゛ぅぅぅ・・・・・・ぐすっ・・・」
「おいっ!」
「う゛ぅぅ、な゛、な゛に゛よぉ~」
「あ~、なんだ。 これを受け取れ」
「ぐすっ・・・な゛に゛ごれ゛ぇ」
「いいから、受け取れって! 話はそれからだ」
「う゛、う゛ん・・・」
「ほら!お前もだよっ」
促され伸ばした二人の手に、小さな葉をそっと乗せる。てか、手が大きいから指先に、ちょんって乗っけた感じだな。で、ヴィの時と同じ様に乗せた瞬間、淡い光と供に消え去った後、二人の手首に小さな腕輪が現れた。
「えっ? ち、ちょっと、な、何これ?」
「ね、姉ちゃん! ぼ、僕の手にも!!」
「あ~、それは気にしないで、今から言う話を聞いてくれ」
まあ、場所が場所だけに、ヴィ程の混乱は無いようだが、さてと話していきますか。
To be continued...
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