姉弟…3
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<毎週土曜日掲載>
さて、ヴィとの話は終えて、この後をどうするかだが・・・まあ、こんな感じかなぁ~?
1. 嫉妬=希望・期待の力で、鼠に変化し侵入する
2. 奴隷が居る場所を探す(定番は地下の檻かな?違うかな?)
3. 目的の姉弟と、接触をもつ(姉弟だけとは限らないので、その場合は状況次第かな?)
4. 彼らの意思を確認する(そもそも敵対的なら、助けても良いこと無いし)
5. 問題無ければ、解放して脱出する(問題は、何処に匿うか・・・)
大雑把だけど、こんな感じで行ってみるか?
ってか、俺こんな経験した事ないし、好き好んでやらんしっ!不安しかないわっ!
あ~、後々の事考えると、頭痛い・・・・・・。
ん?ヴィはって? ああ、途中までは、同行してもらうよ。 俺の衣服を回収して、その後は宿で待機です。 参加?とんでもない。 絶対に、駄目ですぅ!って、誰に話してんだ?
ふぅ~、さて日も暮れ始めたし、奴隷商の近くへ移動しますか。
外套を目深に被って移動するが、寒い土地と言うこともあって、悪目立ちすることはないだろう。
近くまで来たら路地裏に入り、日が落ち切るのをその場で待つ。
徐々に人通りも減ってき、辺りの暗闇が濃くなってくる。
そろそろ良いかな?
『希望・期待』
『我らが主よ』
頭に選択しを思い浮かべ、鼠へと変化する。
脱ぎ散らかった衣服の中からもぞもぞと、這い出て辺りを見回しつつ見上げると白・・・って違う! 暗がりだ。 な、何も見てないし、見えてないぞ! 一人(一匹?)で慌ててると、不思議そうにヴィが見下ろしているが、衣服を拾い上げて鞄へ仕舞い込み、片づけ終えると宿屋へ戻って行った。
立ち去るヴィの背を見届け、俺は裏路地沿いに奴隷商へ這進む。
奴隷商まで近いつもりだったけど、体躯が小さくなったせいで遠い・・・ようやく建物へとたどり着いたが、どうやって中へ入ってこうかな?
ってか、巨人が此処に居るとは、限らないんだよなぁ~。 建物も人族サイズだし、ひょっとして他の建物かな? う~ん。まあ、時間はあるし、一応ここから調べてみるか。
建物の裏側に回ると、丁度よく戸が開いている。
近づくと中からは人の喧騒と、旨そうな臭いが・・・厨房、かな? 戸の隙間から除くと、やはり厨房で間違いない。 中では忙しく、人が行き交っていた。 そんな中の奥を見ると、中へと続く戸が開いている。 ただし、そこへ行くにはこの中を、通って行かないと・・・むぅ、逡巡してても仕方ないな。 意を決して踏み潰されないよう、人の隙間を縫うように這進んで入り込む。
人と物の隙間を一気に駆け抜け、何とかかんとか建物内に入ったけど、うへぇ・・・仕方ない事だけど、手足やお腹周りが、汚れでベトベトだ。 拭うもの何か無いかな?と、辺りを見回しても何も無い。 まっ少しの我慢と、室内を探索開始する。
当然、体躯が小さいので、一階を見て回るだけで一苦労。 時間は掛かるし、戸が閉まってる箇所は多いし、探索としては今一つ不十分だ。 元に戻ることも考えたけど、それじゃあ忍び込んだ意味も、あったもんじゃないし、見つかったら余計にややこしい。 はぁ~あ・・・。
そんなこんなで一階は大体見て回れたけど、奴隷が居そうな空間は有りそうに無かった。 んで、他の場所を探すべく室内を移動する。 階段があったけど、二階以上は・・・まあ、無い、よね?てか、上は無い無い。となると、残るは地下、かなぁ? でも、さっき見て回った感じでは地下への入口とか、それらしい所は見当たらなかったよな。 屋内じゃなくて、外にでも在るのかな?
う~ん。 こんな事なら、奴隷が帰る先を確認するんだった。
さて、室内の探索は切り上げて、屋外の探索へと向かうため、先程の厨房を再度抜けて外へ出る。
うへぇ~、更に体中がベタベタに・・・。
外は既に暗闇に包まれ、室内からの明かり以外、辺りを照らすものは無かった。 明かりがなければ、ちょっと先も見通せない。 これなら鼠である必要は無いので、一度元の姿に戻って辺りを探索するか。 え?全裸じゃないかって?何か問題あるの? ふっ、チョットナニイッテルカ、ワカラナインデスケド・・・・・・。
さあさあ、特に人の気配も感じない暗闇の中、宛ても無く歩き回っていると、篝火に照らされ人が立っていた。 照らされたそこは、人用の出入口と大きめの扉がある、大きめの倉庫の様な建屋みたいだ。
でも、城壁や商業区から離れた場所じゃ、そもそも利便性が悪いん・・・?!
向こうから、明かりが来ている? 揺れ動いてる様子から、手に持った松明の明かりか?
明かりは倉庫の様な、建屋に向かっているようだ。 暫く観察していると、奴隷を引き連れた数人が現れた。 外に居た人と一言二言会話し、戸が開けられると奴隷と共に中に入って行った。
ふむ。 目的の奴隷が居るか分からないが、まあ奴隷が居る建物みたいだし、一応探索しに向かってみますか。 改めて鼠に変化し、件の倉庫へ向かう。 近づくとまあ其処かしこ、手入れされてないのか、隙間だらけで入り放題。(あっ、鼠としてね)
ちょろっと入り込むと、其処は大小様々な檻や箱が、所狭しと並べられていた。 壁際には所々に松明が据付られ、薄暗いながらも辺りを照らしだしている。 並んだ檻の一つ一つには、奴隷数人で入れられてる。 臭いは酷くないので、衛生環境は整ってるみたいだけど・・・箱は何なんだろ?
さあ、壁沿いに隙間を縫って、屋内を見て回ってみると、一番奥まった箇所に大きな檻が・・・ん~中には、居たっ!あの姉弟だ。 膝を抱えて、蹲っている。 俺は更に近づき、二人を見上げていると・・・。
「うん? 何だ鼠か・・・ふふっ、迷子なの?」
「ん、んん・・・ね、姉ちゃん。 どうしたの?」
「ん? ああ、ごめんね。起こしちゃった? ねえ、コゥ見てごらん。 ほらっ」
「あ、ああ、うん。 可愛い鼠だね。 何処から来たんだろ?」
「ほんとね。 でも、そこら中、隙間があるから」
「うん・・・ここは冷えるから、大丈夫かなぁ?」
「そうね。 ほらっ、お前の住処にお帰り」
「げ、元気でね」
ふむ。 これが、巨人の姉弟か。 何と言うか普通な感じ、ってこんななのか?巨人は・・・ま、まあ、もう少し様子をと、二人の周りにいると・・・。
「何? 帰らないの? ふっ、変な鼠ね」
「こ、怖がってないね」
「そうね。 あたし達を見れば、人も動物も逃げるのに」
「こっちを、観察してるよ」
「ほんとにね。 まるで此方の言ってる事が・・・言葉が、分かるのかしら」
はい、分かっています。 さて、この姿では言葉を交わせないし、どうするか・・・。
ガシャンッ!
「おいっ! 煩せぇぞ、ガキどもがっ!」
「そうだぞっ! この巨人がっ! 体だけじゃなく、声もでけぇんだ」
「黙って、寝やがれっ!」
おいおい、お前達の方が、よっぽど煩いだろうが・・・ほら、二人とも黙ってしまった。
それにしても表に居た奴らは、奴隷が騒いでも関知しないのか? なら、こっちにとっては、好都合なんで良いけどね。 『我らが主よ・・・』
「びっくりした? ほら、もうお行き」
「も、もう、来ちゃ、だ、駄目だよ?」
二人から一旦離れ、周りから死角になる位置、姉弟の影へと移動して、鼠から魔物へと変化する。 さて、話をしてみるか。
「オイ」
「?」
姉の方?が、目だけ辺りを見てる。
「オイ。 オマ、コチ、ミル」
「・・・?!!」
おっと、こっちを見た。
「姉ちゃん、どうし・・・!?」
ん? 二人とも目玉ひん剥いて、何? その面白い顔?
口も半開きで、パクパクしてるし、楽しいの?それ?それとも流行ってる?面白いの?
「あっ、あっ、あん、た・・・」
「ウサ、シズ、スル」
「ね、姉ちゃ・・・」
「シズ、ワカ、タ?」
二人とも黙って、ゆっくりと頷いた。
うん。 まず、話は聞いてくれそうかな?
「オレ、ジー。 マ、モノ、ワカ?」
「あ、あぁ・・・」
「ウン。 ジャ、オマ、ワル、カ? イ、ヤツ、カ? ドチ」
「・・・・・・」
「ン? ドタ、シズ、ハナ、スル」
「あ、あ、あんた、何処から」
「アァ、サキ、イタ。 オマ、ミ、サワ、タ」
「えっ? あ、えっと、さっきの・・・鼠?」
「ウン、ソ」
「えっ!? でも、その、姿っ、て」
「ン、キ、スナ。(ニィィ~)」
「・・・あぁ」
あれ?笑ってみせたのに、何か怪訝な表情してるぞ? 失礼だな。親近感湧くかと思ったのに・・・。
「デ、オマ、ドチ?」
「あ、ああ、あたし達は、ただ、迷い込んだだけで・・・悪いとか、そんな―――」
「ン? マゴ、カ?」
「まご? あ、迷子ね。 そう、だよ」
「ン、ソカ、ナ、コデル」
「えっ?」
「オマ、ワル、ナイ、デ、ウチ、カル」
「ああ、うん。 出られれば、帰れるけど・・・」
「ン、ナ、オレ、タス、ダジョブ」
「いや、えっとね」
「ドタ? モダ、ナイ」
「いや、だからね」
「デ、ヤカ?」
「あの、ね」
「ン~、オレ、ワカ、ナ。 オマ、デナ」
「あのね。 例え出れてもこの体の大きさだと、直ぐに見つかって捕まっちゃうの、分かってくれるかな? だからね。 その、気持ちだけで十分よ。 ほんとに・・・」
「ウ~・・・・・・ワカ! チョ、マツ」
まあ、当然と言えば当然か、信用と言うか相手にされてないな。
仕方ない。 ジーだと片言で、意思が伝わりにくい。 変化を解き、人族へと変わる。
改めて見上げると、ん? また、二人とも目玉ひん剥いて、何? さっきより面白い顔?
口も半開き通り越して、「これでもかっ!」って位開いてるし、顎外れるよ?それじゃ・・・って、やっぱり流行ってる?それ?
「あ~、こっちの方が、話しやすいかな? えっと、聞こえてるかな?」
「あぁ、あぅあぅぁ・・・」
「ん? 口閉じないと、顎が外れるぞ? 大丈夫か?」
「あっ! あんたって・・・」
「っ! おい、大きい声出すなよ。 聞こえてるから」
「あ、いや、ご、ごめん。って、なんで謝ってるのよ。ああ、もう。 あんた、一体何者なの?」
「う~ん。 詳しく話してる時間も無いし、まあ話すつもりもないから、その辺は適当に捉えてくれ」
「えっ、あ、うん・・・」
「さて・・・おっと、いけない。 名前は、名乗らないとな。 俺はジーク、ジークフリートだ。 少しの間だけだが、ジークと呼んでくれればいい。 えっと・・・名前、教えてくれるか?」
「えっ、あっ、ああ、あたしは、タ、ターニャ。 こ、こっちは弟の」
「コッ、コゥだよ」
「ターニャに、コゥだな。 うん。で、本題なんだが、此処から出たいか?」
「・・・な、何で、そんな事聞くの?」
「うん? ああ、まあ、なんだ。 ちょっとした、気まぐれみたいなもんだ。で、どうなんだ? さっき言ってたが、ただ迷い込んだだけの迷子なんだよな?」
「え、ええ、まあ・・・」
うん? 何か歯切れが悪いなぁ、他に理由があるのか?ってか、敵対心も無いし迷子みたいだから、助けて別れて終わりのつもりが、雲行きが怪しいような・・・どうなるんだ?
To be continued...
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