出会い、そして...3
面白いと思っていただければ幸いです。
評価やコメントも頂けると、今後の励みになります。
拙い文章力ですが、引き続き書き続けますので、よろしくお願いします。
<毎週土曜日掲載>
基礎練習を終え、一旦ギルドまで戻り、朝集合した裏手に回る。
そこには職員が運んでくれてたのか、長剣と小盾、皮鎧が一式置かれていた。
ブレナンに促され、それらを身に付けていく。
初めて身に付けるけど・・・皮鎧自体は金具で留めるだけで、比較的簡単に付けることが出来た。
剣は剣帯で吊ってあり、腰から吊るすので柄の位置は大腿部にある。
盾は基本的に柄をしっかりと持ち、相対した場合は腕を伸ばして、拳を相手に突きつけるように構えるそうだ。
自前のナイフは、腰に付けておくか。
ローナンとニールも同じものを身に付けてるが、フィオナだけは小剣を持たされていた。 まあ、剣は無理だよな。
一揃い身に付けると・・・
「お~し、まあ見た目だけは、一人前に見えなくもないな」
「時間も無くなることだし、ちゃっちゃと出かけるか!」
そう言うと、ブレナンが先に歩き出したので、その後を銘々付いて行き、身分証を提示して外に出る。
そのまま街道を北上し、街の北北東の分岐点に着くと、北東(街から見て東北東)に向かう。
採集依頼の時は北西に向かったので、今回はその逆方向に向かうことになった。
暫らく街道沿いに進むと、右手側に森が見えてきた。
街道を逸れて、そちらに向かう。
街の北側一帯に広がる穀倉地帯は、森からの獣や魔物に荒らされるため、畑には簡易な防護柵が設けられているが、それでも穀物や作物だけでなく、人に対しても被害が発生するので、こうして定期的に森へ入って間引きを行うのだそうだ。
また、魔物によっては集団を作り、想定よりも増えすぎた場合は、街にとっても脅威になるので、それらを未然に防ぐ目的も含んでいるそうだ。
そう説明を受けた時・・・自分は一体、どんな顔をしていたんだろうか。
被害をもたらす魔物・・・平和に密やかに暮らす魔物・・・人族にとっての脅威・・・その線引きは一体誰が・・・何のために・・・・・・
『ボコッ、ボコボコッ・・・』
『ギィッ、ギィイイイァアアアッ・・・・・・』
「・・、・・・」
「・・・」
「・ぃ、・・ク」
「・・・」
「・い、・-ク」
「・・・」
遠くで、そう・・・遠くで、誰かが・・・呼んで、いる・・・そう、呼んでいるんだ・・・・・・
「・・・はっ!」
「おい、ジーク! どうした! 返事しろ!」
気付くとブレナンの顔が、間近にあって肩を揺すって・・・
「あ、ああっ、すまない。 考え事をして、ぼーっとしてしまった」
「はぁ、驚かせるなよ。 説明の最中に表情が険しくなったと思ったら、今度は呼びかけにまったく反応しなくなったから、何か起こったのか焦っちまっただろうが」
「いや、本当にすまない。何でもないんだ。 本当に、何でも・・・」
「・・・そうか? まあ、緊張していたんだろう」
「さあ、森に入るぞ! 決めた組み合わせになれ!」
あの時の、あの事を、思い出して・・・
いかん、いかん・・・今は、目の前のことに集中だ。
「そうだ。 入る前に、伝えておく事がある」
「森に入れば、何に遭遇するか分らない。 その際に大声で、やり取りする訳にはいかない。 それは分るな?」
「「「「はい」」」」
「そこで、簡単なやり取りを決めておく」
「左手を後ろに向け、手のひらを後ろに見せる。 その場合、全員はその場に止まれ」
「指を揃えて横にし、指を揃え手そのもので指す。 その場合、指し示す方向を見ろ」
「右手を下から、後ろ前に動かす。 その場合、こちらに来い」
「つまり、周囲の警戒をしながら、お互いのことも見なければならん」
「いいな、忘れるなよ?」
注意点と合図を聞いた後、各組み合わせに分かれる。
「フィオナ、すまない。 よろしく頼む!」
「あ、はい! 大丈夫・・・ですか?」
「あ、ああっ、すまなかった。 俺は、大丈夫だ」
「そう、ですか・・・じゃあ、頑張りましょうね!」
軽いやり取りの後、ローナンとニールの組が右側を、俺とフィオナの組が左側を、その後ろにブレナンが付く形で、森の中へと入っていった。
進行方向としては、南の方角へ向かう感じだな。
サワサワ~・・・サワサワサワ~・・・サ~・・・
微風が吹いて、葉が揺れる音が聞こえる。
なるべく音を立てないように歩くが、枯れ葉や枝を踏む音が僅かに聞こえる中、お互いが視認できる距離を維持し、周囲を警戒しつつゆっくりと進んでいく。
ピューイ!
後方から音がしたので振り返ると、ブレナンが来いと合図していた。
音を立てないように集合し・・・
「音を立てるのは不味いのでは・・・」
声を潜め、入る前の注意を指摘すると・・・
「ああ、すまんな。 俺も周りを警戒しているが、この近くに脅威は感じられない。 だから呼んだ」
実力のあるブレナンがそう言うのだから、そうなのだろうが・・・
「ここまでは何も遭遇せず順調に着たが・・・事前に説明してなかったことで、言っておくことがある」
「森の魔物についてだ・・・」
「・・・」
◆◇◆◇
狼系・・・
・灰狼:狼を大型にした、比較的生息数の多い魔物。
・闇狼:基本は灰狼と同じだが、体に刻まれた真名で、視界を奪う魔術や、異常系魔術を使ってくる。
・緑狼:先と同様だが、森の中では最も厄介な魔物で、風を使った魔術を使ってくるうえに、景色に溶け込み気配を消して近寄るので、気付いた時には深手を負わされる。
森の広い範囲に生息していて、森の外にも頻繁に出没しては、人を襲っている種類だそうだ。
自分も遭遇してるけど・・・あれは、ねぇ・・・・・・
てか、緑狼なんて、どうすればいいの?
鹿系・・・
・氷鹿:大型の鹿の魔物で、その大きな角での突進は、盾でも防御できない程の脅威、角に刻まれた真名で、氷の魔術を使ってくる。
・炎鹿:同様で、炎の魔術を使ってくる。
・雷鹿:同様で、雷の魔術を使ってくる。
ただし、森の一番深いところに生息していて、浅い部分には滅多に出てこない。
遭遇すること自体はほぼ無いが、万が一遭遇した場合は何も考えずに逃げろと・・・
獣人系・・・
・オルクス:一般的な獣人で、食欲旺盛な雑食型魔物。
・ミーレス オルクス:基本は同じだが、武器を扱い集団戦闘を行う。
・イムペラートル オルクス:ミーレスを束ねる存在で、二回りほど大きな体躯をしており、1固体でも現れると災害として、ドゥオなら10名・トレースなら20名以上の投入が必要となる。
・レクス オルクス:その名の通り、オルクスの王。 過去数百年、出現の報告は無い。 が、現れた場合には、国家戦力投入が必要と言われる程だが、記録のみで詳細は何処にも残ってはいない。
そもそも、ミーレス オルクス以外が、戦力基準がおかしすぎないか?
魔物系・・・
・ゴブリン:最弱の魔物で、洞穴などに住み着く。 繁殖力が旺盛で、巣の奥にいる雌と子どもを、絶対に逃がしてはならない。 巣を見つけて討伐の際は、入り口で火を炊き窒息死させろ。
・ミーレス ゴブリン:粗末だが武器・防具を装備し、集団戦闘を行ってくる。
・マギーア ゴブリン:真名の刻まれた物を所持し、水・火・風・土の、いずれかを使ってくる。
・イムペラートル ゴブリン:ミーレスを束ねる存在も、オルクスほどの脅威では無く、100匹程度の集団で、稀に発生が確認されている。 体躯は一回り程度大きく、トレース10名程度で、討伐は可能な存在。
・レクス ゴブリン:名の通り、ゴブリンの王。 100年前に一度、その存在が確認されているが、その際はドゥオ クラスの7名パーティーで討伐されている。 こちらも、詳細は余り残っていない。
う~ん・・・ここも現状ではと言うか、ミーレス以上は、今後も遭遇したくない相手だな。
やっぱり、戦力基準がおかしくすぎないか?(2回目)
◆◇◆◇
「・・・と言った感じだが、まあ大半は遭遇する可能性は無いし、俺自身もこの近辺では遭遇はしていない。 だが、過去に存在していたモノも含め、知識としては持っておけ」
「そして、遭遇した事が無いモノは、危険と判断しまずは逃げろ。 そして生きて、情報を持ち帰れ。 その情報が有ると無いとで、対処対処の準備の遅れが防げ・自分を含め多くの人命を救えると思え」
「では、捜索を再開するぞ。 全員、先ほどの配置に戻れ」
ブレナンからの号令で、森に入った時と同じ配置に広がる。
そうして更に進んだとき、左奥から何か音が聞こえた気がした。
一旦歩みを止め、耳を澄ましてみる・・・やはり、何か音がする。
左手を後ろに向け、手のひらを後ろに見せる。
ブレナンはその場に止まったが、ローナンとニールは周囲の警戒に必死で、此方の合図には気付いていない。
どうしようか迷ったが、其方にはブレナンが向かったので、自分達はその場で身を隠し待機する。
・・・少しすると2人を伴って、ブレナンが合流してきてくれた。
「ジーク、どうした? 何か、見つけたのか?」
「いえ、左奥の方から、自然では無い音が聞こえたので・・・」
「・・・そうか、ではこのまま固まって、音の聞こえた方向へ向かうぞ。 いいな?」
「「「「はい」」」」
そのまま音の方向には向かわずに、大きく右回りに風下から近づいて行く。
慎重に進むと樹木と茂みの隙間から、音の発生源が僅かに見て取れた・・・ゴブリンだ。
もう少し近づかないと数は分らないけど、こちらに気付いてはいないのは確かだ。
ブレナンの指示で左右に広がりつつ、包囲する形で更に近づいて行くと・・・
っ!!
違う! ゴブリンだけじゃないぞ!
オルクスだ! オルクスも居る!!
「ギィギィ、ギャギャギャッ」
「ギャッ、ギィギッ・・・ギャギャギャッ」
「ゴフッ、ゴォゴッフ・・・ブゴッ」
「ギャッ!」
「ゴフォッ、ブギャッ・・・ゴッ、ゴフッ」
どういう事だ? ゴブリンとオルクスが群れている・・・数は、ゴブリン10体にオルクス3体だと・・・
この組み合わせは、通常在りえることなのか? それ以前に、どう考えてもこの戦力では無理だ。
背中を嫌な汗が伝う・・・俺一人ならなんとでもなるが、フィオナ達が一緒ではな。
小声で・・・
「フィオナ、これは不味い。 なるべく姿勢を低く。 下を見るなよ。 前を見てるんだ。 いいな?」
首肯で応えたのを確認し、振り返るとブレナンが、こちらに来いと合図している。
ブレナンの態度から、これは異常事態なようだな。
しかし、すでに視認できる距離まで近づいていて、安易に動けば奴らに気付かれてしまう。
どうするか・・・
パキッ!
奴らの声が響く中、枝を踏み折る音が、やけに響いた気がした。
振り向くと、ローナンとニールだ。
気付かれたか?
「ゴフォッ?」
「ギャギャギャッ、ギィギャッ?」
「ゴッフ、ゴフォッフ!」
2人から焦りと恐怖を感じるが、お互い息を殺してその場で様子を伺う。
・・・・・・・・・・・・
ほんの数瞬が酷く長く感じられる中・・・奴らはそのままやり取りを続け、森の奥へ向かって移動するようだ。
「ゴフォッ、ゴッフゴッフ・・・」
「ギャッ、ギャギャッ・・・」
「ゴフッ、ゴフォ・・・ブゴォッ!」
「ギィッ、ギャ・・・ギィギャギャギャッ・・・」
ふぅ~・・・どうやら、気付かれなかったようだ。
それ程、頭のほうは良くないようだな。
俺は前を見据えつつフィオナと共に、そのまま風下の位置を維持しつつ、見付からないよう徐々に、ブレナンの所へ後退する。
チラリとローナン達2人を見ると、恐怖からか動きは鈍いものの、同じように移動していた。
どれ位の時間が過ぎたのか分らないが、奴らから十分に離れ無事合流することができ、直ぐにその場から離れるため、最大限の警戒をしつつ静かに移動を開始した。
To be continued...
『面白い』『続きが』『頑張れ』と思って頂けた方、最新ページから評価をいただけると・・・。
よろしくお願いします。




