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人族...閑話1

話の途中ですが、ちょっと差込ます。

よろしくお願いします。


「・・・っ! はぁはぁはぁ・・・ま、まただっ」

「また、あの時の光景だ・・・」


夜中にまた、目が覚めてしまった。

嫌な寝汗で、寝間着がぐっしょり濡れている。


あれから何日が、経過しただろうか・・・。

あの燃え盛る火の海での、あの出来事(邂逅)が頭から離れない!


俺はあの時、浮かれていた。

この異世界で希望だ何だともて囃され、何も知らないまま、小さい子どもが親に言われるがまま、遊び感覚であの場所に赴き、そう・・・言われるがまま・・・・・・。






◆◇






俺(長野 明星(あきら))は、この春から高校2年になったばかりの、何処にでもいる平凡な男子学生だ。

両親との3人家族で、関係性は良好だと思う。

母さんは毎日『ああしろ、こうしろ』って口煩いけど、俺の為を思って言ってくるのは分るからと、この歳だと恥ずかしい反面もあって、いつもそっけない対応をしてしまう。 ごめんな。

父さんは仕事以外は家でゴロゴロしてるだけで、母さんにはいつも邪魔だとか何とか言われながらも、飄々としながら日々過ごしていた。


ジリリリリリィィィッ


部屋の中に、目覚ましのベルが鳴り響く。


「うん? もう朝かぁ~」

「ふぁ~、ねっむ。 昨日、ゲームし過ぎたな」


その日も何時も通り、7時にセットしたベルが鳴り、眠い目をこすりながら、ベッドから起きだしていく。


タンタンタンタンッ


階段を下りてリビングに行くと、母さんが既に朝食を並べ終えて、弁当におかずを詰めていた。

俺達が起きだしてくる前に起きて、朝食と弁当の準備を終えてるなんて、言葉にはしないが感謝感謝である。

なんて思いながら、立っていると・・・


「なに、ボーっとしてるの? さっさと、顔を洗ってらっしゃい」

「へいへ~い」


寝癖でぼさぼさの頭を掻きながら、洗面所に向かって顔を洗いに行くと、先に父さんが居て歯磨きしていた。


「おほぉ、おふぁよふ。 はふぁくじゅんぶすないと、がっふぉうにおくふぇるぞ」

「もう、歯を磨きながら喋るなよ。 泡が飛び散るだろ」

「!! ガラガラガラッ、ぺっ」

「いや~、すまんすまん。 おはよう。 ほら、早く準備しないと、学校に遅れるぞ~」

「分ってるよ。 親父にだけは、言われたく無いって~のっ!」

「ははっ、そうかそうか。 なら、早くしないとな~」


まったく、朝からこのマイペースぶり・・・父さんらしいな、ふふっ。

父さんとも会話する事も少なくなったけど、こういうやり取りって昔から嫌いじゃないんだよな。

と、そんな事を思いながら、俺も顔を洗って目を覚まし、歯を磨いて寝癖を直して準備をしていく。

父さんは髭剃ってら・・・って、ぷふっ、切ってやんの。


身だしなみを整えたら、リビングに戻って席に着く。

今日の朝食は焼いた食パンに、目玉焼きソーセージとサラダに、オレンジジュースの定番メニューだ。

我が家は和洋が交互に出るので、明日はご飯メニューだなっと思いながら、もくもくと食べ進めていく。

成長期には、とっても大事なのだ!


「ごちそうさまでした」

「あら、ゆっくり食べないと、体に悪いわよ?」

「うん。 でも、早くしないと、あいつら着ちゃうじゃん」

「ああ、そうね~。 お迎えに来るお友達、待たせちゃ悪いものね~」

「そそっ、そう言うことってね」

「ほら、あなたもテレビ見てないで、早く食べちゃってくださいね」

「ええっ!? 明星(あきら)には、ゆっくり食べろって言って・・・」

「あなたは、ゆっくりし過ぎなの!」


父さんと母さんのやり取りを後ろに聞きながら、二階の自分の部屋へ着替えをしに駆け上がる。

急いで着替えないと、あいつ等がそろそろ来てしまう。


ピンポーン


来た!


「おーい。 明星(あきら)~、起きてるか~?」

「ああっ! 今、下りてくよ~」

「おおっ、寝坊せず起きてたか~。 関心関心!」

「うるせ~よっ! ちょっと、待ってろって」

「へいへいへ~い」


今軽口言ってるのが、幼馴染の一人で那須 聖火(きよし)だ。

スポーツマンなんだけど特定の部活に入らず、色々な運動部の助っ人として引っ張りだこだ。


「ふぅ~、朝から騒ぐな。 人様の家だぞ、少しは近所迷惑も考えろ」

「すまん~。 今いくわ~」

「ああ、まだ時間に余裕はある。 気にせず、準備して下りてきてくれ」


何か堅そうなのが、もう一人の幼馴染で佐々 真沙輝(まさき)だ。

今は生徒会で書記やってるけど来年は、会長になると勝手に俺は思ってる。 けど、なるだろうな。うん!


タンタンタンタンッ


「すまんすまん。 待たせたな」

「おうよ! さあ、行きますか!」

「はぁ~、だから・・・」

「ああっ、はいはい! じゃあ母さん、行ってきます」

「はいはい、お弁当忘れずにね。 みんな気をつけて、いってらっしゃい」


いつも通り騒がしくも、迎えに来てくれた友と一緒に、学校に向けて歩きだした。

いつもの通学路を歩きながら、昨日のテレビやオンラインの話をしつつ、途中にある踏み切りが下りていたので、電車が来るのをその前で待っていた。


そう。


そこまでは、いつも通りだったんだ。


・・・・・・喋りながらふと気付くと、俺達以外の周りから音が消えていた。

更に、だんだんと回りの景色も、希薄になっていっていた。


「ん? おい! なんか周り、おかしくないか?」

「んだよぉ~、イベントか何かかぁ~? 朝っぱらから、迷惑なことすんなよなぁ~」

「静かにしろと言っても聞かないだろうが、その様な物では無いし集団幻覚とかでも無さそうだ。 我々だけが何故か時間に、置き去りにされている様な感じだな」

「時間に、置き去りって・・・」

「おいおい! 怪奇現象ってかぁ~。 ありえね~って」

「この世には解明できてない事もあるだろうに、少しは客観的に周りを観察でもしたらどうだ」

「俺達だけが、互いを認識できているのか? 何故だ?」


不思議と言うより不気味になりつつあるこの状況で、改めて周りを見渡してみていると足元から光の輪が此方に近づいて来ているのが分った。

その輪は徐々に光を強くしつつ、急速にその範囲を縮めてきていた。

そして、自分たちを囲う範囲に来た時、目が眩むほどの光に包まれ意識は闇に飲まれた。





◆◇






・・・・・・



「・・・ぅっ、うぅぅっ」


・・・段々と、意識が覚醒してきた。


あの光は、何だったんだ?

それに、聖火(きよし)真沙輝(まさき)は?

2人とも無事なのか?

近くに居るのか?

目が周りの明かりに慣れてき、視界がぼんやりとだが見えてきた。


「こ、ここは、何処だ?」


俺は石畳の上に、居るみたいだ。

周りは電球とは違う明かりが、弱々しく光を放って辺りを照らしていた。

そうしているうちに視界がはっきりし、その明かりは壁に立掛けた松明(?)だと思えた。

今の時代に、松明の明かりって使うか? やっぱり、イベントか何かか?


どうでもいい思考を破棄し、再度周りをよく見渡してみた。

すると直ぐ近くに2人が居たが、まだ意識は戻っていないようだった。

胸が上下しているので、死んでることは無いだろう。


更に周りに目を向けてみると、ローブを纏った一団の他に、映画やゲームでしか見たことの無い、鎧甲冑に身を包んだ一団が、周りを囲むように立っていた。

何かのイベントにしては、仰々しいと言うか物々しい感じの印象だな。


そうしてる間にも、ローブの一団から数人が進み出て、此方に向かって来ていた。

一応警戒しておくため、2人の下へ後ずさっていく。

そこへ、声が掛けられた。


「異世界の方よ」

「異世界の方々よ」

「我らの呼びかけに応え、この地に参られた方々よ」


何言ってんだ? 異世界? はあ?

てか、目の前のおっさん(?)が言ってること、俺理解出来てるよな?

日本語(?)なんだよな? だったら、イベントかなんかの、悪ふざけってことだよな?


「勇気ある者よ。 我らに、その力を貸したまえ」

「悪しき力を打ち払い、この地に光と平和を・・・」

「ちょっ、ちょっと待ってくれ!」

「あんた達、なにを言ってるんだ?! 此処は何処だよ! 俺達をどうしたんだよ!」

「ちゃんと、説明してくれよ! これはイベントかなんかで、悪ふざけしてるだけなんだよな?」

「・・・異世界の方よ。 此処は、人間の大地『メディテラ』」

「神々のおわす地に隣り合う、人族の住む世界でございます」


『メディテラ』? はあ? なに言ってんだ?


「今この地には、滅びが迫っております」

「我らはそれを回避すべく神々に一心に祈り、それを打ち滅ぼす力を望みました」

「神はそれに応え、あなた方を此処に遣わし参られた」

「我らは、いかなる助力も惜しみませぬ」

「何卒、お力をお貸しいただき、この地に希望と平和を示していただきたい」


・・・・・・

駄目だ。 全然、思考が追いついてこない。

イベントなんかでもなく、此処は日本ですらもないって、それを信じろって言うのかよ!


「召喚により、すでにお疲れのことかと」

「本日はこちらにて、ゆるりとお休みいただき、明日改めてご説明の程を」

「ささっ、こちらへどうぞ」

「お仲間の方々もお部屋まで、お運びさせていただきますので」


ついさっきまで、母さんの朝食食べて、父さんと会話して、2人と学校へ向かってたよな?

それが、何でこんな・・・


その後は、連れられるまま部屋へ案内され、思考もままならずベッドに横になると、意識は自然と眠りについていた。



◆◇



翌日、目が覚めると、飛び起き辺りを見回した。

そこは、昨日の事が夢では無いと思い出せる程、自分の部屋とは違う石作りの、硬い壁にベッドが備え付けられただけの、狭く簡素な作りの居室だった。

衣服は昨日のままなので、そのまま起きだし木製の扉を、押し開きその先に出てみる。

そこも石造りの硬質な通路が左右に続き、左右の壁沿いに同じように扉が、等間隔に並んで備え付けられていた。

まずは、聖火(きよし)真沙輝(まさき)を探そうと、右の通路沿いに先へ進んでみることにした。


通路にはランプ(?)の明かりが灯され、そう明るくは無いが先が見えなく無い程度の、光源が等間隔で確保されていたのと、曲がり角も無い真っ直ぐな通路が続いていた。

暫らく歩き続けると、先に光源が見えてきたので、歩を早めつつ近づいていった。

光の先に出ると・・・眩しさで一瞬目が眩んで手で目元を覆ったが、慣れてくると人の気配と声が聞こえてきた。


そこは石壁に囲われた円形の広場のようで、学校のグラウンドより広い空間に、大勢の人々が訓練だろうか行き交いあっていた。

その中心では試合(?)が行われているのか、人と人とが剣(?)と盾(?)を持って闘っていた。

・・・しばし呆然とその光景を眺め見ていると、声を掛けられるまで人が近づいてるのに気付けてなかった。


「異世界の方、お加減はいかがかな?」


っ?!

声のした方に振り向くと、ガッシリした体格に角ばった顔と、白色に近い金髪を短く刈上げた髪型の、壮年の男性が隣に立って俺の目を覗き込んでいた。


「真っ直ぐな、澄んだ目をしておられるが・・・まだ、戸惑いや迷いの色が強いな」

「・・・えっ!? ええ」

「だが・・・此方の都合とは言え、応えてくれた事に感謝する」


そんな言葉と共に軽く頭を下げた後、改めてその青い瞳でじっと見つめられたが、威圧感がある感じでは無く、柔らかく温和な感情が見て取れる感じだった。

この応えたってのは、返事を返した事じゃなくて、この世界に来た事・・・だよな。

などと考えていると歓声が聞こえ、どうも先程の試合が終わったようだった。


「今はまだ困惑もされておろうが、暫らくはゆるりと御くつろぎくだされ」

「後々に、我らやこの地の事を学んでいただき、必要な武をも磨き修練していただくゆえに」

「おっ! そう言えば、紹介が抜かっておったな。 わたしはロルー、ロルー・ディ・メールだ」

「あっ、おれ、俺は、明星(あきら)、長野 明星です」

「アキラ殿、明るき響きの名ですな」

「ははっ・・・はぁ」

「して、アキラ殿は、斯様な場所に何用で?」

「あっ、いえ、その・・・友を探そうと部屋を出て、歩いた先のが此処で・・・」

「おおっ、共に来られたご友人か、であれば場所を存じておるゆえ、わたしがご案内仕ろうか?」

「いえっ! 場所を教えていただければ、自分で向かいますのでその・・・」

「まあ、そう言われるな。 不案内な場所ゆえ、遠慮せず付いてまいられよ! さあさあ」

「は、はぁ・・・じゃあ」


なんだか強引に連れられる形だけど、聖火(きよし)真沙輝(まさき)の無事を早く、確認しておきたかったので、ロルーさんの後を付いていった。

付いていった先は俺と作りは同じ部屋で、ただベッドが複数並んで置かれているので、病室(?)みたいなところかも知れない。

お医者様(?)と思われる人が、傍に控えて立っていた先に、気がついてた2人が起きだしていた。


「おっ! 明星(あきら)! 無事だったんだな? なあ、ここは・・・」

明星(アキラ)、此処は何処なんだ? 日本とは、違うようだが・・・」

「おい! 真沙輝(まさき)! 俺が聞こうとしてただろうが!」

「ふぅ~、聖火(きよし)。 君に任せてたら、肝心な話まで長いだろう?」

「あぁん! なんだとコラッ!」

「ああ、はいはい。 2人とも落ち着いて、此処じゃ話し辛いからさ・・・」

「ほら見ろ、明星が困ってるじゃないか!」

「それは君が、騒ぐからだろう?」

「あぁっ? もっぺん・・・」


駄目だ。 此処じゃ、ゆっくり話せない。

ロルーさんに、何処か場所を教えてもらおう。


「あの! ロルーさん! 何処か、ゆっくり話せる場所は無いですか?」

「うん? ああ、それなら食堂がよかろう」

「今の時間なら、人もそれ程居らんし、食事でもしながら、ゆっくりと話せるだろう」

「あっ、ありがとうございます! そこへは、どうやったら行けますか?」

「そこへも、わたしが案内しよう」

「いえ、でも、お忙しくはありませんか?」

「なに、大したことでも無い。 さあさあ、ご友人は元気なようだし、直ぐに参るとしようか」

「すみません・・・ほら! 2人とも行くよ!」

「あっ? ああ、待ってくれよ!」

「すまない。 直ぐ行く」


騒がしい2人を伴って、ロルーさんに食堂まで案内してもらう。

着いた先は一度に100人位は入れる大きな空間で、そこに長机と椅子が等間隔に並べられていて、数人が固まって食事を取っていた。


「此処が、大食堂だ。 如何だ? 此処なら、ゆっくり話せるだろう?」

「え? ええ、はい! 色々と、ありがとうございます」

「気にするな。 あそこの窓口で、日替わりの献立を装ってくれる。 気力や体力の回復にも、食事は大事だからな! 遠慮せずに、食べてってくれよ? まあ、わたしが作ってる訳では無いがな! はははっ」


そう言って、ロルーさんは立ち去って行った。

入り口で立っていても仕方が無いので、教えてもらった窓口に行って食事を装ってもらった。

献立はパンとスープに、何かの肉を焼いたものと、チーズが盛られたものだった。

一先ずそれを受け取って、人気の少ない場所に移動して座った。


「なあ? 明星? 此処って、何処なんだ?」

「ふむ。 わたしも知りたいが、此処は日本・・・では、ないんだな?」

「あ、ああ、日本では無い。 俺もまだ詳しくは分らないが、彼らが言うには異世界らしい・・・」 

「あん? 異世界だ!? そりゃ・・・」

「彼らが、異世界と言ったんだな? つまり、我々が居た世界とは、次元も時間も違う空間・・・」

「おい! 俺が聞いてるだろ! 邪魔すんなよな!」

「ああ、分っている。 ただ、要点を整理するにも、君では時間が掛かりすぎる」

「やっぱ・・・!」

「ああっ! 2人とも落ち着いて、まずは冷える前に食事しよう!な?」

「んっ、ああ・・・」

「そう、だな・・・」


そうして、昨晩(?)告げられた事を掻い摘んで説明しつつ、この世界の事、今後どうなるのか、帰る事は出来るのか等、答えの出ないことを考えてしまっていた。

この時は置かれてる状況や先々の不安で、今後自分達に、いや!自分に何が待ち受けているのか、そんな事に思いを馳せることは、高校生でしかない自分には出来なかった。


まして召喚・転移なんて、ゲームや本の中だけの、妄想の世界だと思ってた。

それが現実に、自分の身に起こって・・・

そして、あの悲劇を・・・あの惨劇を・・・・・・


To be continued...

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