旅立ち...7
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<毎週土曜日掲載>
早速許可を貰って夕食の席を辞し、使用人(?)の方に案内されて、昼間の書斎にお邪魔させていただいく。
日が落ちて暗くなっているので、室内のケーレウスが灯される。
明かりに照らしだされた室内では、思った以上に蔵書が多く有り、大なり小なり貴族も文学に、造詣を深める必要があるんだと思いつつ、どんな本があるのか近寄り表紙を物色してみる。
ってか、文字が読めるんだろうか・・・手近なところから順に取って捲ってみる。
が、はい! なに書いてるか、まったく分りません!
そんな便利に、何でも出来るわけないですね! 元々(現在も)魔物ですしね!
はぁ~・・・さて、どうしよ?
まあ取り敢えず挿絵だけでも見て、類推してみるか・・・って、やっぱり読めないと、なんの事かさっぱり分らんな。
ん? 待てよ。 無駄に終わる事もないだろうから、ここは権能に問いかけてみるか?
そう思い、意識を内に向けてみると・・・
『我らが主よ。 我らに求めよ・命じろ・それに応えん・それに答えん』
おっ! 装身具が淡く光り、頭の中に重なった声が響く。
更に意識を内に向けてみる・・・
『お前たちの力で、この蔵書を読めるように出来ないか?』
『・・・造作も無いこと』
『我は、暴食』
『・・・どうすれば良い? 書物を開いて、読めば良いのか?』
『不要・・・全てを、取り込まん』
『取り込む? どうするんだ?』
『望む物を、手に取るがよい』
手に取るね・・・すっと手を伸ばし、本棚から一冊の本を取り出し持ってみる。
『・・・・・・消えた!? いや、消しちゃ駄目でしょ!』
ひぃー、怒られる。 どうしよ、不味いでしょ・・・これは。
いや、ゴブリンの時に分ってたよ。 でもね、自信有りそうな感じだったでしょ?
「・・・・・・」
一瞬思考を放棄しかけたが、また声が頭に響いたので、意識を其方に傾ける。
『・・・えっと、どうすれば良い?』
『望む物を、意識するが良い』
望む物って・・・じゃあさっきの書物を、手に持った時を意識してみる。
『・・・・・・出たよ。 え? 戻ってる!?』
『得たものを、再度取り出す事など造作も無い事』
あんたは偉い! ふぅ~、助かった・・・ん?
頭に何か、情報が入り込んでくる?
『我は、強欲』
『我は、 在りし物を操らん。 得た物の情報や知識を与えん』
なんですって!? あんさんそんな事も出来ますのん!
・・・・・・また、似非関西弁になってしまった。 って、そんな場合じゃない。
暴食が取り込んだ物は、強欲が利用することが出来るのか・・・転生前の子どもの頃に見た、某アニメの青いダルマみたいな・・・
ぶるぶるぶる・・・軽い現実逃避は後にして、別な書物を手にとって捲ってみると、先ほどまでは読めなかった文字が、今は読んで理解することが出来る。
翻訳コンパクト♪翻訳コンパクト♪学者さんに、な~~れっ♪ って、違うわ! てか、古いわ! はぁはぁ・・・いかん、また軽く現実逃避を(2回目)・・・
なら、此処の全ての書籍を暴食で取り込んで元に戻し、強欲で膨大な情報を入手することが出来る、のか?
てか、100冊以上あるぞ。
そんな膨大な情報を取込んだとして、脳ミソ(?)が耐えられるんだろうか? 甚だ疑問だ・・・
ご都合主義の便利機能キター! って思ったけど、文字も読めるようになっているし、無作為にでは無く必要と思える書籍を選んで、それを暴食と強欲で対応しよう。
・・・と言う事で、以下の書籍を選んでみた。
・九つの世界
・魔物大全
・家庭薬学
他は、貴族うんぬんとか、政務・農耕が中心で、教会や神に触れるものは無く、領地経営の実務に関することが大半だったので除いた。
いま欲しいのは、この世界の情報が優先だしね。
さて、どんな情報が、手に入るのかな?
二つの権能の力を使う・・・情報が流れ込んできた。
◆◇◆◇
天と地を貫く巨木である世界樹。
そを中心に、この世界は九つの階層に分かれる。
その枝葉は世界を覆うよう伸び、三つの巨大な根が三層の世界を貫く。
第一層:天空には
神々の国『 テラ 』 世界の最も頂点にて、男・女神々の世界。
光の妖精の地『 アルブス 』 光の妖精が住む明るい世界。
もう一つの神族の国『 ルキドゥス 』 豊穣神が住む世界。
第二層:地上には
・人間の大地『メディテラ』 周りを大洋に囲まれた、人間の住む世界。
・巨人の住む世界の果て『ラートゥム』 巨人が住む東の世界。
・小人の住む地『プーミリオ』 と 黒の妖精たちの国『ディーウァ クァエダム』 小人等が住む世界。
第三層:地下には
・冥府『インフェルヌス』 死者の国。
・闇と霧の国『テネブラエ エト ネブラ』 北の極寒の世界。
・炎と熱の国『フランマ エト カロル』 南の灼熱の世界。
◆◇◆◇
「・・・・・・・・・・・・」
え~、一冊目から・・・何なんでしょうね?
本のタイトル通りで、この世界って九つで構成されてるんだぁ・・・・・・へぇ~。
どっ、どうしよう・・・すっごく軽く考えてた。
今後、訪問する先や調べること、ざっくり増えましたねっ! はい! はぁ~・・・
まっ、まあ神々の世界も在ることは、間違いないって分ったんだし、あるか分らないけど何処か大きい町の図書館や、教会で”ナニカ”の手掛かりぐらいは掴めると思おう。 うんっ! 前向きっ!!
で、次は・・・・・・はい。
普通に、魔物/薬草の名前・種類や特徴、危険度や効能等のありふれた内容の書籍でした。
まっ、まあこれも旅をするうえでは、必要な知識だったりするから、何処を旅しても問題ないと思おう。 うんっ! 前向きっ!!(2回目)
さてっと、権能のおかけで非常に簡単に事を終えたけど、それでも時間はそこそこ経過していたようで・・・
コンコンッ、コンコンッ・・・ガチャッ
ドアのノックの音がしドアが開くと、使用人の方が迎えに来てくれていた。
「失礼いたします。 随分と熱心にお読みになられていたようですが、そろそろご就寝いただく頃合と思いお声掛けさせていただきました」
「あっ、はい。 ありがとうございます」
「では、お部屋へご案内いたしますので、こちらへ・・・」
促されるままに付いていくと、宿屋の部屋とは違う広めの部屋に通された。
室内は明かりが灯されていて、仄かに温かみのある光で照らしていた。
最初の応接室に置いてた荷物も、運んでくれていたようで隅に置いてくれていた。
「では、失礼いたします」
「あっ、ありがとうございました」
使用人の方がドアを閉め出ていくと、その場で軽く室内を見回してみた。
ベッドと書き物机だけの質素だけど清潔感のある部屋で、灯された明かりを吹き消しベッドに横になると、そのまま直ぐ吸い込まれるように眠りについた。
◆◇
翌朝、日が昇る前に目が覚めた。
夜明け前の薄暗い部屋の中で、薄っすら目を開けつついると、だんだん慣れてきて室内が、ぼんやりと見渡せるようになる。
身支度を整えるためにベッドを下り窓に近づく、開けると少し肌寒い感じもするけど、気持ちの良い空気を吸い込む。
今日は寝過ごさなかったので、早めに次の場所へ出立はできそうだ。
「うぅ~ん。 ふぅ~、さあ早く準備しないと・・・」
準備を始めて少しすると、窓から朝日が僅かに差込み、室内を柔らかく照らしていく・・・今日の天気も快晴のようだ。
さて、簡単に準備を済ませてから、改めて昨晩の基礎知識を思い出すと、ちゃんと思い出すことが出来たのと、この世界の概略地図(?)が情報として頭に入っていた。
昨晩は無かったような気もするけど、細かい町や街道に関しては分らない代わりに、大まかな山や谷・川等が分るようになっているので、旅をするのには役立ってくれそうだと思う。
荷物を纏め部屋を出ると、玄関ホールに向かってみる。
複雑な造りではなかったので、すんなりと行き着くことは出来たが、昨日のお礼と出発の挨拶をしないわけにはいかない。
誰か呼ぼうと思って立っているとそこに、使用人の方が現れたので声を掛けて、領主様に発つ旨を伝えて欲しいとお願いした。
暫らく待つと、ポンジョさんが来てくれた。
「ジーク様、随分お早いお発ちですね」
「ええ、まあ次の村や町までも、街道沿いで1日掛かると思いますので、早めに出発してのんびり行こうかと・・・」
「そうですね。 ここでは、乗り合い馬車等もございませんので・・・では、主の元にご案内いたしますので、此方にお越しいただけますでしょうか?」
そのまま付いていくと、昨日の書斎へ案内された。
ポンジョさんが声を掛けてくれると、机で何か書き込んでいたピューター男爵が、此方に気付いてくれたので、昨日のお礼と出立の挨拶をするべく近づく。
「おお! ジーク殿、早いな。 昨日の疲れは、取れたかな?」
「はい。 十分すぎるほどに・・・この様にお持て成しいただき、誠にありがとうございました」
「いやいや、昨日も申したが、礼を言うのは此方の方だ。 さて、もう発たれると言うことなので、もうひとつの褒美の身分証をお渡ししよう」
そう言って机の上にあった用紙を、ポンジョさん経由で手渡してくれる。
「紙に書いただけの簡易な物ではあるが、我が家の印も入れてあるので当面は、この書面を見せることで身の証明にはなろう」
手渡された用紙を見ると簡略化された、剣・森・麦が描かれた印が押されていた。
開拓村と言うことだったから、実際の生活環境をモチーフにしてるのかな?
と、そんなどうでもいい事を考えながら・・・
「あっ、ありがとうございます。 正式な身分証の再発行まで、大事に使わせていただきます。 本当に、ありがとうございます」
・・・その後は簡単な挨拶を済ませ退室すると、玄関口までポンジョさんは付いてきてくれた。
書面は辞去した後に、折りたたんでポケットにしまった。
「ポンジョさん、お世話になりました」
「此方こそジーク様には、偶然とはいえご助力いただき、誠にありがとうございました」
「旅は辛い事もおありと思いますが、お気をつけてこの先の旅路をお続けください」
「はい。 では、失礼いたします」
玄関口を抜け南側の出入り口に向かうも、まだ時間も早いので村人の姿もまばらで、昨日みたいに囲まれる事もなく、守衛の方に簡単な挨拶をして村を出た。
To be continued...




