13〜ギルフォードside2〜
病から回復して以降、娘は今までにはなかった行動をとるようになった。やたらと本を読んだり、領地についての質問をしてきたり。一瞬、後継者に名乗り出るのか?と思ったが、そういうわけでもないようだ。質問は多岐にわたっていた。
そうかと思えば部屋に篭って、質問はおろか話すことも少なくなった。こちらから話しかけようとしても、何かを考えてるのか一点を見つめてぶつぶつ喋っている。一体どうしたというんだ…?
さすがに心配になってきて、家族旅行に誘った。娘が生まれてからは長い旅行は行っていなかったから、妻や息子も喜んでくれた。
学生の頃から仲の良かった友、バーナードの領地。昔は夏休みになると遊びに来ていた。お互い結婚してからは忙しくなり、すっかり疎遠になっていた。
「お前の娘はすごいな!」
バーナードにそう言われたのは、港町の懐かしさにも慣れた数日後。一緒に酒を酌み交わしている時だった。
話を聞けば、領地の貿易にかなり良い話を聞かせてくれたと言う。話を聞いてびっくりした。そんなにも知識を得ていたのか。
バーナードには、いろんな本を読み知識を蓄えていたと話すと「素晴らしいじゃないか!ぜひ嫁に欲しいなっ!」というので酒に任せて殴っておいた。まだそんな話は聞きたくない。
そう思っていたのに公爵家の客人という子と親しくなってしまった。娘の成長が早すぎてつらい。
「…客人はどういう子なんだ?」
つい気になって聞いた。だが、親とうまくいってないらしく保護を頼まれた、とだけバーナードは言った。
べルーファス公爵家に頼めるほどの客人?
公爵は爵位最高位。その家が「預かった」ではなく「頼まれた」? 必然と相手は決まってくる。
『王家』。
確認は取らなかった。世の中聞かない方がいいことはたくさんある。だが、私が気付いたことも友は気付いているだろう。これでは意識するなと言う方が無理だ。
客人が侯爵家別荘に来る時、しっかり出迎えてしまった。自分の身に沁みた貴族としての素養が憎い。
しかし、我々に臆することなく話す言葉や仕草で確信に変わる。だが今の国王にはあの年頃の子どもはいない。いないはずだ。
…だが、もしも……王家の隠し子だとしたら?
…間違いなく、大問題だ。
ただその場合は公爵家の『客』ではなく『養子』として迎えるのではないだろうか。より秘匿するために。
「…お前が考えてることは予想できるが、それは違うから安心しろ」
何度目かの晩酌。学生の頃から変わらない物知り顔で、ふふんと笑う友に少しの苛立ちを覚えたが、王家のスキャンダルじゃないことには、ほっとした。
(では、あの子は誰なのだ…?)
疑問は解消されないまま、旅行は終わった。
⭐︎
その後、娘にも婚約者ができた。旅行時にあった『客人』と同じ愛称になる、デビッド・ナヴァル。
正直気に入らない。娘をどこか馬鹿にしているような態度も垣間見える。
だが、娘は思い出のフィルターがかかっているせいか惚れているらしい。
婚約者の爵位は伯爵。あの『デビ』ではないのだと思うが…。
「…あの子は私とって可愛い娘だ。どうしてもわがままを聞いてしまう。」
だから例え、気に食わないお前でも婚約者として据えている。あの子が望んでいる限り。
言外にそう言ったつもりだったが伝わったのかどうなのか。
娘の婚約者は「…お任せください、侯爵様」そう言って腰を折った。
ここまで読んでいただき、本っ当にありがとうございます(♡ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾
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