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異世界では幼児が最強のようです~元社畜による正しい生体兵器の育て方  作者: 黒辺あゆみ
第七章

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196話 蛙が出た

 ――う~ん、どのあたりに薬草があるんだろう?


 アキヒサが沼を覗き込もうとすると。


「あまり近付かないでください!」

「アイツらが出てきちゃう!」


ジムとキャシーが口々にそう言ってきた、次の瞬間。


 ザバァン!


 沼から飛び出てきたのは、なかなか大きな蛙であった。

 レイと同じくらいの背丈なのだから、アキヒサとしてもさすがに気持ち悪い。


「ゲロロ」

「ゲコゲコ」


大きな舌をベロンベロンとしながらこちらをねめつけてくる蛙を、アキヒサはとりあえず鑑定してみる。


~~~

マッドトード

泥の中を好む蛙型魔物で、毒を吐いて攻撃してくる。

清水を好みの環境に変えてしまうので、大量繁殖されると環境汚染の原因となる。

泥臭いので食用に向かない。

~~~


なるほど、この沼が臭いのはこのマッドトードのせいである可能性がある。

 けれど――


「これは、レイ向きの獲物じゃあないなぁ」

「う?」


アキヒサが苦笑するのに、レイが「そうなの?」という顔で見上げてくる。

 蛙の毒吐き攻撃を食らうようなレイではないだろうが、殴っても蹴っても、もれなくレイがグロいものを被りそうである。

 当人はそれもなんとも思わないかもしれないが、アキヒサとしては自ら汚れに行くのは止めさせたい。

 するとその時、沼の向こうに鹿っぽい姿が見えたのに、「む!」とレイが反応する。

 ちょうどいいので、レイにはあちらを担当してもらおう。


「レイ、あっちを狩ってきなよ」

「むん!」


アキヒサが促すのと同時に、レイがその鹿っぽいのに特攻していく。

 これに子どもたちの中から、ダンが「あ」という顔になり、アキヒサをちらりと見る。

 ダンはどうやらレイの戦い方が気になるようであるし、「行っておいで」とこちらにも促す。


 ――まあ、レイもダンに気付くだろうし、危ないことはしないかな。


 なにしろレイはこの依頼は自分の依頼だと、張り切っているのだから。

 一方で、焦っているのが残った二人だ。


「あっ!」

「ちょっとダン!」


ジムとキャシーが慌てるのは、ダンが三人の中で唯一それなりに戦えるからだろう。

 攻撃手段を失うようなものだから、怖くなったのだろう。


「あの子にダンまでいなくなったら……!」


キャシーが青い顔をして文句を言ってくる。

 アキヒサたちはレイが攻撃担当だと思っているのだろう。

 確かに特攻担当はレイかもしれないが、ここでアキヒサもいい所を見せておきたいところだ。


「「ゲロゲロ!」」


蛙たちがアキヒサたちへ襲い掛かろうと、ピョーンと大きく跳ぶ。

 さすがこの大きさの蛙は、跳躍力もなかなかだ。


「きゃあ~!」


キャシーが悲鳴を上げ、ジムが感心にもキャシーを守ろうというのか、ナイフを持って彼女の前に立つ。


「おぅい、仮にも冒険者なんだし、大声は獲物を刺激するから止めた方がいいぞぉ」


アキヒサがキャシーにそう注意する。

 アキヒサ自身、この世界に来た当初は魔物が怖かったが、レイの無双で大量の魔物を見て慣れたとも言う。

 それに、どうせ蛙はアキヒサたちを襲えない。


 バチィッ!


 蛙たちはなにかに弾かれるようにして、跳ね返っていく。

 アキヒサは引率ということをちゃんと考えていて、森に入る前から結界を張っていたのである。


「平気だから見てなよ、『氷の矢』」


アキヒサは蛙を氷の矢で串刺しにしていく。

 火や風で攻撃すると散らかりそうだと考えて、氷にしたのである。

 ブリュネには魔術のことはできるだけ教えるなと言われているが、今回はキャシーの実地教育ということにしてもらおう。


 ――魔術を見せると、キャシーも魔術に目覚めるかもしれないし。


 アキヒサのそんな思惑を知らないジムとキャシーは、驚愕の表情である.。


「これ、俺の秘密技ね」


そんな二人に、アキヒサは微笑んだ。

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