9 【深淵】の闇と闇の契約
どうも、かまぼこです
できあがったので投稿しました
新章です
「えっと……これから何するの?」
城門での事件?の後、私 姫は魔王であるお兄ちゃんに連れられて、魔王城上層部にある”宵闇の間”にやって来ていました
現在の時刻は午後10時過ぎ……地球にいた頃はもう寝ているかもしれない時間です。
「取りあえず……【闇の契約】で姫の中に眠る力を解放させるぞ……」
「【闇の契約】?なんか名前からして恐ろしいんですが……」
「魔王軍でも【幹部】の子たちと俺しか行っていないものだが……チート級の強さが手に入るぞ」
「チート級……」
私、現在のステータスが微妙すぎて……無意識のうちにこういうイベントを望んでいたのかも
チート級と言われてはやらないわけにはいきませんね……
「とりま魔法陣の作成からだな。今回は俺がやるが……近いうちに姫もやるようになるから、ちゃんと方法を覚えておけよ」
「は、はい!!」
魔法陣の作成……地面にチョークで描くのかなぁ
するとお兄ちゃん、《アマテラスの鏡》を操作して白いチョークを取り出すと
「ふんっ!!」
と言い、地面に向かってぶん投げた……
ぱきぃぃん!
激しい音と共に、チョークは地面に砕け散りました
「……何やってんの?」
「見てろ」
お兄ちゃんがそう言うと……地面に散らばっていたチョークの破片が形を変えて
合計で6本の白いチョークが生成されました
「……増えたぁぁぁ!」
増えたチョークはそれぞれが動き……あっという間にファンタジー世界でお馴染みの魔法陣が完成しました
「……こういうことだ」
……ツッコみ所が多すぎてもうどこからツッコんでいいのか分かりません
「召喚、【深淵】の闇 」
……詠唱雑過ぎない?こういうのってもうちょっと……こう、長いよね……?
私の脳内ツッコみをよそに、召喚は成功したようで……
「わらわを呼んだのは……お主か?」
ふりふりした黒いドレスを着た黒髪ツインテールの女の子がそこにいました。
「はい、えっと……あなたは?」
「……わらわは【深淵】の闇 ユナ」
「あ、ユナ様というのですね、私は姫 白ノ宮姫です」
こういうときはお互いの自己紹介からですね
「お主、何を望む……」
……私は答えるため、魔法陣の中心部まで歩きます。
「私は、「力」が欲しいです。偽りの正義や、私を襲う理不尽に……負けないための「力」が……」
もう……あのような怖い思いはしたくありません
「分かった、その願いわらわが叶えてやる……。姫よ、右手を差し出せ」
「は……はい」
私は、ユナ様に言われた通りに右手を前に差し出します。
「これから、お主が今持つ『闇』を見るぞ」
と言い、ユナ様は自分の右手を私の手に重ねました……ちっちゃい……
ユナ様は少しの間、その状態を保ちます。何か分かるのでしょうか?
「なるほどな……お主の『闇』はまだ完全体ではない。今のままだと、ないといってもいいくらいじゃ」
「ない……」
「だから、わらわと契約しないか?」
「け……契約?」
見た目は女子高生の私より年下の子から、「契約」という単語が出てくるとは……
「わらわがお主の力を全て解き放ってやろう。その代わりに、お主はわらわの依り代となれ……」
これ、選択したらもう後戻り出来ない系のイベント?だよね。まあ、やるけど……
「はい、お願いします」
「承った」
ユナ様はそう言うと、自分の左手を私の胸に当てました
「これより、わらわ【深淵】の闇 ユナとお主【黒の巫女】姫のもとに、闇の契約を行う。お主は今からわらわの力を受け取り、新たなる姿に生まれ変わる」
ユナ様の詠唱が始まりました。その内容は.……意外にも見た目から想像できるものでした(私の感覚がおかしくなってるだけです)
「姫、闇を愛し、闇と共に生きろ。闇はいつも、姫を支え、姫を導く力となる」
私は、闇を愛し、闇に生きる者。闇はいつも、私の味方
「さあ、闇の時間を始めるぞ!!【闇の契約】!」
ユナ様の詠唱が終わると同時に、私の中の何かが爆発し、胸元から黒い魔法陣が展開されました
「……つっ!!」
それに合わせるように、体全体に黒い霧のようなものが拡散されていきます
まるで……私の中に私じゃない何かがいるみたい
不思議な感触が私を覆い尽くしていき……徐々に私が私じゃなくなっていきます
「これが……闇。私の、新しい力」
私の中から湧いてくる力が……物凄い快感を与えてきます。気持ちいい……
「姫よ!!我が力、受け取るがいい!」
ユナ様が胸元の魔法陣を通して、私の体の中に入ってきました...ありがとうございますぅ
さよなら、弱かった私……
周囲の闇が私を外から覆い……
私は……完全に闇に染まりました
……要するに、闇堕ちしたのでした
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それではまた