第十七話
王様に続いて向かった先は、騎士団の練兵場だった。
今日用に作られたであろう練兵場の中央に石造りの場所が一段高く作られていた。
そして通された観客席は、練兵場を見渡せる高い位置に作られた場所ですでに多くの人が着席しており、王様と一緒に来た俺と父様はその人たちの視線に晒された。
その視線は俺を見て、父様を見て驚愕に目を見開くのが面白い。
王様は一番前の良い席に座ると俺を手招きして隣の席を勧めた。その席には既に座っている人がいたが、その人は俺を見て間髪入れずに立ち上がった。
…祖父、何故そんな嬉々として立ち上がるんだよ!?
そして父様はサッサと王様の後ろに立って護衛みたいな態度を貫いている。
父様、ズルい。
王様は笑いを含んだ瞳で俺を見て再度、隣の席を勧めて来た。
俺は静かに隣に座った。
それが合図となったのか階下にいた教師らしき人が王様に一言欲しいと言った。
「未来ある若者の切磋琢磨した結果を楽しみにしていた。研鑽を重ねた君たちの奮闘を期待する」
王様は威厳ある声で言い、階下にいる決勝戦に進んだであろう生徒が一礼した。
それぞれ6人づつのチームに別れている。
王様は俺の耳に口を寄せて囁いた。
「右側の方が、レオ達だ。茶色の髪がレオナルド、その隣にいる黒髪がセリオーザ家の嫡男だ」
「…あの女生徒は?」
俺は階下の生徒達を見て男子生徒の中に一人だけいる女生徒に目が行った。
ピンクゴールドの髪は、生まれて初めて見た。珍しい髪色だ。
ん…初めて?
いや、俺はどこかで見たことがある…あそこにいる人たちを、どこかで見たことがある。
レオナルド王子…セリオーザ家…ピンクゴールド髪の少女…どこだ、俺はどこで見たんだ?
「あの少女は?」
「あの生徒は…トニコア・ヴェレッド嬢ですね。入学寸前に母親が病に倒れたため入学が遅れ途中編入してきた生徒です」
王様の質問に父様の隣に控えていた書記官が資料を捲りながら答えた。
トニコア…ヴェレッド…?
それは、確か…「マジ・ラブ」のヒロインの名前…?
そう脳裏に浮かんだ瞬間、俺はゾッとした。
俺は、フレイル・アルフレド・リヒテンダール…「マジ・ラブ」の、隠しキャラクター!?
その事実に、思わず叫びだしそうになり俺は慌てて自分の口を掌で押さえ込んだ。
嘘…だろ!?
ここって、乙女ゲームの…世界なのか!?
そう混乱しながら、もう一度階下の生徒を見れば「マジ・ラブ」の攻略対象者がズラリと並んでいた。
俺様気質のレオナルド王子
冷徹クールなフーリ・セリオーザ
元気一杯!忠犬セレーノ・リーディ
チャラ男の権化ルーラン・アマント
ヤンデレ気質のマーク・ラフザ
そして「マジ・ラブ」の主役であり、ヒロインであるトニコア・ヴェレッド!!
俺の背筋に冷たい汗が伝って落ちて行った。
頼む、誰でもいいから、嘘だって言ってくれ!!




