いつか来る、新月の夜に
幼馴染のじれじれ恋愛ファンタジーです。
カクヨムにも投稿しております。
よろしくお願いいたします。
「ごめんねルカ。待たせちゃったみたいで……」
謝りつつ顔を上げた私は固まった。
そこにいたのは私が知っている「黒髪黒目のルカ」ではなかったからだ。
さらりとした金髪に、緑色の瞳。
息をのむほどに美しい男性が私をじっと見つめている。
優しい光をたたえた緑の瞳を見た瞬間、昔の記憶がフラッシュバックする。
―――全身鳥肌がたった。
「……ルカ、なの?」
私の言葉に、目の前のその人はふわりと笑った。
見慣れた今の彼ではない。
あの頃の懐かしい姿で微笑む彼。
あまりの衝撃にめまいがする。
「……え……な、なんで……」
混乱する私に手を伸ばし、彼はにこにこっと笑って頭をぽんぽんと撫でてきた。
あー、えっと……??
なんですかこれ?夢?うん?夢っぽい??
よくわからなくなってきた時だった。
不思議に思い彼を見ると緑の瞳と目が合った。
するとにこにこ笑っていた彼がふっと表情を変えた。
そして次の瞬間、ぐいっと引き寄せられる。
「会いたかった……!」
ぎゅっと抱きしめられ、回らない頭が完全に止まった。
息をするのも忘れていたと思う。
「……クレアちっちゃい。こんなんだったっけ?可愛い……」
耳元で聞こえるそんな言葉に頭が真っ白になる。
「……ずっとずっと触れたかった。――俺、ほんとによく耐えたと思わない?」
「あ、あ、あの……あの、全然意味が……っ」
ドキドキしすぎて声がうわずる。
すると抱きしめる力をそっと緩め、私を見てきた。
ち、ちかすぎる。眩しい。どうしようちょっと待ってほんとに。
っていうかほら、右手は!?なんで?灰になっちゃうんじゃないの!?
ずっと私を遠ざけてたよね?
その時、部屋の外を歩く人々の声が聞こえてきた。
ドアを開けっぱなしだったことに気づいた私は、はっとして彼をぐっと押し返す。
「……ごめん、嫌だった?」
悲し気にそういう彼。
まるで怒られた子犬ようにしゅんとしている姿に、私は申し訳なさでいっぱいになってしまう。
「あ、えっと、その、ドア閉めたくて……」
そう言ってドアをそっと閉める。
……まって。これすっごい密室じゃない?
パタンと閉めたドアに触れたまま、彼の方をそっと振り返ってみる。
すると、金髪の彼は私をみてにこりと微笑んだ。
「邪魔されたくないもんね?」
「ち、ちがうよ!?」
私が慌てて否定すると、彼は楽しそうにくすくすと笑い出した。
いつものルカじゃない。こんな風に笑わないし、近づいてもくれない。
あの頃の……いや、あの頃より数倍凶暴な『大人の色気』を放つルカが目の前にいる。
どちらにしてもすごく対処に困るというか……
そこまで考えてからふと気づいた。
「あれ?いつものルカってなに?本当のルカって……どっちのことなの?」と訳が分からなくなった。
これは私が本当の彼を取り戻すために、命がけの調剤に挑んだ物語。
私と彼の間に起こった出来事を、少し時間を戻して話をしよう。




