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報酬

 

 ……


 蛇退治を終え、来た道を静かに引き返す……。退治といっても何が何やら……。ズルズルと引きずり込まれ穴の奥に消えた蛇……その先に何がいたのか……

 

 あ~~あ。今回も? 大活躍できなかったわね。ま、お手当がでるからいいけどさぁ。坑道内では火は使えないしぃ、”土槍”は効きづらいしぃ。しょうがないわよね! 

 「私ら大して役に立たなかったわね」

 と、キキももらす

 「いえいえ! あの(蛇の魔物の)突撃の威力を殺した魔法もお見事です。それに終始、明かりの魔法を使っていただき感謝ですよ。私たちはてんで夜目は効きませんからね。ヤルル殿のいうとおり洞窟内。不用意に火も使えませんしね」

 とジーギスさん。周りの兵隊さんたちも頷いてくれている。ちょっとは役に立ったみたい。

 

 そもそも私たちも真っ暗、暗闇じゃ何も見えないのだけれどもね。人族よりも必要な光が少ないだけ。その点はドワーフの爺ちゃんも一緒ね。ノーム族はどうだかしらないけどぉ。だって、明かりもつけずにヘビの後を追って坑道の奥に行ったもの……

 「でも、ヘビどうなったのかな?」

 「さぁね。あとでノームの方たちから報告があるのじゃなくて?」

 と、ヤルルちゃん

 「私達への依頼はヘビを追い払うことだし? ま、いいんじゃない? 結果、いなくなったんだし?」

 いいのかなぁ~~。もっと厄介なのが来てたりして……


 ……

 

 ……帰路。引き返せば今度はカエンアリの数がどんどんと増えていく……。彫像みたいにじっとこっちを伺っているだけだけどもね。その間にノーム族の方の姿もちらほら見える。本当に一緒に生活しているのね。来たときと違う道を通っている? だって、通路の壁に等間隔に明かりが。火を使わない魔導灯だろう。うっすらと青白く周囲を照らす

 

 「ノーム族の方たちがいてくれるからいいが……背筋が凍るな」

 と、周りにきょろきょろと視線を向けるイヴェルタさん。天井に張り付いているアリもいるし。ぐるっと囲まれてじっと見られているもんね。その中をゆっくり進む……イヴェルタさんのおっしゃるとおり襲われたらお終いね。

 すると、アリの間から草のツルで編んだバスケットを持ったノーム族の女性が二人、こちらに走ってくる。

 「ご苦労だった! これ、土産だ!」

 「ほれ! 持ってけ!」

 ずい! と、バスケットを何故かヤルルちゃんに差し出す

 「あ、ありがとう? でも、私がいただいていいのかしら?」

 と、少々困り顔のヤルルちゃん

 「かまわん! どうせエルフ族しか喜ばん!」

 「うむ! 持ってけ!」

 と。

 バスケットの覆いのナフキンをヤルルちゃんが捲ると

 「あ! ああぁ!!! こ、これって!」

 と、歓声! そこには……。キノコ……

 最近、マーレン街にも出回り始めたトワ兄が作っているシメジに似た親指くらいの大きさ、青白い色のキノコがどっさり。

 「キノコ?」

 「ま、そうね……キノコだもんね。エルフ族しか喜ばないかも?」

 キノコ一つをつまみあげ、鼻を近づけ香りを堪能しているヤルルちゃん。キノコだし。大喜びのヤルルちゃんに比べお肉大好きな私達の反応はこんなものよ。

 「で、ヤルルちゃんこのキノコって珍しいの?」

 と、今もなお興奮状態のヤルルちゃんに聞いてみる。

 「ええ! もちろんよ! これって”オオシロアリタケ”っていってね! なかなか採れないのよ! 超高級なんだから!」

 「へぇ~~」

 「そうなんだ~~。よかったね?」

 「このバスケット一杯で、森林国なら金貨がどれだけ要ることか!」

 「へぇ~~」

 「そうなんだ?」

 あ、そういえば、ドワーフの爺ちゃんたちの好物の”爆発茸”もめっちゃ高価って聞くものね……

 「どうする? トワ兄の所に送る?」 (メメ)

 「お! 報奨金がっぽりもらえるかもよ? ヤルルちゃん」 (キキ)

 私達の言葉にがっくりと肩を落とし、なんとも残念な表情になるヤルルちゃん……今にも泣きそうだ。

 「は、ははは……そんなに落ち込まなくとも……」 (メメ、苦笑い)

 「そ、そうだよ! ヤルルちゃん、キノコ全部食べていいからさ!」 (キキ)

 「うんうん」 (頷くことしかできない私……)

 ここまでガッカリするとは……

 「そ、そうね……。で、でも……。………………。報奨金もだけれども、研究の結果、栽培可能になるかもしれないしね……そうしたら一年中食べられるかも……しれないし……」

 「……なによ、その・・・は……。食べて良いって」

 「うんうん。無理はいけないよ?」 (メメ)

 「……キキ、説得力あるわね」

 と、キキのお腹のお肉をつまむヤルルちゃん。ぷぷぷ

 「うっさい!」

 ”はっはっは”

 「でも、一理あるわね。斥候隊の方が時間系のバッグを所持していれば送るか……。さすがの私もこんなにたくさん一回で食べられないものね」

 「一回で食う気かよ……」

 呆れ顔のメメ。同感

 「バスケット1個分? 余ったら干し椎茸みたいに干せば?」

 「腐っちゃったらもったいないじゃない!」

 「……はいはい。キノコはヤルルちゃんにお任せします!」

 「好きにすればいいさぁ」

 イヴェルタさんたちも頷いているし。いいんじゃね?

  

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