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第四章☆美咲とデルムント
第四章☆美咲とデルムント
「ごめんくださーい」
玄関で若い男の声がした。
美咲は眉根を寄せて、音を立てずに玄関に行き、覗き窓から来訪者の姿を見た。
押し売りの類ではなさそうだったが、怪しいと思った。
「ごめんくださーい。美咲さんいらっしゃいますか?」
美咲はずっこけた。なんで私を名指しなの?!
「怪しくありませーん。押し売りでもありませーん」
「…」
「押し買いに来ました!」
押し買いってなに?
「どうしても美咲さんに譲っていただきたい品物を高値で買い取りにまいりました」
そんなのお断りよ!
「そう言わずに!」
なんで喋ってないのにこの人考えてることわかるの?怖っ!!
「怖くありませーん。また来ます」
えっ?
シュッと姿が消えてしまった。
そうっと玄関のドアを開けたが、誰もいなかった。
「おかーさーん!!」
パート仕事を終えて帰ってきた母親に話したが笑い飛ばされてしまった。
「夢でも見たんでしょ?」
「違うもん!」
あのとぼけた顔を忘れるもんか。と美咲は思った。




