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魔導エアロバイクで、大空を自由に飛びまわった。最高の達成感に身を委ね、浮かれすぎて、調子に乗ってしまい。その結果、大事な人を泣かせてしまう事になる。
「やっべ。」
エアロバイクの操縦にも慣れ、宙返りが出来るように、なった時、大事な事を思い出す。失敗した。
帰りたくない気持ちで、いっぱいだったが、帰りが遅れる程、傷口が広くなる。すでに、だいぶ広がってる気がする。
目的地に、だいたいのあたりをつけ、じわじわと降下する。なんだかんだ、この街も慣れた。空から見ると景色は違うが、目的地はだいたい分かる。
見えた!この辺では1番目立つ建物だ。屋根に穴の空いてる建物は、異世界でも珍しい。先程、おじさんが、このエアロバイクの緊急回避ボタンで、作った穴だ。
マジ帰りたくない。
何処かの主人公のように死に戻りが出来れば。いや、使う勇気が無いので、おじさんが持っててもタダの死にスキルになるが。
コォォォォ。
ゆっくりと、垂直下降する。ヘリコプターなら、ダウンウォッシュという風が発生するからこんな無茶は出来ないんだが、魔法のインチキ力により、スポッと部屋に舞い戻った。
そこには、死んだ顔で空を眺める石像がいた。美しい像には、枯れた涙の跡がある。ゼルと目が合う。
コォォォォ、フシューー。。
「た、ただいま、レイ?」
石像は、石化の呪いが解け、再び大粒の涙を流した。
「ゼル、ゼフ、ひどい。いなくなったと思った。」
ぽかぽかと、叩かれた一撃は、いつもの地味に痛いキックと違って、ココロに響いた。
「あぁ、悪かった。何処にも行かないから。」
「うぇぇぇん。」
モフりながら、落ち着くのを待つ。目は赤いが、元気を取り戻したようだ。
☆
「ありがとな、ゴーレム戦隊。一緒に、旅に行くか!」
わらわらと、隠れんぼするが如く隠れるちびゴーレム達。え?修理完了したから、見て欲しかっただけなの?
「えっと、それにしてもこの穴は、困ったな。修理業者呼びたいけど、コイツらを隠しておきたいし。」
「ん。隣りの部屋がある。私、天才。」
「隣りの部屋?ちょっとお話ししようか、レイ。」
「んん。天才の私とした事が。」
観念したレイが、ポスターをめくると、隣り部屋に繋がる穴が開いており、その中は、魔獣ラプラスのコレクションルームだった。
隣りの人と会わないなって思ってたんだが、こういう事か。
☆
隣りの部屋に、ゴーレム戦隊とレーション製造機を避難させ、冒険者ギルドの指定した待ち合わせ場所に向かう。そう、エアロバイクで、
「お嬢さん、乗っていくか?」
「ん。」
すっと、後ろに乗ってくるレイ。お手手を背中に感じる。この感触は、久しぶりだった。
キーを回す。
コォォォォ。
「ん。凄い。」
「行こう、馬車との待ち合わせ場所まで、急ぐぞ。」
赤の森まで往復してくれる御者付きの馬車を5日間の契約で、手配している。そして、その待ち合わせ場所に、空を飛んで向かう。急がなければ、
風を斬り進む。あっという間だった。といっても、出発が遅れまくりなので、大遅刻なんだが。
馬車の御者が暇そうに待っていた。
「はぁ、あの着ぐるみ、約束全然守らない。前金で貰ってるからいいんだけど、行程変えなきゃだな。」
上から、フワフワと着陸する。
「待たせたな。すまなかった。」
「ん。」
「いや、いいですよ。ただ、少し行程変えないと駄目ですが。滞在期間を減らすか、1日多く追加料金払うか、決めてください。」
「それなのだが、」
「いや、今日中に予定してた町までは着きません。」
「そうでは無くて、不要になった。金はそのままでいい。」
「は?行くのを辞めるのですか?料金は半額お返ししますよ。」
「いや、行く。この魔道具で。そうだ、なら返金の代わりに、部屋の屋根の修繕依頼を、ギルドに出しておいて欲しいが、頼めるか。」
「いや、それぐらいなら、お安い御用ですが、魔道具?」
「頼んだぞ。」
「ん。バイバイ。」
コォォォォ。
御者は、その日、初めて見た。人が空を飛ぶところを、彼にとっては、忘れられない体験となる。
「ひぃぃぃ、人が人が、空を飛んだ!」




