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世の中には知らなくてもいい事があってもいいと思う。ジャンクパーツを抱えて、工房に向かって歩く、足取りは軽い。落としそうで、なかなか神経を使うが、これで、箱詰め機が出来ると思うとワクワクしている。レイのびっくりした顔が見れるかもしれない。
「ありがとな、ゴーレム戦隊。」
礼を言い、扉を開けて、ジャンクパーツを搬入する。
「ゼル、お帰り。私、天才。」
「ただいま、どうしたのだ?」
帰るなり、レイが、薄い胸をはって得意げに話しかけてくる。
「魔道具の不調の原因が分かったの!ゴミが混入してた。」
「さすが、天才。凄いぞ、レイ。え、では、この箱詰め機は?」
「ハコヅメキ?あと、それは何?」
「これは、ただのジャンクだ。箱詰め機の事は、忘れてくれ。」
部屋の隅に置かれた夢の塊の近くに、買ってきたばかりのジャンクパーツを投げ捨てた。粗大ゴミの日はいつかな。
天才は、いつの時代も、凡人の苦労を簡単に乗り越える。ゴーレム戦隊、今回は出番無かったよ。
しかしながら、ゴーレム戦隊は、健気にも、わらわらと駆け出し、魔導バイクのような夢の残骸を、さっき購入してきたジャンクパーツで修理しだした。
タイヤは、また今度見つけてくるから、ごめんな。
「夜飯を買いに、行ってくる。なにか食べたいものはあるか?」
「ん。ゼルに任せる。」
サラサラとした銀髪を撫でると、気持ち良さそうに、目を細めた。
☆
何が良いかなと物色するが、結局この肉の香りに勝てない。キングベアの串焼きは、普通に美味い。いつか見た熊耳の青年が、タオルを首に巻き、額に汗を流して真剣な顔で焼いていた。更生したらしい。
「2本くれ、今日は親父は?」
「親父は、会合だ。俺は、脂を落とすように焼く。気に入らなければ、親父の時に頼め。」
「いや、それでいい。」
「ほらよ。」
美味そうに、表面だけカリカリに焼けた肉を包んで渡してくれた。一端の職人してやがる。
「そういえば、お前、顔が広そうだな。情報屋はどこにいけば会えるか知ってるか?」
「くっ、恐るべき計画を立てる気か。しかし、貴様には借りがある。バルカンが、教える。裏通り三番街、歓楽街どおり、占い師ルーカスに会え。」
「ありがとよ。」
銀貨(1万円)を、1枚指で弾いて渡してやった。就職祝いだ、若人よ、頑張りな。
☆
赤の森、買い戻しが現実に近づいてきた。人は役を演じるという。凶悪な囚人が、太ったのろまな看守に従うのは、この原理がある。おじさんは、ラプラスなんていう上級悪魔のチカラを借りてたおかげか、少女の悲願を叶えられそうだ。
金は、揃いそうだ。武力もポチョムキンがいれば、大丈夫だ。
だが、まだピースが足りていない。このまま戦えば、負ける。長年、負け続けて気付いた事がある。
最初が肝心だ。そのために、情報が必要になる。ネットの無い世界で頼るのは情報屋だ。まさか、それが占いとは、いかにも異世界らしい。
☆
「ただいま、レイ。」
「おかえり、ゼル。」
当り前の日常が、心地良い。お土産のキングベアーの串焼きをハムスターのごとく、食べるレイを見て、ほっこりした。




