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(´・ω・`)


「ゼル、早く起きて。まったくこんなに汚すなんて。クリーン。」


「あぁ、おはよう。ありがとう。」


 美少女エルフに、仕方ない人ね、なんて感じで起こされる。実に素晴らしい朝だ。


 レイは、小さいのに、しっかり者だ。なんて、本人は思っているのだろうが、まだまだ子供だ。だけど、そんな指摘してきはしない。おじさんは、大人の対応ができるのだ。



 さかのぼる事、数刻前すうこくまえ

 実はゼルは、レイより、少し早起きをした。目がめると、いつの間に移動したのか、ハーフエルフのレイがお腹の部分に抱きついていた。しかし、ゼルの着ぐるみは、モコモコしていて、あまり感覚がないため、気付かなかったのだ。


「ダメ。置いて行かないで、」


 寝言ねごとらし、ぎゅっと抱きついてくるレイを、もふもふした着ぐるみの手で優しく抱きしめる。怖い夢を見ていたのか辛そうな表情をしていたが、緩んだのを見て安心した。着ぐるみのお腹の部分は、よだれと、涙の跡で、カピカピになっていた。


 ゼルは、のそりと、起き上がり、抱きつくレイをぺいっと引き剥がしベッドに寝かせ直した。つい頭を撫でたら、手にしがみつかれたので、そのまま二度寝したのだった。



 レイは、カチャカチャと、10×10の木枠に、緑のポーション瓶を詰めていた。ポーション瓶は採血瓶さいけつ びんぐらいの10cmにも満たない小さなビーカーのような形状だ。透明の瓶に入った中の液体が、薄っすらと発光しており、すごく効きそうだ。


「今日は、納品日。運搬お願い。」


「ん、任せろ。」


 おじさん、着ぐるみのままだから、まらないが、運搬ぐらい出来るだろう。このまま、外に出るって正気か?って考えた人は、同士だ。きっと仲良くなれる。

 でも、脱ぐって言ったら、泣きそうな顔で無言で見つめてくるんだぜ?無言で!それでも脱げますか?脱げるやつは人じゃない。ぜったい、この装備、呪われてる。

 教会でお布施ふせすれば、解呪してくれるのかな?でも、お金ないし、ヒモだし。今は、無理だ。


「へえ、綺麗きれいだな。ん?これは色薄くないか?」


 気まぐれで、偶然、ケースからつまみあげた1本のポーション瓶の液体の色が、気のせいかもしれないけど、変な気がした。レイは、白衣から取り出した魔視眼鏡マナグラスをかけて、その瓶を見る。


「うん、少し失敗してる。見極めるとは、さすが、上級悪魔。」


「ふん、我のチカラは、この程度ではない。」


「え、ケースに戻して!売上高うりあげだかが。」


「は?廃棄はいきだろ?」


「フフフ、悪魔といえども、知恵が、いえ経験が足り無い。少し悪いのも混ぜて水増し。これは錬金業界の常識。」


「ふむふむ。もふもふパーンチ。」


 説明しよう。もふもふパンチとは、着ぐるみを活かした威力0の優しいパンチだ。着ぐるみ大好きっ娘には、精神ダメージが入るぞ。DV男という新たな称号ゲットだぜ。


「な、なんで。」


「完璧な品を納品する事で、信頼を得るんだ。その方が、将来的に儲かる。これは、古代の叡智えいちだ。」


「古代の叡智。深い。」


 強キーワードで説得し、再検品したら、もう3個、計4個の不良品が出た。緑の飴玉じゃなくて、これが規格外品。これを普段、飲めばいいんだよ。封印に、マーシャル工房の印が入ってるのに、不良品を混ぜるとか正気じゃない。日本で、こんな製品出すと、全部リコールの上、ボッコボコだぞ。


「このボコボコ気泡がでてる赤いのは?」


「鬼神薬、天才の私が開発した。」


「へー。」


 テレフォン:鬼神薬とは?

(天才錬金術師マーシャル、レイ、ヴィクトリアが開発した飲めば1時間、筋力強化するポーション。使用期限は、1週間。反応が止まり効果が無くなる前に、ご使用ください。)

 マジか!本当に、天才だったとは。○○と天才は、紙一重という事か。


「信じてないの?」


「いや、疑う理由がなかろう。ただ、完全体の頃の我には不要だったモノゆえ、驚いただけだ。」


「そうなんだ、ごめん。」


 いや、マジでごめん。心で謝りながら、レイの後を、着ぐるみおじさんゼルは、ポーション箱を抱えて着いていく。

 怪しい格好で引かれるかなと、びくびくしていたが、この着ぐるみは、人気があるらしく大丈夫だった。道中、小さい子供に「らぷゅらすー」と大人気だった。


「フフフ、私、天才。」


 と残念ハーフエルフは、ご満悦だったが、小さい子供と同レベルって事だからな?気付いて欲しい。



 そんなこんなで、ギルドに到着した。買取窓口に、ポーションを持っていく。綺麗だけど、少し疲れた顔のお姉さんがいた。


「ようこそ、買取カウンターへ。」


「ジーニャ、回復瓶を持ってきた。ちなみに、これは、私の従魔、マーシャル、ゼル、ラプラス。凄くない?」


「あらら、マーシャルさん納品ですか?」


「ジーニャ、私、天才。」


「くっ、レイ。どう見ても怪しいおじさんじゃない。暗に距離置きたいって言ってるんだけど。」


「無駄。逃さない。」


「で、納品は?げ?ちゃんと100本揃えてよー。何本なの、朝から検品ばっかで嫌になるんですけど?」


「96本だ。」


「は?誰?そんなの信用する訳ないじゃん。」


「ゼルだ、数なんて一目で分かるだろう?」


「意味分かんないですけどー。いーち、にー、さーん。」


 目の前のお姉さんは、何故か1個ずつ数えていきだした。マジか?引き算すれば、すぐじゃん、100-4=96。つまり、そういう事なのか。


 テレフォン:引き算について

 (特に意味が無いとされ、すたれています。)


 ここで、ジーニャさんに、引き算を教えて、プチ知識チートか。いや、理解させるのが面倒だな。逆に、引き算なんて意味ないのにーとか、馬鹿にされそう。うん、想像出来た。耐えれない。


「96で合ってたわ、正直なのね。」


「いや、直ぐに分かる方法を知っている。古代の叡智だ。あの箱は、90。あれは、82。あれは、30。」


「嘘!?全部、合っている。」


「恩を売っておくのも悪くない。簡単なのを教えてやろう。1列揃っている時は、10,20,30と数えるのだ。」


「そ、そんな方法が。」


「フフフ、ラプラス呼んだ私、天才。」


 うん。黙ろうか、このへっぽこエルフ。今の話に関係ないだろ?ぐりぐりと、もふもふコークスクリューで、撫で撫でする。

 もふもふコークスクリューとは?ダメエルフをさらに、ダメにする奥義だ。


 なんか、着ぐるみが、身体に馴染なじみすぎて怖い。呪われてないよね?


「ありがとう。疑って、ごめん。本当に、上級悪魔なんだ。凄いよ。」


「いや、ジーニャとやら、困った事があれば気軽に相談するがいい。」


 おじさん、美人に弱いからね。というのは、さて置き、現場からの相談は、解決策によっては金脈になるから、はずせないのだ。現場無視の需要とずれた技術は、お金にならない。技術を見せつけたくて、お客様置いてけぼりは、若い頃によくやったミスだ。まず聞く。それが一番大事。


「えっと、全然関係ない事なんだけど。」


「構わんぞ。気軽に話してくれ。」


「最近、担当していた、冒険者で獣人のフォクシーが迷宮で死んだの。哀しくて。」


「ふむ。それは、哀しいな。」


「そう、獣人って、強いんだけど馬鹿だから、あたしが、4層までって言ったのに6層まで潜って、回復ポーションもどうせ1層で飲みきってるし、言ったんだよ4層までだって。」


「ジーニャは、良くやった。もう、自分を責めるな。」


「でも、また同じような事が起きるか不安で。」


「1人で悩まなくて良い。そのような不幸を出さぬよう解決策は、我も考えよう。」


「ありがとう、少し気楽になったよ。えーと?」


「ゼルだ。こちらこそ、辛い出来事を話してくれて、ありがとう。」


 いきなり、気軽に重い話になったが、異世界は危険な場所かもしれない。ひのきの棒も持ってないし、まだ外には、出れない。可能なら、街の中でレベルアップしたいものだ。


 業務に戻ったジーニャは、売れ残りと、空瓶を箱に詰めて返してくれた。



 空瓶の箱を持って、帰途きとに着く。重さは、売れた液体分だけ、心なしか少し軽い。液体が入ってるのは、売れ残りの赤瓶が3本だけ。ボコボコと泡立つ反応が止まっており、効力が切れた事を示している。というか、1週間反応し続けるのが、驚異なのだが。で、今週は、結構売れたようで、レイはご機嫌なワケだ。


「鬼神薬が17本も売れた。」


「ん?でも、3本も残った。受注販売に出来ないのか?」


「フフフ、分かっていないな。冒険者というものを。彼らは予定など立てない!それが流儀りゅうぎ。買いたい時に買えないと、愛好者が減るから返却覚悟で少しだけ多く作るのが、最善。」


「ふむ。間違ってはいないな。」


「日持ちしないから、事前に、予測がつけば確かにいいのだけど。その悪魔の知識で、購入量の予測は、つかないの?」


 ほう?レイも相談してきた。つまり、これも解決すれば、金になる。くんくん、金の匂いがする。

 レイの要望した予測について、少し解決できる案がある。ただ、それは2流仕事だ。そのまま要望をきけば、返品は減るけど顧客は増やせない。つまり、解決すべきは、そこじゃない。

 顧客の要望は、客の気付いていない真の要望を叶えてこそ、一流の仕事。いいなりでは駄目なんですよ。長年の勘が囁やく。


「それより、もっと、期限を延ばせないのか?」


「これだから、素人は分かってない。あの調合は、黄金比。私、天才、間違いない。」


「ほーん。黄金比ね。」


「うぬぬ。確かに、期限が伸びたら、顧客もぐっと増えるし、返品率も減る。でも、それは、無理なの。黄金比なの。」


 なら、やってみせましょうか。錬金術の知識なんて無いけどな。天才さんの固い常識を超えてやる。こちとら、工夫する民族、日本人なんだぜ。



「え!?ゼル頭いい。古代の叡智、凄い。」


「我にかかれば、児戯にも等しい。」


「ゼル、凄い!」


「さっそく、開発に取り掛かるのだ。」


「うん、任せて。」


 マーシャル工房。といっても少し大きい借家なんだが、そこに帰ってから、簡単に日本で使われている知識を話したら、このテンションの上がりようだ。錬金は、おじさんには、無理だが、役にたてたようで、なによりだ。


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