(´・ω・`)
いよいよ、着ぐるみおじさんから、新米ハンターへ、ジョブチェンジする時が、来たようだ。
ゼルは、転移時はポヨポヨの情けない体だったが、今は、活性化の副作用のおかげで、少し締まった身体になっていた。鎧も似合うかもしれない。わくわくと、これからの冒険者ライフを夢想し浮かれていた。弱いはずのゴブリン討伐に意外と苦労して、そこから学び成長していく。うむ、いいな、昂ぶる。ゆくゆくは、誰も到達した事の無い最終地点に辿り着き、一攫千金。そして、赤の森を取り返す。
「ふむ。それでは、装備を買って来る。黒で統一した方がいいか、待てよ、それでは少し中2臭い。ダンジョン迷彩で、擬態をするのも新しいスタイルかも。いや、お洒落な差し色を入れるべきか。そうだ、レイ。良ければ、選ぶのを手伝ってくれないか?」
「ゼル、ちょっと待って。」
「なんだ?」
レイは、細い太腿に巻き付けられたレッグホルスターから、見た事の無いポーション瓶を取り出し、ラベルをじっくりと良く確認してから、栓を抜いた。そして、
「えーと、手が滑った。」
ぱちゃりと、着ぐるみに液体をぶっかけられた。するりと離れるレイ。ゼルは、レイの策略にはまってしまう。
ジュブブ。
着ぐるみから白い煙が噴き出す。何だこれ?服だけ溶けていく不可思議な薬品。エロゲで有名なあの薬品か。
だからって、おじさんに使うな。誰得なんだよ。慌てて、ポーション運搬用の木枠で大事な部分をガードする。
くっそ、なんてモノを完成させてるんだ。この天才ハーフエロフめ。使われる側じゃん!少なくとも使う側じゃ無いよね。
2人の美少女の前で急に裸になったおじさんは、露出狂の変質者だ。
「はわわー。」
マリナが、恥ずかしそうに、顔を指で隠しながら、その隙間から、裸のゼルを、ガン見してくる。頼むから、普通にしてくれ。すげー恥ずかしい。そんな趣味は、まだ無いんだ。目覚めたらどうしてくれる。
パオーンとか言っちゃうぞ。
「ごめんね、ゼル。これは不可抗力。」
大丈夫だ、子供の悪戯に怒ったりはしない。レイは普通のリアクションだ。魔王かな?落ち着け、初心に戻り最初の装備に着替えればいい。それだけだ。
「問題ない。レイよ、とりあえず来たときに着ていた服をくれ。」
「えっ、なんか汚かったから捨てた。」
ふぐぅ、最近、見かけないと思ってたら、元の世界の繋がりが、知らない内に捨てられていた。クリーンでも落ちない汚れだと。
「ふむ、困ったな。」
マジで困ったよ。え?おじさんの事を、どうしたいのレイさん。着ぐるみ着れなくなったから、処分されるの?
「大丈夫だよ、ゼル。心配しないで。私、天才。こんな事もあろうかと対策してる。」
「あぁ、偉いぞ。」
天使みたいな笑顔で、レイが微笑みかけてきた。こんな事にしたのは、レイちゃんなんだけどね。完全に、マッチポンプだ。
でも、整った顔の華奢な銀髪のハーフエルフの美少女に言われたら、何も言い返せない。
「さぁ、もふもふラプラスを着て。この部分が、ふわっとしてモコモコなの。」
「マリナは、こっちの男前ラピュラスを着て欲しいよー。ここ!お目々がキリリとしてるの。」
2人の美少女が、それぞれに新しい着ぐるみを突き付けてくる。着ぐるみとは、前回お別れしたよね?んん?記憶違いかな?
壊れた着ぐるみは、確かに、貴重な1点物だったが、目の前に製作者がいては、意味が無いようだ。
「さぁ、選んで。」
1. もふもふラプラス 選者:レイ
2. 男前ラピュラス 選者:マリナ
3. 全裸で外に逃走
ちなみに、壊れたラプラスと、1と2との違いは、ゼルには、全く分からない。ちなみに、製作者はマリナだ。
「寄越せ、レイ。」
「フフフ、私、天才。」
「マリナの選んだラピュラスがぁぁ。」
2人の美少女に、後ろを向いて貰い、着慣れた魔獣ラプラスの着ぐるみに、袖を通す。宜しくな、新しい相棒。魔道具ゆえの肌に吸い付く素晴らしい一体感。
ファンシーなモンスターに、清潔おじさんの顔が出ている。上級悪魔ラプラスが、復活した。
「この、キモ可愛さ。さすが私、天才。」
「そうだね。凄いぞ。」
「うっひょー、ラピュラス。」
そして、元気一杯な褐色娘の全力タックルを、またしても不意討ちで食らう。
「ごふっ」
「マリナの時代が来たかもー、もふもふも、素敵ー。」
「おかえり、ラプラス。」




