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ようこそ鬼道島へ  作者: ダノン
蕾ルート
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33/33

蕾ルート5話

「まもりん何それ?」

「んー?母さんに頼んでたもの」

「ふーん」


 3月14日。

 希導家の郵便受けに入っていた封筒を桜花姉が不思議そうに質問を投げた。

 応答したものの、大した興味は無さそうだ。

 さて、本日はホワイトデーな訳だが、当然バレンタインでいただいたもののお返しは準備してある。


「桜花姉、叔母さん。ちょっといいですか?」

「なにー?」

「どうかしたのかしら?」

「いや、これを」


 俺は予め用意しておいた大きめの缶入りクッキーを2人に受け渡す。

「なにー?もしかしてバレンタインのお返し?」

 ニヤニヤ。

 桜花姉が、期待とからかいを含んだ笑みを浮かべる。

「そうだよ」

「むー、もうちょっと面白い反応を期待してたのに」

 ぷくー。

 頬を膨らむ従姉。


「はいはい。んで、桜花姉にはおまけ」

「ほえ?」

 俺はピンクの包装で赤のリボンで包まれた小さな箱を彼女に渡す。

 予想していなかったようで、豆鉄砲を食らった鳩のような表情が生まれた。

「なんだろ?」

 リボンを解き、包み紙を丁寧に剥がしていく。

 現れた銀色の箱をそっとあける。

「これって……!」

 姿を現したのは、桜の花びらを模したヘアピンだ。

「桜花姉っていつも髪を邪魔そうに流すだろ?だったらこれで、止めておいた方がいいと思ってさ」

「あ……う……。ありがとう……」

 よっしゃ、照れた。

「早速使ってみたら?」

 叔母さんがそれを使うことを促す。

「う、うん」

 前髪を流し、ヘアピンで固定する。

「あら、似合ってるじゃない」

「そ、そう?」

「おう、選んだ甲斐があった」

 叔母さんと二人でべた褒め。

 嬉しいのか、頬を朱色に染める。

「ありがとう……」

「おう」

「守君はこの後どうするの?」

「他の人からのお返しに行ってきます」

「そう、行ってらっしゃい」


 叔母さんと桜花姉が俺を見送ってくれる。

 3月だと言うのに、桜が舞っている。

 え?都心だと当たり前?

 こっちは普通、4月5月から咲き始めるんだよ。

 まぁ、いいや。

 それよりも早く用事を済ませよう。


「けっけっけ、まもっち待ってたよー」

「期待して待っててくれたのか?」

「当たり前」

 病院の一室にて俺はしおりんに、お返しのチョコを受け渡す。

 紙袋から、透明な袋に詰め込まれたチョコと一言の手紙。

「早く元気になって、一緒に遊ぼうぜ」


「これは二股と受け取っていいの?」

「んな訳あるか」

「ちぇー」

 残念そうにシュン肩を落とす。

「まもっち」

「うん?」

「つぼみんを大切にね」

 寂しげ、失恋の敗北隠すような笑みを無理に作ったしおりん。

「おう」

「じゃあ早く行った行った!」

 しっしと腕で去れと表現する。

 俺は横顔から、涙が零れるのを見逃さなかった。


「眠子さんどうぞ」

 続いては先輩の女性の元へ。

「ありがとうございます」

「いえ、先月は素っ気ない態度ですみませんでした」

「いえ、困り事悩む事はみんなが持つものなので」

 淡々と答える眠子さん。

「蕾先輩とお幸せに」

「ありがとうございます」

 祝福の言葉に、腰を90度曲げて応対した。


 これで全員だな。

 え?肝心な相手が残ってるって?

 忘れるわけないだろ、このやろー。


 プルルルルルル。

 主役に電話をかける。

「守君?」

「蕾さん、お待たせしました」

「ううん、言われた通り、寒さ対策して港で待ってるよ」

「ありがとうございます。すぐ行きます」


 桜が舞う。24時間365日。

 不思議な光景、しかし、この伝説の幕引きは静かに進んでいた。by作者。


 CMが入ったが、俺は構わず港へと向かった。

「蕾さーん」

「守くーん」

 俺は恋人の姿を見つけて、大きく手を振った。

 彼女もそれに習う。

 桜が散り、海へと花びらがぷかぷかと浮いている。

「用事は終わった?」

「はい」

「それじゃあ行こっか」

「はい」


 ブオオオオオオン!

 船に乗り、本土へと向かう。


 向かった先は、本土の某有名なショッピングモールだ。

 蕾さんは指示通り、茶色のコートに身を寒さから守っている。

 俺は黒のダウンジャケットで対策だ。

 船に乗り、30分ほど。

 そこから電車で30分ほど。

 さらにバスで同じくらいの時間をかけてようやく到着だ。

 ワイワイガヤガヤ。

 流石ホワイトデー、あちこちから笑い声が聞こえてくる。

 いや、ホワイトデーでなくとも響くか。


「それで、どうしてここに?」

 不思議そうに問いかける蕾さん。

「それはですね」

 俺はドヤ顔で、母から送られた封筒を鞄から取り出す。

「甘蜜の展覧会のペアチケットです!」

「え!?本当に!?人気すぎて、チケット入手困難だったのに!」

「それはもう頑張りましたよ」(母が)

「行こ!早く行こ!」

 右腕を、両手で掴まれて引っ張り回される。

 そこまで喜んでもらったのは想定内だ。ありがとう、お母さん。


 会場に入ると早速目につくのは、レイサ達が銃を向け合うシーン。

 レイサとアレックスが抱き合うシーンの原画コーナー。

「え!?すごい!原画だよ、原画!」

 原画コーナーを抜けると、レイサが愛用している銃のレプリカ。

 実際に持てる。重さも再現されている。

「はぁ、すごい!銃ってこんなに重いんだ」


 最後は小さな販売エリア。

「レイアレのストラップ!」

「こっちは、レイサが銃持ってるマグカップですよ」

「限定クリアファイル!?」

 色々目移りしてしまう。

「これとこれと、あとこれも」

 蕾さんが買い物かごにグッズをどんどん入れていく。

 と言いつつ俺も銃のキーホルダーやら、色々買うものはしっかり確保しているが。


 こうして展覧会を楽しんだ俺たちだった。

「ありがとう、守君」

「いえいえこちらこそ」

 楽しんでもらえたようで何より。

 俺たちはショッピングモール内のカフェで、休憩していた。


「守君」

「なんです?」

「なんでもなーい」

 嬉しそうにニヤける蕾さん。

 カフェ、有名おもちゃ屋、ゲーセン。

 その後、俺たちは、笑い合いながらホワイトデーデートを楽しんだ。





「あ、美咲ちゃん?あなた達の両親の居所掴んだわよ」

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