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76 善人ぶっちゃって、わたくし貴女がおゲロよりも汚いって知ってますわよ







「例えどんな理由があろうと、貴様がマイカを貶めた挙句班員達の命を己の高慢で己に力を過信した所為だ」


「そうだ!! マイカの日頃の行動を見れば、彼女が他者を傷付けたりするような女性じゃ無いことは分かるはず」


「そもそも古代種が出現したのならば、救援信号を速やかに出しその場を退避するのが原則」


「その()()()|《・》()()()()()|》《・》も、本物かどうかも定かで無いのに……。もしや、自身も被害者であると立ち振る舞って責任の所在をマイカに押し付けようとしてるんじゃあないだろうな?!」


「私はただ、皆んなを助けたくて必死に……。でも私の力不足が、今回の被害を招いたのかもしれません……グスッ」


「マイカ、僕の大切なひと。泣かないでおくれ、君は涙よりも笑っていた方が素敵なんだ。それも、あの悪女に……ッなんて卑劣な氷花の令嬢だ」


 非難轟轟とはこのことを言うのだろう。王族がマイカの全面味方をするものだから、屋号は忽ち大きくなる。


 それなら今直ぐにでもマイカ・チャンベラを婚約者にすげ替える。


 そう一言あればこのクソッタレな茶番劇から解放されるのだが。王家との婚姻政策を片側の都合で、一方的に無碍にすることは認可されないだろう。


 あくまでもシナリオでは、悪役令嬢セルリアーナが王国で庇護する光魔法担い者を虐め、殺人未遂や暴行罪等を着せ「王族の婚約者に相応しく無い」レッテルを貼り、婚約破棄せざるを得ない状況。


「────はは、貴様には上に立つのが、相応しく無い器だ」


 これが第二王子殿下が描きたいフィナーレだ。


 そして、セルリアーナを大衆の面前で王家から婚約破棄を言い渡し社交界の傷物にして、退場させるのも入念なる計画にあるだろう。


 他にもエスメラルディ侯爵家の実権を取り上げ、王家に逆らえぬ忠実な捨て駒に仕立て上げることも視野に入っているはずだ。


 エスメラルディ侯爵家は、中立的で政治的干渉をしないことで有名だが、全面的に取り込みたい派閥争いの目下にいるのは事実。


「…………さっきからピーチクパーチク五月蝿いわよ、鳥の方がまだ綺麗な声で囀って下さるのに」


 勝手気ままに話し倒す馬鹿サントリオと、マイカの責任逃れ発言。唯一神を卑下する不適切な口振は、報告書に事実をありのままに記入して提出したくなる。


 しかし主観的記述は、正当性に欠けるし王家から難癖を付けられて監視強化(マーク)されても彼等の思う壺だ。


 ここぞとばかりにエスメラルディ侯爵家の脆弱化若しくは、軟い部分を狙う貴族家も少なくは無い。

 セルリアーナが第二王子殿下の寵愛を失って、婚約者と言う肩書きは良くも悪くも目立つ。


 しかもこの場で静粛されそうになる不始末は、今後セルリアーナの婚約破棄後断罪までの道程を余計悪化させる。推しの生存率にも影響があるだろう。


(けれども、何故私が低姿勢でいてやったのに、胡座かく低脳しかいないの? 堪忍袋も限界だわ脳味噌お花畑も此処迄来ると滑稽だわ)


「わたくしが? なんですって? 班員を危険に晒して単独行動し、チャンベラさんを置き去りにしたと?」


 セルリアーナは悪女である烙印を、有効活用する。皮肉混じりに嘲笑して、長く束ねた髪を華麗に肩から除ける。


「良くそんな嘘ハッタリがペラペラその軽いお口でお喋り出来ますわね?」


「な、な……ッ貴様!! マイカを飽き足らず愚弄するなど言語道断ッ!!!!」


「失礼。古代種が出たので、まずはそちらの御報告を。此方が証拠です」


 セルリアーナはボトッと血だらけの服のポケットから取り出した、古代種の肉塊を披露した。


「き、キャァァアッ!!!!」


「ま、まじか本物……ッ?! これ、内臓……じゃ……ッ」


「目玉もある……こんな色の物は初めてだ。それに害獣図鑑にも載っていないぞ」


 見た生徒達は言葉を失ったり、臓器の生々しさと滴る気味悪い血の色に嘔吐していた。生暖かい物をポケットに永遠に入れておくのは忍びない主義だ。


「マイカを突き飛ばして、魔獣の群れに置き去りにしたことはどう説明する?!」


「はあ? その口は権力を振り翳して真実を隠蔽するだけにあるのでしょうか??」


 目を見開いて、セルリアーナは無意識に殺意を第二王子殿下に飛ばした。真っ青なサファイアが敵を射殺す勢いは、喧嘩を吹っ掛けた男も身じろいだ。


「囮に使って、こそこそ負け犬の遠吠えの様に逃げたのは彼女ですわ。わたくしは……ヒルダの守護石を()()()()()()()()()()()()、無事では無かったかもしれません。今頃森の中で肉片として散らばっていたでしょう」


「に…………ッ?! 肉片?!」


「魔獣の生きた餌です。生きながら喰い千切られなかったのは、幸運かもしれませんね」


 そう、本来ならば婚約者である侯爵令嬢に渡すべき物を、マイカに贈ったのだからたまったもんじゃあない。


 命の危険を好き好んで差し出すなんて、誰もいないだろう。戦闘狂でもあるまいし。








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