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淑媛の優しさ
李久台が毒を主上の処方に混ぜてから一ヶ月が過ぎた。だが、身体が気だるいだけで主上が弱る様子は全くなかった。李久台は毒を水で薄めて器に塗りつけた。すると、主上の具合は一気に悪くなっていった。
すると信寧君に臣下たちが砂糖に群がる蟻の如く集まっていった。床に臥せっている主上の元に朴淑媛は付き添った。
「淑媛、すまぬ」
「謝らないでくださいませ。中殿媽媽は懐妊中、昭儀媽媽は庶務でお忙しいですから…」
「淑媛は優しい女人だ」
朴淑媛は柔らかで優しい笑みを浮かべて主上の顔を拭いた。それと同時に主上の瞳から涙が零れた。淑媛は指でなぞるように涙を拭く。
「淑媛にはすまない思いばかりをさせてきた。今までの優しいそなたを蔑ろにして昭儀や中殿ばかりを見てきた…すまない。娘を産んだのに私は見向きもしなかった」
「過去は変えられません。それに今、こうして私を見てくださっております。私はそれだけで充分でございます」
主上は淑媛の決して美しいとは言えない手を握った。




