No65
予感
出逢いはいつも 偶然で
別れはいつも 必然なもの
何処かで会った ことがある気がしてた
向かいのシートに 座るあの人
でも 思い出せない 不思議な感覚
街ですれ違った だけなのかな
最終電車は 意外と混んでいて
疲れきってる 大人たちのため息
なんだか私まで 力が抜けちゃいそう
そして視線を 前に戻してみれば
あの人はまっすぐ 窓を見てる
去りゆく光を 惜しむかのように
目の下のホクロも 何故か懐かしく
私の記憶に 呼び掛けているみたい
電車は揺れて 駅へと滑り込み
あの人はシートを 立ち上がるそぶり
その時目線が 一瞬合って
あの人の顔色が 確かに変わったの
電車を降りる男達 最後に彼も
あの人の背中が 少し揺れてる
ホームに降りる 姿を追ってる私
そして視線を 前に戻してみれば
視界の隅に あの人の笑顔
閉まりかけた ドアはスレスレ
あの人の身体を また招き入れたの
その時よ 私の記憶は甦ったの
5才の頃 一年だけ お隣さんだった
山や川や田んぼで いつも遊んでた
でも突然 遠い町に行っちゃって
悲しくて 悔しくて 毎晩泣いてたんだっけ
もう会うことは ないと思ってた
あれが私の 初恋だったな
それがどうして 今 この最終電車に
夢なんかじゃないよね これって
私の前で 私を見つめる瞳
懐かしさを超えて 鼓動はピークに
「久しぶり」あなたの声さえ 上の空
私の身体は あの頃にタイムスリップ
電車を降りると 人はもうまばら
駅前にひとつ 24hのお店があったの
あなたはコーヒー 私はココア
昔ばなしが 嬉しくて ついつい
朝陽が見えるまで 粘っちゃった
あなたは今でも 左利きね
何なのかな この胸のトキメキは
面影残した 大人のあなた
私の心 恋しちゃってるね
お店を出ると すでに夏の陽射しで
「また会える?」とあなたの問いかけ
「うん」とうなずく わたしがいたわ
出逢いはいつも 偶然で
別れはいつも 必然なもの
失恋しちゃったこともある
でも私の恋の予感
今度は的中するはずよ




