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No37
親父に
古いアルバムに 一枚だけ
幼い僕の隣に 若きあなたの姿
あれから幾年 月日は流れて
僕はあなたの 手を飛び出しました
ふしくれたあなたの 大きな手
額に光る熱いしずく
大地に向かい 泥まみれのからだ
そんなあなたの 背中をみて
僕は育ったのです
人間とはと あなたの口ぐせ
幼い僕には よくわからなかった
あれから幾年 時代もかわり
僕はあなたの 手を飛び出しました
日に焼けた あなたの固い腕
瞳に宿るあなたの 強さ
大地をいたわる 広い心
そんなあなたの 背中をみて
僕は学んだのです
教えを胸に 飛び出したはずの僕は
あなたの期待ほど 強くはなりきれず
あれから幾年 大人になった僕は
迷い 戸惑い ただひとりでいるのです
ひとりでは生きられないと あなたの口ぐせ
今ごろ心に 響きます
あなたの弱さは何ですか
そんなことさえ たずねたくて
僕はちょっと怯えてます
あなたにもう一度 尋ねてみたい
人間の強さって 何ですか
人を愛するとは 何ですか
男の生き方って 何ですか
あなたの弱さって 何ですか




