表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/59

20. 週末は集まって練習です


 週末は練習のために汽車の旅。そして、紅緒の家で徹夜である。


 紅緒が言うには、週末は父親が仕事で出張のことが多く、母親も旅行ついでについていくことが多いとのこと。そのうちちゃんと挨拶しなきゃいけないだろうが、とりあえずは紅緒のご両親とは顔を合わせないほうが気楽でよいと思う。


 俺は紅緒の家に着くと、玄関のベルを鳴らす。

 ピンポーン

 インターホンから声がする。

「どなたですか」

 和田っちだ。もう来てるのか、早いね。

「俺だよ、俺・・・」

「どなたですか」

「だから俺だよ、俺・・・」

 確か向こうからは俺の姿は見えてるはずなのに、どうしたのだろう?

「どなたですか」

 あーっと、わかった・・・和田っちが何を求めているのかわかった。

「ゴホン・・・私よ。千草先輩よ。中に入れて頂戴」

 ドアが開いた。


「ちわーっす・・・」

 と言いながら入った玄関には和田っちと紅緒がいた。

「はぁ!ちわーっすっていったいなにさ?!!」

 和田っちの機嫌が悪いぞ。

「なにか、まずかった?」

「その服は、男の先輩・・・?!!」

「ああ・・・そいつは悪かった。でも、これから着替えるから・・・」

「そんな風に言わなくても、徐々に慣らしていけばいいんじゃない・・・」

 と、横にいる紅緒が援護してくれるが、和田っちはまだ機嫌が悪い。

「紅緒は甘いな、風紀委員のくせに」

「風紀委員は関係ないでしょ・・・」

「風紀委員なら服装に厳しくいかにゃ」

「はぁ、なによ、それ」

 ふたりがなんだかよくわからない言い争いをはじめたので、その隙にすばやく着替えにはいった。


 脱衣室で手早く着替えてから出ると三人が待っていた。

「ステージ衣装ですか?」

「写真の姿が見られるかと思ってたのに。」

「見たかった」

 そういや、今日はみんなステージ衣装じゃないね、私服だね。

 練習はこの衣装と思い込んでいたのは不覚だった。

「ふう、いろいろとごめんね。でも、これは新しいぞ」

 今日は、佐藤さんに貰った胸がはいっているのである。

 ボインボインで揺れる胸・・・ってボインって死語かもね・・・

「さあ、どうだ」

「おお・・」

 みんなは、この胸に興味を持ったようだ。

「ちょおっと・・・触っていい?」

「なんか・・・すごいですね」

「・・・」

 この人工胸は、肌に密着、適度な弾性、大きさは巨乳というほどではないがそれなりに大きい、だから、重い。結構高価なので、佐藤さんが貸してくれたのだ。

 服の上から3人にべたべた触られると、この胸は人工物なのに、なんだかこそばゆくて、恥ずかしい。

「先輩って感じだね」

「先輩ですね・・・」

「・・・」


 そうこうしてるうちに、若葉がやってきた。

「ごめん、遅くなっちゃた」

 シャツにかわいい上着を引っ掛けて、ふわふわのスカートにスニーカーな私服で玄関に立つ。なかなか可愛い。いつものことながら、男とは思えない。

「若葉はすごいね。その格好で家から来たわけ?」

「全然大丈夫、わたしは、いつでもどこでも誰が見ても、完璧に女の子だし」

 若葉は、そう答えながら、こっちをじっと見た。

「で、兄・・・姉貴のその胸は・・・いったい?」

 見つめられると、やっぱり、なんだか、ちょっと照れる。

「どう、いい感じでしょ・・・」

 若葉がちょっと考えてから言った。

「わたしも、姉貴の真似して、でかくしてみようかな」

 男2人の会話を聞いていた女子3名が反応した。

「真似して?・・・でかく・・・?」

「なに言ってるの?」

「!!!」


「だって、姉妹で胸の大きさもそろえないと不自然・・・」

「そんなこたない」

「不許可よ」

「だめだめ・・・絶対だめ・・・」


 そうか、先輩の胸は大きくても良いけど、同期の大きな胸、しかも、にせものはいけないようだ。

 さとみんが二言もしゃべったよ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ