54、ゆ、勇者?悪魔の間違いでしょ 【1時間目(2)】
今回も生徒視点です。
〜テイセ視点〜
スキル・・・《勇者》発動!
すると、周りから僕に向かって光が集まってくる。
光の量が次第に増えるに連れて、僕のステータスが上昇する。
これだけだと《身体強化》と何ら変わらない。
だが、《勇者》の強みはその効果の1つ、『魔物特攻』だ。
魔物に対して様々な効果を与え、対魔物の与ダメージを上げ、対魔物の被ダメージを減らす。
「喰らえっ!」
僕は持参したミスリルの剣(鉄の剣にミスリルメッキしただけ)をウサギに振り下ろす。
ウサギは転移で逃げようとするが・・・。
「キュ!?」
転移を使えず、焦っている。
「《勇者》中は魔物は魔法を使えないよっ!」
これも『魔物特攻』の一つだ。
すぐさまウサギは回避したが、無駄無駄ァ!
すぐに追撃を加えようとする。
「キュィー!」
すると、ウサギは背を向けて逃げ出した。
だが、ね。
「勇者からは逃げられない」
回り込むから。
「キュ・・・!?」
この時僕は微笑んだつもりだったが、ウサギから見れば悪魔が嗤っているようにしか見えなかっただろう。
「またね」
怯えるウサギの首を撥ねた。
皆のいるところを見ると・・・引かれていた。
「無しだろそれは。ないない」
「テイセくん。それは流石にナシ」
「なし。ウサギ可哀想」
なぜ皆否定的なんだ・・・?
「恐ろしい魔物を倒しただけなのに?」
「倒し方ってのがあんだろ!」
「そうだそうだ!」
えぇ〜。
「強かったから仕方ないじゃん!」
「すぐ倒さないと増えるかもしれないし!」
「あんなのが束で来られたらそんな余裕さえなくやられちゃうよ!」
何故か皆僕の後ろをぼーっと見つめている。
「皆後ろ見つめてどうかし・・・」
指をさしているから振り向くと・・・。
「・・・てるね」
さっきまで戦っていたウサギの群れがおおよそ20匹はいた。
「よし。逃げようか」
「お前はそれでも勇者か!」
〜スミラ視点〜
入学したは良いものの、なぜ、戦闘経験ほぼ0の幼女を戦いに繰り出すの!?
・・・この科目を選んだ私も悪いけど。
「めいろはたしかひだりのかべにそっていけばでぐちにでれるよ」
幼女言葉使うのも大変。
「たしかにそうだな。左の壁に沿ってどんどん進もうぜ」
左壁沿いに進み始めた。
しばらく進んでいると、ウサギが出てきた。
「うさぎ!」
「キュウ」
「魔物か。取り敢えず倒して置くべきだな」
ヴェキルドさんが容赦なく魔法を放つ。
「《火属性中級魔法》、ファイアーアロー」
炎の矢を放つ魔法のファイア―アローを使った。
矢はかなりの速度でウサギに当たり、ウサギは即死した。
「よし。進むぞ」
ウサギが可哀想。
「そんな目で見ると、何も魔物を倒せなくなるぞ」
私は哀れむように見ていたらしい。
しっかりしなくっちゃ。
すると、前から私達よりもさっきに行っていたはずのテイセくん達がこっちに来ながら叫ぶ。
「ウサギの群れが来てるから逃げてっ!」
結局、私達は揃って外へ脱出することになった。




