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お父様が騙された。私の家は平凡な伯爵家で贅沢は出来ないが、慎ましく生活していく分にはお金に困ることはなかった。
ある日昔からの知り合いに泣きながら借金を申し込まれたお父様はお金を貸した。問題なのは貸した相手が忽然と消えた事だ。少々大きな額を貸していたため我が家は傾いてしまう。まだ妹は学生でお金がかかる。
「私働いて仕送りをするわ!お父様とお母様は領地を守ってください。」
両親が止めるのを振り切りお給金の良い王宮で働くことにした。婚約者もいないし、婿取りは妹に任せた。領地を支えてくれそうな良い相手を学校でさがして欲しい。妹は賢く可愛いしすぐ見つかるだろう。
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第二王女殿下のエリザベス様の侍女として働くことになり、寮へと引っ越した。寮なら食事も出るし家への仕送りが食事代分多く出来ると喜ぶ。
黒いワンピースにフリフリの白いエプロン。私は栗毛色の髪を1つにまとめ、鏡に向かってよしっと気合を入れ職場へと向かう。
「エリザベス様は少々気難しいけれど、すぐ慣れるから大丈夫よ。」
侍女頭のマリー様が案内をしてくれながら、エリザベス様の取り扱い方を説明してくれる。話をよく聞くと前任者は2週間で辞めたらしい。すぐ慣れるなんて嘘だ。初日から不安でしかない。
エリザベス様は14才で、今年18才になる私より4つ下だ。王家特有の金髪碧眼でふわふわした髪が愛らしい。兄が2人、姉が1人いる末っ子で多少我儘である。
側に控え立っているとエリザベス様にお茶を入れてと声をかけられる。
「エリザベス様どうぞ。」
「ふんっ…意外と美味しいわね。」
前任者は好みのお茶が入れられず毎日叱責されていたらしいが、私は妹のユリアがお茶に煩く可愛い妹を喜ばせようと、昔必死で特訓をしたため得意である。美味しいと言ってくれるエリザベス様は可愛い。
可愛い妹のために特訓したのが役に立つ時が来るとは。ユリアありがとう。
それからこのドレスは嫌だとか、髪型が気に入らないとか終始忙しく働いた。
マリー様がとても褒めてくれて、貴方なら続くわ!今日の感じで出来れば大丈夫!とお墨付きをもらい侍女仲間に挨拶をし初日は終了した。
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寮に帰り荷解きが済んでなかった部屋を片付け、食堂へと向かう。
ざわざわと騒がしい食堂で1人席に着き夕食をいただく。
今日の夕食はビーフシチューと柔らかいパン。あたたかくてとても美味しい。疲れた私の身に染みる。明日からも頑張ろうと思う。




