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第28話

 一応浄化された神具を一つずつ【観察】で調べる。


 まずは白を基調に青をアクセントとした衣装。


【神具「白き神衣カムイ」レア度SSS

 生神のみが装備できる唯一の衣。全ての攻撃に耐性があり、衣を抜けて攻撃を通すことはできない。装備者を高温、気温、紫外線、放射能、病原菌などの全ての有害なものから守り、汚れたり、破れたりすることは決してない】


 ……さらっと書いてあるけどさ。


 これってチート中のチートじゃね?


 それこそ神様が出て来なけりゃ俺を傷つけることはできないってわけか? ……あ、俺生神だっけ。端末も確かレア度SSSだから、端末の力を使えばこの防御も抜けるかもだけど……いやそれでもとんでもなくね?


 次の剣は何だ剣は。鏡のように俺の顔を写す刃。めっちゃカッコいいんですけど。


【神具「蒼海の天剣」レア度SSS

 生神のみが装備できる剣。装備者が敵と認識したものに、この刃で少しでもダメージを与えれば、そこから切り裂いて両断し、いかなる手段でも破壊することはできない】


 ……えーと、つまり。あれだ。この刃で傷一つつければすっぱり行くってことか? これもまたチートじゃね?


 あとは、片手で持てる程度の大きさの盾か。もう何が出ても驚かないぞ。


【神具「水鏡盾」レア度SSS

 生神のみが装備できる盾。大きさは自在に拡大・縮小され、全ての物理・魔法攻撃を反射し、如何なるものであっても破壊することはできない】


 ……チートランクトップクラスじゃね?


 何でも反射って。この青い鏡みたいな盾を構えて立ってれば攻撃が敵に反射して勝手に自滅するってこと?


「これらの神具を生神様にお渡しするために、我々はビガスに残っていたのです……」


「あ……ありがとう」


 こんなキガネズミの大群の中で、神具を守ってくれてたなんて。


 端末を見ると、【「白き神衣カムイ」「蒼海の天剣」「水鏡盾」を装備しますか?】と出ていた。


 要するにお着替えタイムはいらないってことか。


 Yをタップすると、光が放たれ、次の瞬間、俺は紺のスーツから白い衣装へと変更していた。腰には鞘についた剣。背中には水鏡盾。


「おお……何と神々しい……。よかった、命あるうちに生神様にお会いできて……」


 どーん、どーんと石壁の向こうから音がする。


「もう逃げられんぞ貴様らーッ! そこで餓死するか、我々に降伏するか、二つに一つだーっ!」


 ワー・ラットが叫んでる。


 神具を収めた聖域に入って来られないんだろうか。思えばここの扉は封印されていたことだし。


「おし、新装備もゲットできたし、これでいっちょ戦ってみっか」


 肉弾戦はやったことがないけど、装備が整っているから何とかなるかもしれない。


「みんなはここで待っててくれ。俺が行くから」


「い……きがみさま……」


 SSSランクの装備をゲットした俺は、息を飲んで封印の扉を押し開けた。



「なっ?!」


 出てきた俺の姿を見たワー・ラットが、「あ」の口のまま何も言えなくなっていた。


 そりゃあな。さっきまで紺のスーツと言う、地球ではよくあるけどこっちの世界ではまず誰も着ていない格好だったのに、今は白のスーツに近い形状の、身体にぴったりフィットした、着心地の良さMAXの装飾抑え気味だけど飾りの宝石とかはキラキラしてる衣装なんだから。


 で、今は剣を右手に、盾を左手に持っている。


「封印の解放……神具の浄化……貴様、まさか本気で本当の生神か……?」


「さっき言わなかったっけ」


「そう言えば言っていたな……オレは運がいい……」


 ワー・ラットは嬉しそうに言った。


「生神を捕えれば、オレは我らが破滅の神に手ずからの褒美を頂けるだろう……」


「破滅の神の褒美って、ぶっ殺されるだけなんでない?」


「フンッ……オレたちは破滅のために生み出されたんだ。偉大なる唯一神の手によって殺されることは最高の褒美なんだよ……」


「なるほどね。俺とは相性が合わないわ」


「行け、我が下僕!」


 キガネズミが一斉に襲い掛かってきた。


 俺は黙って種をその群れに放り込む。


「キゥゥッ!」

 飢えているために食欲に正直なキガネズミは、種を奪い合って大騒ぎ。懲りねーな、さっきそれで仲間結構死んでんのに。まあ動物だからな。


「くそくそくそっ! やめろ! やめろと言っているんだ! これだから知性のない魔獣が!」


 ワー・ラットの命令を聞くキガネズミはほとんどいない。俺は一歩下がってネズミが減るのを待っていた。たまに襲い掛かってくるヤツもいたが、服を食いちぎることも出来ず、歯が折れたりして落ちる。その苦痛で支配を解かれ、飢えに囚われ、種を食い。


 あっと言う間に、床は大量生産された種でいっぱいになった。


「生神が、卑劣な真似を!」


「あんなたくさんのネズミに襲われたらいちいち武器や魔法を使っても手に負えないだろうが。卑劣な真似って言われてもまとめて吹っ飛ばすか自滅を待つかくらいしかないだろ?」


 言って俺は立ち上がった。


 右手で剣を構える。


「ふん、ならば、俺の手で殺してやるまでだ」


 ネズミ頭の人間の身体が歪んだ。


 急に肉体が膨れ上がる。内側から毛が生えて、指が爪に変わって、尻から尾が伸びる。


 人間並みの大きさのキガネズミが出現した。


「うお」


 人間大のキガネズミってえげつねー。こいつも多分腹減り状態なんだろうなあ。俺を食ってしまおうって考えなんだろうなー。


 ワー・ラットは俺の所に飛びついて来ようとした。


 俺は咄嗟に左手の盾を前に出す。


  がきぃん!


 すごい音がして、点々と赤いものが飛ぶ。


 巨大キガネズミは鼻の頭から血を流している。


 すっげ。盾が完璧に反射した。噛みついたのを反射されて、鼻の頭に傷をこしらえてしまったのだ。


 よーし。次は。


 天剣を試してみるか。

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