執念粘着! カマセ質問!
「……済まなかったな。動揺してしまった。改めて、落ち着いて話し合おう」
「いえ、、それは別に。私としては、こちらの特上和食定食の方が気になって選んでみたんですが、それなりに美味しくて、満足もしていますし」
「学食で和食定食って結構チャレンジしてるよねぇ……うどんおいし」
という事で当然の如く一時間目はぶっちぎった。うん。仕方ない。
「よし、まずは目的を聞かせろ。昔から教師が夢だったとかいうベタな言い訳はいらんぞ」
「いえ、それは言い訳というより昔の夢だったので間違ってはいませんが」
「そのほのぼのとしたエピソードはありがたいが、とりあえずは今はいい、ここに来た真の目的を話せ貴様」
「……全く、余裕のない方ですね、貴方は。分かりました」
いや、襲ってきた相手がいきなり学校来たら余裕もなくなるでしょ。
「それで、一体何からお話ししましょうか…•私が本家に戻ってからの全てですか?」
「そうだ。その経緯まできっちり話してもらわねばこっちも納得できん」
「分かりました……私が京都の本家に帰った後、私は黄泉永さんの提案を本家の者に伝えたわけなのですが……当然ながら、当家の老人たちがそれで納得するわけもありませんでした」
「……俺たちが謝りに行くという奴か」
「誠意もって謝りに行くって言ったのに。ちょっとくらい妥協してくれたっていいじゃん」
バファリンでも摂取して優しさを補充してほしい。
「一度しくじったのであれば、幾度でも刺客を送りつける、そう言った意見が大半だったのですが……そこに綱義が口を挟んだのですよ」
「綱義……童子切を襲っていたあの大男か。一体なぜ?」
「それは分かりませんよ。そもそも私でなくても彼の内心を推し量れるような人間は我が家にいるかといえば、恐らくいないと思いますけど」
……実は妹が可愛いから、穏便に終わらせるタイミングを見つけてヤッホー、とか?
「不意を突かれたとはいえ此方が一泡食わせられた相手。面倒な事に変わりはない。いつまでも東の不出来な親類に時間を割くわけにもいかない。ここは穏便に済ませるのが合理的、と老人たちを自ら説得しまして」
「……ほう。面倒という評価ではいささか不足な気もしないでもないが」
いや、面倒って言われて不満に思うならまだしも不足ってなんだよ。あ、天ぷら美味。
「しかし、そのままにしておいて何も言わないと信じられるほど楽観的ではいられません」
「まぁ、そりゃあそうだな……それで?」
「ならばせめて、監視の人員でも送り込もうと、そういう話になりまして」
「……なるほど? つまりお前がここ来たのは童子切、そして俺たちの……」
「はい。監視の任の為です。一応教員免許はちゃんと取りました……この短時間で獲得するのは正直辛かったですよ」
……教育免許ってそんな簡単に取れるもんじゃないと思うけど。
「正直、試験を受ける為にあらゆるコネを使い、それで合格しました……ちゃんと実力で合格しましたから、その辺りは勘違いしないでくださいね」
「……この数日で突貫で取ったのか」
「さすがにコネ合格の無能と思われるのは癪だったので、最高クラスの成績を目指しましたよ。試験官も『普通に受けに来てくれ』といってくれる位の成績は、納めましたよ」
真面目だなぁ。もうちょっと手を抜いても許されると思うけど。
「そしてこの学校の中途採用として、ゴリ押しで入り込んだわけですが……質問は」
「ない。一から十まできっちり理解できた」
まぁ、だいぶ無茶をして入ったっていうのは分かったよ。
「お陰で東の方にだいぶ借りを作る事になったと、上の方々は愚痴をこぼしていましたが」
「その辺りの事情など知らん」
「……貴方が原因なのですから少しくらい責任を感じてくれてもよろしいのですよ?」
いやーこいつがそんな殊勝なやつだったら私も苦労せんかったよ。
「だいたい、貴様らが突っ込まれるような隙を作ったのが原因だろうに」
「否定はしませんが……」
「で、一体幾つなのだ貴様。言え、言わねばもう一度決闘だ」
「構いませんよ? 一度戦って貴方のクセもわかりました。そう簡単には負けません」
そしてここに戻ってくる訳だ。
「だいたい、なぜ年齢を聞きたがるのです? デリカシーというものがないのですか?」
「貴様にリベンジする時の試算とするのだ。年齢から積んで来た経験を逆算し、改めて実力を計り直し、貴様に挑む為にな」
信じられないものを見る目を私に向けないでください。
「本気で言ってますよこの格闘バカは」
「そうですか……鎌瀬今一さん。貴方、少しくらい女心というものを理解した方がよろしいかと思いますが」
「理解はしているが、考慮していて勝負に支障が出るのは避けたい」
……だから、マジでイってる奴を見る目を向けないでください。其方の奴に向けて。
「私達も大概だと思っていましたが……貴方には負けるということが良く分かりました」
「そうか。それなら……」
「この学校のルールに則って決闘を申し込みます」
「そこまで言いたくないか?! 上等だ! 受けてやるとも!」
……まぁ、そりゃあそうなるわなぁ。私もそうなると思う。
「私は応援しないから頑張れー」
「なんだと!?」
そりゃそうよ。女性に年齢聞く=ぶん殴られても仕方ない。だもん。
「なんという……ええい上等だやってやるとも負けて吠え面をかくなヨォ!」
「えぇ、そのセリフ。そっくりそのまま返させていただきます」
……結果? 私はあの人の年齢今も知らないし、そういう事だよ。
女性に年齢を聞くのはマジでタブーです。身を以て知りました。




