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2.スキルを選んでいざ異世界へ!





「これでお願いします」

時間を掛けてスキルを選び終えた鈴霞は、リーシアへそっとタブレットを差し出した。

「鈴霞さん……これだけで良いのですか?」

リーシアは渡されたタブレットを覗き込み、いくつかの項目を見てから鈴霞へ問いかけた。

「はい。記憶が残って地球で培ったスキル等をつけて貰えるなら、特に必要ないかな、と」

にこやかに答える鈴霞を見て、リーシアが頷いた。

鈴霞が選んだスキルは、『鑑定』と『練気』。魔法属性は『火』と『時空』と『聖』。

「そうですか……分かりました。では、スキル等を付与致しますので『ステータス』と言ってください」


「はい。『ステータス』」


言葉と同時に半透明のウィンドウが眼前に表れた。




名前:遠宮鈴霞(トオミヤ リンカ)

性別:女

種族:人族

年齢:ー

職業:ー

LV:ー

HP:ー

MP:ー

魔法属性:ー


スキル:刀剣術 武術 家事


称号 加護

無し


「このステータスパネルは、これから降りる世界で必要になります。心で『ステータス』と念じれば、他人にステータスが見えることは有りません。……では、付与していきますのでパネルを閉じてください。─────終わりました」

鈴霞がパネルを閉じて、僅か数秒。


「えっ?早くないですか⁉」


「私も一応、神ですから。付与後のステータスは森に降りてから確認して下さい。今から器の方をお渡しします。目を閉じて」

「……はい」

鈴霞が静かに目を閉じたのを確認すると、リーシアは鈴霞を光の球体へ戻す。

ゆらり……と空間が揺れて鈴霞の新たな体になる少女が床へ横たえられる。

鈴霞の魂を、リーシアがそっと少女の肉体に融かすように沈めた。

「目を開けて良いですよ」

リーシアの言葉を聞き、そっと目を開ける。覗き込んでいるリーシアと目が合った。

「どこかおかしな所が無いか確認してから、地上へ送ります。体を動かしてみて下さい。声は鈴霞さんに似たような感じにしてあります。違和感があったら教えて下さいね。それと、こちらに鏡を用意しました。姿も確認して下さい」

鈴霞が体を動かしてみて、鏡を見る。

瞬時に固まった。

それもその筈、さらりとした腰まである長いストレートの黒髪を、緩く赤い花の付いた髪飾りで纏めている。そして、色白の肌に青みがかった黒い瞳。桜色の頬に赤いぷっくりとした小ぶりな唇。白いシンプルなパンプスに、袖とスカート部分の裾に花模様の白い刺繍が細かく入った淡いグリーンの膝上のワンピースは、腰から裾にかけてふんわりとしている。以前の自分に一切似ていない美少女っぷりに驚いた。

「うわぁ……。可愛すぎる!更にこれ、若返ってません?」

鈴霞はクルリと1回転してみる。体が軽い。スカートがふわりと揺れる。

「器と魂を馴染ませるには、丁度良い年齢の体型にしたのです。年齢に応じてある程度成長もしますから、私の世界の色んな場所を見て回ってください。そのワンピースは普段用として使って下さいね」

ニコリと笑うリーシアへ、鈴霞が静かにお辞儀をした。

「色々と有り難うございます」

深々と頭を下げる鈴霞に、リーシアは慌てる。

「いいえ!こちらの責任ですので、気になさらないでください‼そ、それよりも体に違和感は有りませんか?」

リーシアが気持ちを落ち着けるように話を変える。

「大丈夫です。体が軽くて動かしやすいです」

鈴霞が微笑むと、リーシアが嬉しそうに笑って頷いた。

「良かったです。では、森へ送りますね。これから色んな事を経験して楽しんで下さい。良い異世界生活を」


微笑んだリーシアの言葉と共に、鈴霞の視界が光で覆われる。

光が収まったときには鈴霞の姿は消えていた。







「行ったかの?」


リーシアの側に、いつの間にか一人の老人───ラムネアの姿があった。

「───はい。って言うか、あんな喋り方は肩が凝りますぅ!ラムネア様‼」


うーんと伸びをしながら、老人の方に向くリーシア。


「ふぉっふぉっ。まぁ、そう言うでない。あんまりフレンドリーに話すと、娘も疑り深くなるじゃろうと思っての判断じゃ」

「そうなんですけどぉ~……ちょっと不安なので、色々とサービスしてしまいました……」

項垂れるリーシアの頭を、創世神が優しく撫でる。

「ふむ……そうかそうか。なぁに、大丈夫じゃ。あの娘の年齢をわざわざ15歳にしたんじゃろ?容姿が変わっていれば、あやつらにそう簡単には見付からんですむじゃろう。異世界アークスライドに、以前召喚された勇者たちの100年目になるように細工して送ったしの」


「そうですけどぉ~。……ん?召喚の勇者たち?…………あっ!と言うことは」

リーシアが納得顔になる。

「うむ。異世界人は魔力が多いから長生きじゃからのぅ。まぁ、気付けばあやつも焦るかも知れんの。まさか⁉の展開じゃ。あやつが無意識領域で引っ張った感じだったからのう。凄いものじゃ。まぁ、あの娘にはワシの加護まで付けたしの。そう簡単には見付からんし、捕まるようなことはさせんよ」


「創世神様の加護付けちゃったんですか⁉」


驚いてリーシアが叫ぶ。

好好爺の顔で創世神は──────


「うむ、可愛いからの。娘が強くなれば簡単に手出し出来んじゃろ。この娘が転生してきたとなると、どういうリアクションするか。さて、見付けるまで何年かかるかの?これからこの世界を覗くのが楽しみじゃて」

ふぉっふぉっと笑いながら顎髭を撫でる創世神を見てリーシアは溜め息をつき────


「鈴霞さん……頑張って下さいぃ……」


項垂れて溜め息を吐き、リーシアは鈴霞を見送るのだった。











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