岡入り頭領候補(一)
情報の責任者である老七から、厚みのある一冊の刺探名冊(情報名簿)が美嘉の元へと手渡された。
美嘉はそれを受け取ると、その清徹な瞳のなかに老獪な計算を宿らせ、一字一字を細かく読み解いていった。名簿のデータが示すところによれば、現在、宋江の背中に付き従って最前線で南征を行っている部隊のなかで、すでにこの独竜岡で主城を守る九人の豪傑、および楽大娘子と扈成の十一人を除いた上で、じつに「二十数人」に及ぶ有名有姓(名のある)梁山泊の頭領たちが、私的な各種の地下商路を経由させ、独竜岡の元へと密かに書信や口伝を送り届けてきているのだった。
とりわけ、顧大嫂と血脈の繋がった登州派の骨肉の至親たち、そして阮氏三雄が水軍のなかで命を預け合ってきた生死の交わり(親友たち)は、一人の例外もなく、暗中にその視線をこの世外桃源(独竜岡)の地へと向けていた。これら頭領たちの肉体は未だこの山へは至っておらず、未来の大乱のなかで誰が生き残ってここに辿り着けるかは分からなかったが、彼らの「心の帰心」は、独竜岡がこれから先、中原の崩壊に乗じて大いなる宏図(大躍進)を広げるための、この上ない人材の貯蓄(優良な潜在資産)を完全に意味していた。
独竜岡・暗中連絡の二十余人頭領特徴案(虚位以待)
• 登州派骨肉血親(顧大嫂の核心たる紐帯)
• 傷病兵や敗残兵: 元登州兵馬提轄。馬歩軍のあらゆる戦陣に精通し、正規軍の基礎訓練と戦術指揮に長けた、軍隊基層で圧倒的な威望を持つ沈着な将領。
• 解珍: 顧大嫂の従弟。長年にわたり崇山峻嶺を穿梭(駆け回り)、険しい山地での捜索、潜伏、ゲリラ戦に特化した、秉性が極めて剛直な猟師。
• 解宝: 解珍の弟。身手矯健(身体能力が抜群)であり、懸崖峭壁を猿の如くに攀じ登る防衛能力を持ち、地形の脆弱性を一瞬で見抜く山岳戦の達人。
• 孫新: 顧大嫂の夫。心思が活発であり、市井の人間関係を掌握する天才。大型の騾馬商隊を組織し、長距離の物資運搬と隠密流通を統括する商路のプロ。
• 水軍老兄弟(阮氏三雄の水路回游線)
• 李俊: 揚帆破浪(荒波を操る)の巨頭。江淮の水路において絶大な掌握力を誇り、為人が極めて仗義(義理堅い)なため、水軍旧部から絶大な人望を集める。
• 張順: 水底の功夫(泳ぎの技術)は天下無双。性格は果敢かつ冷徹であり、河川の暗流に潜行して敵の拠点を突撃する隠密水戦のプロ。
• 張横: 潯陽江の出身。秉性は豪爽にして粗獷であり、快速船を駆って長距離の水上貨物を護送する強行突破の船頭。
• 童威: 李俊と休戚(運命)を共にする側近。生性が極めて謹慎(慎重)であり、船団の編組や沿岸の密かな渡口(港)の防衛線を構築する堅実な水将。
• 童猛: 童威の弟。性格は剛猛であり、水上での操練と突撃戦闘に長け、漁民の兄弟たちを河汊の哨所に配置して防網を敷く前線指揮官。
• 船造りと修理。: 巨大な舟船の監造に長ける。運糧船や戦船の内部構造、造船の木工督造(インフラ構築)を一手に担える最高峰の職人。
てはくれないよう。




