擬視感
主人公、伊藤あずみ。
振り向くとそこには、知らない女性が居た。
暗闇の中、下は水浸し。
その中で前にポツンと同年代っぽい女の子がいる。
長い黒髪でクールな表情だ
そう思っていたらどこからか声がする
―おき……起きなさい!
「はっ…!……ん…なに」
母親だった
「何じゃないでしょ!今8時!学校遅れるよ!」
「あ!?ヤバっ…!ヤバイヤバイヤバイヤバイ!」
飛び起きて洗面台で歯磨きをする
「私もう行くからねー!」
「ん…。はあっは…!」
「あ、歯磨きしながら喋らない!垂れてる!」
「あーい」
歯磨きを終わらせ、ザッと荷物をまとめる
ご飯を食べずに鞄を持って家を出る
「遅刻だ…!今何時だっけ!8時!ヤバイじゃん!」
走って学校へ向かう
教室に着く頃には息が切れ気味だった
「疲れた…」
「おお、あずみ。お前ギリギリじゃん!」
「そうなんだよー。昨日寝落ちしててスマホ充電なくてさー」
「ワッハハハハ!wなにそれ傑作!」
「人の不幸をよく笑えるな…。ていうか、今日なんでみんなソワソワしてんの」
みんな何かを待っているような雰囲気だった
「え?お前知らねーの?今日転校生来るんだよ」
「え?そうなの?」
「うん。女の子って噂だぜー?お前彼女居ないんだしワンチャンあるかもよー」
「別に…興味ないし。俺は一生1人で自由に生きる!」
「本当にー?身長高いしお前結構人気なんだぞ?」
「良い。俺は一人を好んでるから。」
そもそも女子が嫌いだった。
すると、教室のドアが開き、教師が入ってくる。
「はい、みなさん。あんまりソワソワしないで。あなたはいつでもキョロキョロ。そんなに期待してると転校生さんが入りにくいでしょ」
「はーい」
みんな静まる
「入って良いですよ」
転校生が教室に入る。転校生は美人だった。
「あ、あいつ…」
見た事があった。あまり覚えていないが見たことある
これがデジャブという感覚だろうか
男子は美人な転校生に見惚れる。女子も大体はキラキラした目で見ていた。だが、一部は嫉妬していた
転校生が黒板に名前を書く
「華月薫です。よろしくお願いします」
教室が男子の声で溢れる
「華月さんですね。華月さんの席は…1番後ろのあそこですね」
出席番号順な為、40番の夢見は32番の俺の隣だった
「隣…。よろしくね、薫さん」
「馴れ馴れしい。初対面で下の名前やめて」
俺の転校生とのコミュニケーションは一瞬で死んだ
隣の山田が笑う
「お前っ、一瞬で嫌われてんじゃん!w」
「山田さん、だっけ?」
「え?あ、そ、そうです」
山田、転校生が美少女だからってなんか急にキリッとし出したぞ
「うるさい」
「え?」
山田も一瞬だった
「よ、山田。一緒に落ちようぜー!」
「くそっ!なにがダメだったんだ…!」
「山田は何もかもダメだろ」
「ひでぇよぉ!」
多分、華月のガードが硬いだけだ。
見た感じ物静かでクールって感じだ。確かに毒舌そう
だが、俺は華月に何かを感じていた。
「みなさん静かに!1限目の授業を始めますよ」
そして1限目が始まった
授業中、華月はしっかり聞いていた。
そして2限目も終わり15分休憩
「あの、華月さん。少し聞きたいんですけど…」
「なに。」
「その、俺たちって会ったことあります?」
この擬視感について何か知ってるかもしれない
「……ない」
何かある奴の間だった
「…なにか知ってるの?」
「あなたは知らなくていい。」
「…そう……」
そして3限目が始まる
「はいそこ喋んなー」
――そして昼休み
華月の周りには人が集まっていた
「ねぇねぇ!一緒に食べようよ!」
「どこから来たの?」
「好きな物とかある?」
転校生への質問ラッシュだ
自分の席から横目に少し見ていた
華月は無視して一人でパンを食べている
「冷たいなぁ…」
みんな離れていく
そして5限目、6限目が始まり、終わる
「華月さん、一緒に帰ろー」
早速声をかけられている
「一人で帰るから大丈夫。」
あっさり断る
華月が教室から出ていくと、女子の陰口が聞こえる
「なにあれ、クールぶってさー。カッコいいと思ってんのかな?w」
「絶対そうだよーw」
「浮いてるよねー」
自分に関係なくても陰口は聞きたくないものだ
さっさと鞄に荷物を適当に詰めて席を立つ
「あ、あずみくーん!またねー!」
「…これだから女は……」
「え?」
教室を出る
女子はズルイ生き物だ。セコくて嫌いだ
華月を追いかけるように下校する
「華月さん!あれ気にしないで良いですからね」
「なに?ついてきたの」
「いや、家こっちだから…」
「…そう」
華月の後ろを歩く形で下校する
「華月さんってなんでみんなと仲良くしようとしないんですか?理由でも?」
「……別に。理由なんてない。仲良くする理由もない」
少しイライラしている。声に出ている
「確かにそうですね。そもそもあんな奴らと仲良くしてもデメリットしかないですよね!」
「え?あ……。うん。……分かってんじゃん」
「だって、俺もアイツら嫌いだし。良い子ぶって裏で陰口言うことしかできない。あのグループ内ですら陰口言い合ってるんですよ!?」
「……へぇ。…そんなのすぐ壊れるよ」
「だよね。正直早く壊れて欲しいって思ってる」
少し華月の声が柔らかくなった気がした
「……あずみ、だっけ?……意外と良いやつじゃん」
「え、そう?今悪口言ってんのに?」
「うん。悪口言ってるから」
「…悪口言ってるからなの?まぁ良いや。華月さん、雰囲気変わった?」
「変わってない。」
少し心を開けてくれた気がした
「あ、俺こっちだから。…じゃあ、また明日!」
「…うん」
そして、家に帰る
その日の夜
「そろそろ寝るか…。明日はもっと仲良くなれると良いな……。」
そして目を閉じる
「…ここは……。あれ、夢の中…?意識ある…」
暗い場所に一人きりだ
「…声は出せる……。これ現実でも出してないよね…。夢の中ってことは想像すれば…」
とりあえず場所を想像すると、その場所になる
「うわ、すげぇ…!やりたい放題じゃん!」
少し想像して遊んでいると、後ろから聞き覚えのある声がする…




