ドラゴンが二十八匹
母さんに弄られすぎて疲れ切っていると、父さんが不思議そうにこっちを見てきた。
「・・・一体どうしたんだい? 全然食べていないじゃないか。」
「いや・・・ちょっと」
「もしや・・・学校に行きたくなくなったのかい?」
「へ?」
・・・何で父さんは嬉々とした顔でそんな事言うの・・・。
そう思って、はぁ、と溜め息をついた。
「それだけは無いから安心してくれて良いよ」
「・・・そうか」
「うん。・・・でも、少しだけ心配だな」
この歳で漸く魔法学校だから・・・。
父さんや母さんは5歳から魔法学校に行っていたらしいから、それ位の年代の子達が居るんだろう・・・。
苛められたりしないかな。・・・それだけが、心配。
前世の二の舞だけは嫌なんだ。
「大丈夫よ! エイダなら直ぐに魔法学校で人気者になれるわ」
「別に・・・そこまでは望んでないけど・・・」
「あら、そうなの?」
「うん。只魔法が使えるんだったら、何でも良いんだ。」
「・・・じゃあ別にこのままで良いんじゃないのか?」
「あーあぅ、うーうー!」
そう言って僕の判断を変えようとしてくる父さんと弟を見ない様に呟く。
「・・・父さんとフィルの過保護。」
「・・・過保護で何が悪いんだ」
「うーあっ!」
「・・・・・・とにかく、僕はりょうせい寮制でも行くからね?」
たったの4年だよ? と言うと、4年も、だ。と真剣な顔で言い返された。
「・・・それに、一通りは終わってるから、多分1年~2年の間に帰ってくるよ?」
「・・・・・・それなら・・・まだ善処してあげられるが・・・」
「それに、長期の休みに入ったら、直ぐ帰って来るし。」
僕だって、産まれたばかりのフィリルダと会えなくなるのは寂しいから、勿論帰って来るつもりでいた。
「あと・・・杖の使い方も知りたいんだ。それと、ちゃんと呪文も唱えてみたいし。」
「・・・何故? 使えるようになっても、結局は詠唱なんてしなくなると思うよ?」
その方がコストも時間も掛からないから、いず何れは絶対にそうなるという父さんに、其れは理解しているから、と伝えると、じゃあ尚更行く意味が分からない、とでも言うような顔になって僕の方に顔を向けた。
「それでも、なんだよ。
・・・僕はね、普通の人じゃないみたいだから。」
少し位、普通に憧れても良いでしょう? と笑って告げると、ハッと父さんが目を見開いた。
「そんな事・・・」
「そうだよ。
きっと普通じゃないって、父さんも、母さんも分かってるんでしょう?
普通じゃありえない魔力量と、幼い生体。
それに、精神上10歳未満は危ないとされているテイムだって勝手に行なったうえに、8匹ものドラゴン達を連れて帰って来たなんて、それこそ普通じゃない・・・。
・・・僕、分かってるよ? 自分の置かれている状況だって。
外は危ないって、父さんは言うけれど、それは僕が普通の子供じゃないからでしょう?
普通じゃありえないドラゴンをテイムした、って。
・・・・・・外に出てしまえば、それが隠し切れないから。
普通だったら・・・なんて、欲張りだよね。
分かってる、分かってるよ。でも・・・」
少しでも普通になって、皆を安心させたいだけなのに・・・。何で、こんな馬鹿ばっかりやっちゃうのかな・・・?
「少しの間だけ、だから。」
僕にチャンスをくれないかな? と告げると、母さんがギュッと抱き締めてくれた。




