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使えなくなった力

 その頃、瀬戸。

 パーマメントの一人が速水さんのお店に来ていた。


「瀬戸直人様、こちらにいらしたんですね。探しましたよ」

「……お前、誰だ?」


 瀬戸は座っていたカウンター席を離れ、男の前に立つ。


「ああ、すいません。私はパーマメントの者です。貴方にはパーマメント代表日向さまの所へ来て頂きます」

「……どうして、わざわざ敵地へ行かなきゃならないんだ」

「日鏡蛍様が捕らえられていると知っても、いらしてくれませんか?」


 パーマメントの男は不気味な笑みを浮かべる。


「日鏡が?」

「まさか、行く気なの? 瀬戸がどうなろうと良いっていうか、むしろやられて欲しいけど、罠だと分かっている所にいくの?」


 三鷹先生が瀬戸を説得する。


「ああ」

「……っ。日鏡さんは、十分強いわよ」

「いや、あいつは弱いよ。たく、あいつ……強がりなんだよ」


 瀬戸はそう言い残すと、パーマメントの男に案内を要請した。




「日鏡蛍、戦うのか?」


 日向が逃げ切ると言い切った私にやれやれ、というように言う。


「……CONTRACT、剣!」


 氷針をエアーで伸ばす。すると、氷針は長くのび剣に形を変えた。


「はあぁっ!」

「日鏡、お前の力は不利だ。俺の力、それは火を帯びた糸を使いこなす力。……CONTRACT!」


 火……!

 ……っだとしても、私は負けるわけにはいかない。守らないと、守らないといけないんだから。


「え……?」


 その瞬間、私の手からは氷針が消えていた。その後、何度「CONTRACT」と言っても力は使えなかった。


「………どう、して?」


 私は何が起きたのか理解出来なかった。


「この状況に瀬戸がいないのは残念だなぁ。でも、日鏡蛍、お前には死んでもらう。瀬戸の絶望する顔……想像つかないよ!」


 日向は可笑しそうに笑い、立ち尽くしている私に近づいてきた。

 そして、糸をギターの弦のように張り、それを私の首に近づける。


「……チェック」


 聞きなれた声。見慣れた顔。今、私が一番助けたかった人。

 瀬戸は日向の足場にトラップを仕掛け、日向はバランスを崩し、尻餅をついた。


「どうして、来たのよ……」

「はぁ……間に合ったか。決まってるだろ、お前が弱いからだよ」


 弱い。どうしてだろう。落ち込む筈なのに、私、落ち込んでない。

 ……きっと、私は瀬戸に弱いと言われた事で救われたんだ。


「そうね、私は弱いわ。なのに、強がって、迷惑かけて……」

「だから、強くなるんだろ?」


 瀬戸は困ったように笑った。


 すると、その場には狂気に満ちた、もはや叫びのような声が響いた。


「俺が殺す……、瀬戸、お前を待っていた……殺してやるよ!」

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