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マジですか?

 寮の中に入ると、すぐに蒼と紗奈が私と瀬戸の元に駆け寄った。


「蛍! もう、心配したんだよ~」

「日鏡は心臓を止める気か!」


 蒼……紗奈……。


「ごめん……」

「今度からは辞めてね、あんな無茶」


 紗奈はそう言うが、あれは無茶ではない。瀬戸は言ってくれたもの、大丈夫だって。

 二人を助けるため、守るためだったら私はどんな無茶な戦いだとしても逃げない……そう決めたのだから。


「うん。今日はもう学校も休校だって」

「そうなのか。日鏡、お前はゆっくり休めよ?」


 蒼がらしくない事を言うので思わず、顔に出してしまった。


「なんだよ! その顔は!?」

「ああ、ごめん。思わず……。私はちょっとこいつに話があるから二人は先に休んでて良いわよ?」

「う、ん……分かった」


 紗奈は少し戸惑いながら頷いた。


「行くわよ」


 私は瀬戸の腕を掴んで寮の外へ出た。


「おい、日鏡! どこへ連れていく気だ」

「自主練場よ」

「でも、今日はもう良いと思うぞ?」


 瀬戸のその言葉を聞き、私は自主練場を前にして足を止めた。


「私、今日怖かったの。あのドS男が紗奈と蒼に矢を向けた時……だからっ、私は二人を……守れるようにならないといけないの」


 私は一つ間を置き続けた。


「私ね、前の世界にいた時物語の主人公に憧れてたのよ。でも、いざ異世界に飛ばされて力を持って、守りたい人が危険にさらされて……こんなに、怖いことなのね」

「悪い、日鏡。俺、一つお前に言っていない事がある。むやみに言えばお前らを怖がらせることになると思ったんだ。だが、日鏡には言っておく。俺の目的はあいつを地獄に落とすことだけじゃないんだ」

「どういうこと?」

「あいつがもっている両親の力を取り返す事。力は普通は取り出せないが解剖など体を切り開けば別だ」

「別に、両親の力を取り返したいと思うのは自然じゃない。しかも、全然怖くないわよ?」

「分からないか? 簡単にやられる気は無いがやられたら俺たちもそうなるかもしれないんだぞ?」


 あ……。確かにそれは、紗奈や蒼に軽々しく言えた話じゃない。


「それでも、私はあんたに協力するわよ、ちゃんとね」


 瀬戸の事だって、ちゃんと……ちゃんと守りたいもの。


「ふっ。日鏡の癖に言うよな」

「あのさ、三鷹先生は本当に大丈夫な人なの?」

「ああ、賢太郎の奥さんだからな」

「えぇーーー!?」


 マジか……。

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