目的のための手段5
天才については、なんとなくわかったけど、話をはぐらかせてる気がする。
「それでどうして僕が主君に選ばれたの?」
「何でって、そうだな?一種の可能性ですかね。説明しろと言われてもよくわかりません」
「可能性?」
「助けられた恩もあります。しかし、それだけではありません」
彼方は不思議そうに首をかしげる。
「一瞬ですが、彼方殿の発する気から天の気を感じ取りました」
「天の気って何?」
「人間はみんな生まれたときに、それぞれの気の属性が決まります」
『地 魔 悪 中立 善 聖 天』
気は7つの属性があり、中立から左にいけばいくほど悪人になる。逆に右にいけば善人となる。
「人間は生まれながら悪人になるか?善人になるか?性質というか?素養が決まっているんです」
「それはちょっとやだな」
「素養が悪寄りだったからと言っても、全ての人間が悪人に堕ちる訳ではありません」
「それは良かった」
彼方はホッとした。
「悪の性質や善の性質は、少なからず人間はどちらも持っているので、言っちゃえばその人次第ですね」
「つまりは環境的要因が大きいと?」
「はい、そして今の彼方殿の気は、善人寄りに感じます」
「それって凄いの?」
「いえ?普通ですかね?」
「え!?どゆこと?」
「そこなんです。属性はそんなに簡単には変動しない筈なんですが?」
「だけど?天の気を感じとったと?」
「はい、そうです」
「それで天の気と主君はどんな関係が?」
「天の気の適合者は世界に6人しかいません」
「6人!そんなに少ないの?」
彼方は話に頭が追いつかない。
「天の気を持つものは、1人で一国の軍隊と同等以上の存在です」
「道のりは長いな、一国の軍隊か…」
「俺達はそんな世界ですら変えてしまうほどの方にお仕えたいのです」
「でも今の僕は天の気じゃないんだよね?」
「だから可能性にかけてみようかと」
「なるほど」
ようやく彼方は合点がいった。
「ところで何で面接会場にいたの?」
「あの会場で主君候補を探していました。その方が手っ取り早いので」
忍者って大変なんだな。時代錯誤ではあるけど。
主君って言われてもピンとこないけど、背に腹はかえられない。
「ちゃんとした主君を見つけるまでなら、仮主君になってもいいけど」
「本当ですか!全力で支援いたします」
「主殿、私も尽くすよ」
忍者兄妹は彼方の前に跪いた。
「白羽光莉は主殿と歩みし道を違えぬまで、運命を共にすることを誓います」
「白羽影月は主君に俺の夢のために運命を共にすることを誓います」
古風だな。王に仕える騎士みたいだ。




