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新しい誤字報告機能、すごい便利ですね。
ちょっと残念なのは誤字報告してくれた方にお礼が言えないことでしょうか。(メッセージ返信できるのかもしれませんが、やり方がわからない)
なので、この場を借りてお礼を申し上げます。
大陸暦1053年 海の月 5日
=エルスナード・『奈落へ至る道』入口=
カンスト。
つまり上限に達するということです。
ヴォルフさんに教えてもらいましたが、ウェアベアの場合、ステータスは[体力][生命]が120、[器用]が80、[知性][魔力]が60、残りは100が上限だそうです。
スキルとアーツは100レベルで上限になるそうです。たぶんこれはどの種族でも変わらないだろうとのこと。
確か、グリムレットさん討伐パーティが戦闘に使う主要スキル・アーツのレベルが70以上という応募条件だったはずなので、それを考えてもヴォルフさんって規格外なのでは……。
まあ「奈落へ至る道」の仕様ですと際限なく強いモンスターが1レベル刻みで出てくるわけですから、レベル上げもしやすいのでしょう。
「実際のところ、110階層のボスまではたどり着けてます。ただ110階層のボスが倒せなくて」
「なるほど……これはお手伝いはできませんね」
私はまだ35レベルですからね。
「そうでもないぞ」
背後からロッドさんの声がしました。ヴォルフさんと話をするのに槍は壁に立てかけておいたんですよね。今までずっと黙っていたのですが。
「誰!?」
ヴォルフさんがきょろきょろと辺りを見回します。あ、ロッドさんのことは気づいてなかったんですね。
立ち上がって槍を持つと、ヴォルフさんの方に穂先に埋め込まれた石を見せました。
「インテリジェンス・ウェポンのロッドさんです。ヴォルフさんも門の所で戦ったのでは?」
「あん時は竜人のスケルトンだったから武器の形状までは見てなかったかもな」
がははは、とロッドさんが笑いました。
「ああ、あの門番の」
竜人のスケルトン、で気づいたようです。
「……え? 武器が本体? で、武器を折った後、『契約』をして所有者に……いや、そんな要素もあるんですか。奥が深いな、『アナザーアース・クロニクル』……」
「それで、急に口を挟んできたのは何があったんです?」
ヴォルフさんに向けていた穂先の石を私の方に向けなおします。
が、くるっ、と手の中で向きを変えてまたヴォルフさんの方に石を向けます。……自力じゃ動けないんじゃなかったんですか、この槍……。
「ヴォルフとか言ったな。よかったらお前も手伝え」
「何をです?」
「姫さんの修行だ」
いやいやいや、ちょっと待ってください。何ですか、それ。私、聞いてませんよ?
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「……と、言うわけで、俺との戦いで俺の技を姫さんは見様見真似で使って見せたわけだ。で、俺の所有者になったわけだし、いっそのこと俺の槍術を姫さんに教え込んで、きちんと本物の技を使えるように仕込もうというわけだ」
「ところで、『姫さん』というのは?」
ヴォルフさんが手を挙げて質問しました。
「あ、あだ名みたいなものだから気にしないでくださいっ」
ジト目で不審そうに見られてますが由来を語る気はありませんよ。
「でも、槍術なんて教えてもらっても使えませんよ?」
「〈竜闘術〉でコピーを使ってたじゃねえか。あれの本物を俺が教えて使えるようにしてやる、て言ってんだよ」
「いや、無理ですよ」
あれはあくまで〈竜闘術〉の〈ドラゴンホーン〉というアーツを〈魔力操作〉で変化させてそれっぽく付随効果を再現しただけです。〈ドラゴンホーン〉自体は「竜の角を出して攻撃する」というアーツなので、さらに槍術のアーツを使えるわけではありません。
ロッドさんが使っていた〈闘気槍〉みたいに「武器を作るアーツ」なら、その作った武器を使ってアーツを使うことはできますが。
「もしかして、『アーツカスタマイズ』かな?」
「おう、それだそれ」
ヴォルフさんの言葉をロッドさんが肯定します。
「何ですか、それ?」
「ver2.0アップデートで追加された機能ですね。アーツの効果やモーションとかを自分の好みに編集して、『自分だけ』のアーツとして登録できるようになります。その中に『複数のアーツの効果を1つにまとめて、オリジナルのアーツを作る』っていう機能があります」
そう言えばダンジョン探索に忙しかったしあんまり自分には関係ないかと思って、イベントの告知は見ましたけど、追加された機能については目を通してませんでしたね。
つまり、それを使えば。
ロッドさんから槍術のアーツを教わって、〈ドラゴンホーン〉と組み合わせてカスタマイズすると、私がコピーした疑似槍術じゃなくて本物の〈ドラゴンホーン〉を槍として放つ槍術が使える、と?
何それ、すごい。
「でも、僕は何をするんです?」
「姫さんの練習相手だ。強い相手と訓練する方が、レベルは上がりやすくなる。お前さんは前見た時よりさらに強くなってるみたいだから、ちょうどいい。何、タダで練習相手をしろとは言わねえよ。姫さんと一緒に〈闘気術〉を教えてやる」
ヴォルフさんは首をかしげています。
「トウキジュツ?」
「闘う意志により生命エネルギーを操る武術だ。単に『気』とも言う。〈闘気術〉自体は自身の肉体や技そのものを闘気というエネルギーで強化する技だ。ゆえにどんな武術とも組み合わせられる」
「ははあ、なるほど。スキルとアーツが頭打ちしたなら、組み合わせることのできる新しい技を覚えることで、さらに強くなれる、というわけですね」
ヴォルフさんは納得したように頷きます。
「……ところで、さらっと私も〈闘気術〉を覚える枠に入ってませんか?」
「〈竜闘術〉とも組み合わせられるし、いいだろ?」
私は、はぁーっ、と大きくため息をつきました。
「あ、の、で、す、ね」
手に持った槍をガンガンガンガンガン、と手近な壁にぶつけます。
「おい、馬鹿、やめろ。刃が欠けたらどうすんだよ!?」
「壁にぶつけて刃が欠ける伝説の槍がありますか。と、いうか! そういうのはやる本人の意志を聞いてからじゃないですか。勝手に決めないでください」
「何だ、やらないのか?」
うわ、腹立つ言い方。
「そもそも、私は。この世界を見て回るためにゲームを始めて、ダンジョンを脱出するためにここまで来たんですから」
「やらないのか?」
「いや、やりますけど」
せっかくロッドさんが貴重な技術を教えてくれる機会です。逃さない手はありませんからね。
それに、レベルを上げたりとか、色々と戦術を練ったりとか、技を工夫したりとか。そういうの、結構、楽しいですし、嫌いじゃないですからね。
「仲いいね」
「よくないです!?」
何てことを言うんですか、ヴォルフさんは。
大陸暦1053年 海の月 26日
=エルスナード・『奈落へ至る道』入口=
気がつけばリアル1週間。ゲーム内時間で換算すると約20日が過ぎていました。
……しまった、こんなに長居するつもりはなかったのに。
いや、「アーツカスタマイズ」が面白いのがいけない。
これ、アーツの動作とかをアーツが成立する範囲で自由に自分で設定して名称をつけて登録できるんですけど、〈竜闘術〉だと各アーツに対して消費【MP】とパーツの見た目や形状を自由に作ることができます。
つまり、私があれこれ工夫して作って自前でコントロールして発動させていたものが、例えば、消費【MP】0の針のような〈ドラゴンクロー〉やパリーイングダガー型〈ドラゴンクロー〉なんかがあらかじめ作って登録しておくことで簡単に出せるようになるわけです。
これにさらに2つのアーツを組み合わせて1つのアーツにする「合成」や、複数のアーツの発動を順番やタイミングを決めて1つのアーツとして登録できる「コンボ」の機能もあって、まさしく自分だけのアーツを作り上げることができるわけです。
確かに、慣れとセンスは必要だと思いますが、こんなのハマると面白くないわけがないじゃないですか。
というわけで、現在のステータスがこちら。
【HP】159/159 【SP】149/149 【MP】150/150
【ステータス】
[体力]24
[生命]46
[器用]44
[敏捷]13
[知性]19
[精神]42
[魔力]66
【スキルとアーツ】
〈竜闘術・王魔★〉LV42 〈槍術:天威武法★L〉LV10
〈闘気術★L〉LV11 〈状態異常耐性〉LV31 〈礼儀作法〉LV4
〈園芸〉LV1 〈調教〉LV1 〈動植物知識〉LV1
〈魔力知覚〉LV17 〈気配察知〉LV20 〈鑑定〉LV28
〈魔力操作〉LV58 〈魔力奪取〉LV50 〈睡眠負荷軽減〉LV12
〈MP回復率上昇〉LV11 〈竜の胃袋〉LV38 〈裁縫〉LV4
〈地図〉LV14 〈鍵開け〉LV1 〈罠察知〉LV21
〈HP増加〉LV5 〈SP増加〉LV11
〈HP自動回復※〉 〈SP自動回復※〉
〈MP自動回復※〉
新しく覚えたスキルは4つです。
〈槍術:天威武法★L〉〈闘気術★L〉はロッドさんから教わったスキルです。★つきなので上級スキル扱いで、かつ「L」というマークは何か調べたら「遺失スキル」とのことでした。
これもver2.0アップデートで追加された要素で、いわゆる「過去には存在したけれど現在には伝わっていないスキル」のことだそうです。世界各地に残された情報を元にスキルを「復元」することで使えるようになる、らしいです。
ロッドさんがそれを知ったら「マジかよ。俺の流派が断絶してるの!?」とショックだったようです。
〈HP増加〉〈SP増加〉はヴォルフさんから教わりました。効果は単純に最大【HP】と最大【SP】をレベルに応じて増やすだけです。
これって絶対覚えておかないといけないスキルなのでは……と思いましたが、どうも掲示板などの情報を見ると、ゲーム序盤、初心者の頃は必要ではなく、レベルが上がって【HP】【SP】が足りないと感じてくると覚えることが推奨され、最終的には必須になる、というのがプレイヤー間での通説のようです。
正直言うと〈MP増加〉スキルがすごく欲しいのですが……これはスクロールを使うか、既に取得済の人に教わらないと取得できないそうなので無理でした。残念。
〈ドラゴンクロー★〉LV44 〈ドラゴンスケイル★〉LV39
〈ドラゴンバイト★〉LV35 〈ドラゴンブラッド★〉LV23
〈ドラゴンテイル★〉LV27 〈ドラゴンウィング★〉LV20
〈ドラゴンハウル★〉LV31 〈フィアオーラ★〉LV1
〈リジェネレート★〉LV15 〈ドラゴンホーン★〉LV21
〈ドラゴンハート★〉LV2
〈螺旋衝★〉LV3 〈輝閃衝★〉LV4 〈影尖衝★〉LV5
〈双穿衝★〉LV2 〈乱箭衝★〉LV1 〈千戦衝★〉LV5
〈闘気攻★〉LV4 〈闘気防★〉LV5
〈書き込み〉
【カスタマイズ】
〈オーラクロー〉〈オーラバイト〉〈オーラテイル〉
〈オーラホーン〉〈パリーイングクロー〉〈ドラゴンハンド〉
〈ドラゴンセイバー〉〈クロッククロー〉〈ダブルファング〉
〈スカルテイル〉
〈ドラゴンホーン螺旋〉〈ドラゴンホーン輝閃〉〈ドラゴンホーン影尖〉
〈ドラゴンホーン双穿〉〈ドラゴンホーン乱箭〉〈ドラゴンホーン千戦〉
取得アーツがこちら。だいぶ増えました。
まず〈竜闘術・王魔★〉40レベルで取得したのが〈ドラゴンハート★〉です。
これは一定時間、[体力][生命][敏捷]を3倍にするという滅茶苦茶強力なアーツです。
[体力][生命][敏捷]を3倍です。
〈竜闘術〉の使用には何ら効果がありません……。
しかもクールタイム24時間、使用後は逆に[体力][生命][敏捷]が3分の1(端数切り上げ)になるというデメリットつき。
槍術の訓練には役に立ちましたけどね。
〈螺旋衝★〉などのロッドさんが使用していた各アーツは〈槍術:天威武法★L〉から覚えました。これは〈竜闘術〉と違ってスキルのレベルが上がると覚えるのではなく、ロッドさんから伝授されることで覚えることができました。
体を動かすのが苦手な私の影響もあってかレベル自体はまだ高くありません。
〈闘気攻★〉〈闘気防★〉は〈闘気術★L〉からのアーツです。〈闘気攻★〉は一定時間武器(素手を含む)に防御無視効果を付与するもの、〈闘気防★〉は一定時間ダメージ減少効果を得るものです。どちらももっとレベルが上がらないと実用にはなりませんが、レベルさえ上がればかなり強力になりそうです。
【カスタマイズ】はアーツカスタマイズで作成したアーツです。名前は自由に決められるのでヴォルフさんと相談して決めました。レベルの表記はありません。元のアーツないし組み合わせたアーツの平均レベルとみなされます。一応20個まで登録ができます。残り空き枠はあと少しですね。
〈オーラクロー〉〈オーラバイト〉〈オーラテイル〉〈オーラホーン〉、これは〈竜闘術〉の各アーツに〈闘気攻〉を組み合わせて作ったアーツです。簡単に言うと「防御無視効果つきの〈竜闘術〉のアーツ」になります。難点は【MP】と【SP】を同時に消費することでしょうか。【MP】は〈魔力奪取〉で回復しますが【SP】は回復しないので、回復手段がない場合は慎重に使わないといけませんね。
〈パリーイングクロー〉〈ドラゴンハンド〉〈ドラゴンセイバー〉、これは〈ドラゴンクロー〉を用途に応じて形状を特化した形にしたものです。〈パリーイングクロー〉はロッドさんとの戦いで使った三又の受け流しに適した爪。〈ドラゴンハンド〉は極力人間の手に近い形状にした「物を掴む」専用の爪。〈ドラゴンセイバー〉は逆に大きく威力を高めたもので、見た目はほぼ曲刀に近い形になっています。
〈クロッククロー〉〈ダブルファング〉〈スカルテイル〉は〈ドラゴンクロー〉〈ドラゴンバイト〉〈ドラゴンテイル〉を「多重発動」に特化して作ったものです。剣の王を参考に、少ない【MP】で多重発動を起こしやすいように作ってあります。ちなみに〈クロッククロー〉はダンジョンに入ったばかりのレベルが低いころ、よく使っていた針のような〈ドラゴンクロー〉を円形に12個発動させていたあれですね。
〈ドラゴンホーン螺旋〉〈ドラゴンホーン輝閃〉〈ドラゴンホーン影尖〉〈ドラゴンホーン双穿〉〈ドラゴンホーン乱箭〉〈ドラゴンホーン千戦〉、これは〈ドラゴンホーン〉に〈槍術:天威武法〉の各アーツを組み合わせた、私がvsロッドさんで使ったコピー技の本物バージョンです。2つのアーツしか組み合わせはできないので〈闘気攻〉は入ってないので防御無視効果がないのが残念ですが、色々と付随効果がついています。
うん、ロッドさんの本気やヴォルフさんに比べるとまだまだですけど、だいぶ能力も把握・整理ができたし、手札も増えました。
そろそろ、本来の目的に戻ってもいいころ、かな?




