↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/102

52

 大陸暦1052年 空の月 27日



 =B5階=



 テレンスを倒した後の大部屋には入ってきた扉以外に3つ、扉があります。


 1つは例の即死罠なので無視するとして残り2つですが、1つは復活地点になる水晶の埋め込まれた柱があるだけでした。


 ここで復活地点を設定しておきます。

 また死んでテレンスと再戦は面倒ですからね。


 で、もう1つの部屋ですが。ここは小さな部屋で扉とかはありません。即死罠の部屋と造りが同じなので思わず警戒してしまいますが。

 部屋の奥の壁に上から6つ、ボタンが縦に並んでいて、そのそばに文字が書いてあります。例のごとく読めませんが。


 死んだら死んだということで、まず1番上のボタンを押してみましょう。


 ……何も起きませんね。


 では逆に1番下のボタンを押してみましょう。


 ガタン、と部屋が少しだけ揺れました。

 そのまま下に動いていくのが感じられます。


 縦に並んだボタン、押すと下に動いて行く部屋。その意味するところとは。


 うん。エレベーターっぽいですね、これ。


 しばらく下に動き続けた部屋が、止まりました。


 扉を開けてみます。


 この部屋に入った時は扉が3つある大部屋だったのですが、今は通路が真っすぐ続いている状態になっています。

 行ける1番下の階まで来たように思いますが、まずは先へ進んでみましょう。



 =B10階=



 ボタンの数的にB5階から5階分下に降りている(1番上のボタンはB5階に行くボタンだと思われる)のでB10階で間違いないと思うのですが、結構奥深くまで来ましたね。


 通路をしばらく進んでいくと……思わず、足が止まりました。


 〈罠察知〉のスキルが罠があることをびんびんに伝えています。


 通路を見渡しました。


 もちろん、どんな罠があるかなんてわかりません。〈罠察知〉スキルは気づくことはできるのですが、能動的にどんな罠があるかを探す、ということには役に立たないようです。


 今までの経験だと、落とし穴か毒ガスが噴き出すか……。


 どちらにしても道は1本。乗り越えなければ先へは進めなさそうです。


 「〈ドラゴンウィング〉」


 背中から翼を出しました。


 飛んでいけば、落とし穴には落ちないでしょうし、だいたいこういうのは床を踏んだら発動するものです。



     ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇



 地面すれすれを浮いていくような感じで飛んでいきます。


 足元の床が開いて落とし穴が現れました。もちろん宙を飛んでいるから落ちることはありません。


 読み通り。


 そのまま落とし穴の上を通って行こうとしたところで目の前を何本もの槍がものすごいスピードで右から左に通過していきました。

 通り過ぎようとすると右の壁から槍が高速で飛び出し、串刺しにされるようです。


 ちょっと高度を上げて、槍が当たらないように通り過ぎていきます。


 急に天井が降って来ました。

 上の階で私が初見殺しされた吊り天井の罠です。


 咄嗟に気づいて体をひねって避けることはできました。〈罠察知〉で一瞬速く気づいてなかったら危なかった。


 と思ったら床から槍が5本、飛び出して来ました。


 後ろに飛び退いて避けられましたが。


 て、いうか、この通路、罠が多すぎ。


 そして、ここまででわかったこと。


 どれもおそらく即死レベルの罠です。引っかかるとよくて重傷、だいたいで死にそうな罠です。


 やばい。


 殺意高すぎる。


 生きてこの通路、突破できるでしょうか。




 槍が左手から突き出される。体を浮かせて上へ避ける。


 天井が降ってくる。〈ドラゴンウィング〉を無理矢理動かして左に避ける。


 床から斜めに矢が飛んでくる。〈ドラゴンスケイル〉を発動してガード。


 ガスが噴き出してくる。息を止めて全速前進。ちょっと吸ってのどが痛い。


 今度は右手から槍。翼を羽ばたかせ、上へ。


 背中に頭に細い糸のようなワイヤーが当たり、体に食い込むのに気づく。


 慌てて下に降りる。下から槍が突き出してくるのが体をかすめる。


 地面すれすれを滑空していく。


 天井の穴から矢が立て続けに飛んでくるのを〈ドラゴンスケイル〉で弾き飛ばして。


 下から槍。上から天井が落ちてくる。


 最後は両側の壁が高速で私を挟み込み押しつぶそうとするところを間一髪、加速。


 通路を抜けて小部屋に転がり込みました。


 こ、怖かったー!?


 よく頑張った私。よく生き残った私。

 ありがとう〈ドラゴンウィング〉。

 〈ドラゴンウィング〉の機動力がなかったら私の素の運動性能だったら、何十回も死んでました。



     ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇



 たどりついた先の小部屋には大きな扉がありました。


 そこに五芒星が描かれており、その各頂点の5ヶ所に長方形の板のようなものをはめるようになっています。


 もちろん押しても引いても開きません。


 五芒星の真ん中に文章が書いてある(そしてやっぱり読めない)ので、解読をお願いしましょう。


 その結果。



 ここは4つの王国が支配する領域。

 彼らの戦場は秩序で支配される。

 最も強き力を示した者のみが、迷宮都市エルスナードへ至る扉を開くことができる。



 こんな文章でした。


 迷宮都市エルスナードってなんだ、て感じですが、そもそも文章の内容もさっぱりです。


 たぶん、扉の5ヶ所に長方形の板をはめ込めるようになっているので何か入れるのでしょう。あと、エレベーターのボタン的に間に4階層あるので、それが「4つの王国」なんでしょう。


 どちらにせよ、上の階層を探索してみないとどうすればいいかが、さっぱり見えてきませんね。


 では、戻り……戻る?


 やってきた通路を見ます。


 ごくごく普通の通路に見えます。


 〈罠察知〉は今もずっと発動して罠があることを告げています。

 古来、罠とは外敵の侵入に備えるもので、外から内に不法に侵入する者に対して発動するものであって、内から外に出る者に対して罠は発動しないものです。

 だから、来るときさんざん悩まされたあの通路の罠の山も帰りは発動しないはずです。



 世の中そんなに甘くなかった。



 =B6階=



 死ぬ気でエレベーターまで戻って来て、次は順番にB6階……上から2番目のボタンを押します。


 がたんがたんと部屋が上に登っていく感覚があり、しばらくして止まりました。


 扉をあけます。そこは小さな部屋で正面に扉があり、マークと文章の書かれた銘板が扉の上部にあります。

 文章は解読してもらうとこんな内容でした。



 ここは貨幣の王国。

 地獄の沙汰も金しだい。

 ただし、外から金は持ちこまないこと。

 王は他国の金を認めない。



 さて、どういう意味でしょうか。

 外から金は持ちこまないこと、ということはお金は持って入らない方がいいのでしょうか。幸い、上で拾える金貨はもう手元にはありませんし、それ以外でお金のようなものに巡りあったことはありません。


 まあ、先へ進んでみましょう。


 扉を開けると通路が真っすぐと左に続いています。今までの石造りの通路ではなく、もう少し近代的な……具体的にはコンクリート造りな感じの通路になっています。


 気になるのは通路に出てすぐ右手の壁にどす黒い何かが飛び散っているのですが……見なかったことにしましょう。


 まずは真っすぐ進みます。しばらくすると右手の壁にスイッチがあるのに気づきます。


 あの電気をオン・オフするスイッチです。上に「←」と矢印が書かれています。


 ……まあ、あんまり不用意に触らないようにしましょう。


 さらに進むと左へ進む分かれ道をがいくつかあります。何か分かれ道の部分の壁にどす黒いものが飛び散っていることが多いのが不気味です。

 矢印がついたスイッチ、分かれ道の壁に飛び散っているたぶん血と思われるもの……んー、何か嫌な感じしかしませんが。


 しばらく進むとL字型に左に道が折れ曲がっています。


 その曲がり角を占拠する巨大な球。


 これはもしや、かの有名なローリングストーンの罠……?


 遺跡探索が題材の映画やゲームなどでは出てこないことはないという有名な罠で、主人公を押しつぶさんと高速で転がってくる岩がスリリングな罠です。


 〈罠察知〉に反応はありませんが、何かスイッチが入ると、この球が転がってくるのでしょう。


 ん?


 目の前の球と目が合いました。


 1つ、2つ、3つと、球の表面に目が開きます。


 とっさに〈鑑定〉をしました。



 ゲイザー

 種族:異界生物

 レベル:70

 属性:-

 スキル:〈封じの魔眼〉〈即死の魔眼〉〈分解の魔眼〉〈石化の魔眼〉

 〈麻痺の魔眼〉〈冷凍の魔眼〉〈魅了の魔眼〉〈誘眠の魔眼〉〈浮遊〉



 モンスター!?レベル70!?


 レベル70ってレベルだけならサルカンドラさんとかサマリーさんレベル!?


 ぐるっと球が回転し、ひときわ大きな目と牙が並んだ歪んだ口がこちらを向きます。


 まずい、逃げないと。


 〈ドラゴンウィング〉を発動させようとしましたが、いくら発動させようとしても反応がありません。


 なぜに!?


 そうしているうちにその目玉の化け物は目の前まで近づいて大きな口を開け、こちらに噛みつこうとします。


 〈ドラゴンスケイル〉……も、発動しない!?





 「死すべき運命の分岐路に立つ、異界の魂よ。あなたには2つの選択肢があります。このままあなたの死を世界の歴史に刻むか、死の運命をなかったことにするか、です」


 気づけばフェルエさんの所にいました。


 まあ、死にますよね。


 VRゲームは現実への影響を抑えるために、残酷な表現は最小限にされているのですが、それでもちょっと精神にくるものがありましたね。


 ログアウトしたらさっぱりするのでしょうけれどね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。