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前回から解答編?です。

途中はおまけ的なお話になっています。

 大陸暦1052年 空の月 23日



 ヒントは部屋に入ってすぐにあった泉と柄杓、ですか。


 実際の神社も確か入口で水場があって手を洗ったりするものだったはずです。

 つまり、正式な作法の手順で祈りを捧げないといけないわけですね。


 というわけで、ちょっとログアウトして正式な手順を調べてきました。広大なネットには欲しい知識はあふれているものです。



 1.参道


 神社の入口には必ず鳥居があり、鳥居をくぐる時には軽く一礼をします。そして、参道を進む時は中央を通ってはいけないそうです。(これは参道の中央は神様が通る道だからだそうです)


 ……実はこれに気づくのにすごい時間かかったんですよね。おかげで何回も参拝やり直しさせられました。


 詩人の鍵と道化師の鍵を使った扉、あそこだけ不自然に赤く色が変わっていたのは、鳥居のイメージだったからなんですね。鳥居=神社の入口、と考えるとあの扉が鳥居と見なすのはわからなくはないのですが。あと通路も一応色が塗り分けられていたのはヒントだったんでしょうけど。


 いや、流石に無理がありませんか?


 とりあえず、扉をくぐる前に一礼をして、部屋までの通路は両端の黒い部分を歩くようにしないといけません。



 2.手水舎


 「てみずや」と読むそうです。ここで正式な作法で身を清めないといけません。


 これは部屋に入ってすぐ脇にあった泉と柄杓、ですね。


 右手で柄杓を取って水を汲み、それをかけて左手を清める→ 左手に柄杓を持ちかえて、同じように右手を清める→柄杓を右手に持ちかえて、左の手のひらに水を受け、その水を口にいれてすすぐ→水をもう一度左手にかけて清める→使った柄杓を立てて、柄の部分に水を伝わらせるようにして清め、柄杓を元の位置に戻す。


 これで身を清めるのは完成です。意外と大変でした。



 3.参拝


 まず一礼します。


 次に鈴を鳴らします。


 そして静かにお賽銭を入れます。


 そう、お賽銭です。


 お金なんて持ってない……と思いましたが、B2階で出てきたコインパックが落とす金貨。金貨なのに真ん中に穴が開いているのはチョコレート味のネタかと思ってましたが、ここで使うためのものだったんですね。本物は金貨じゃなくて黄銅貨ですけれど。


 実は優先的に食べていて手持ちがなかったので慌てて拾いに戻ったのは秘密です。


 別にチョコレートが好きなわけじゃなくて、素材と貴重品だと素材の方が重要だと思ったからですよ。ほんとですよ?

 素材=何かしらの生産の材料として使用できる、貴重品=換金アイテム、なので素材の方が後々何かしら役に立つことがあるかな、と。


 後は二拝二拍手一拝、2回お辞儀をして、2回柏手を打ってお祈りをし、1回お辞儀をします。


 ここは作法が色々あって、かつお辞儀の仕方とか柏手の打ち方とか細かいやり方も色々ありましたが、とりあえず一般的な作法でかつお辞儀と柏手もだいたいでよかったようです。


 これでお賽銭箱がスライドして、下へ降りる階段が現れました。


 正直、鳥居と参道のこととか、気づいたからよかったですけど、もうちょっとヒントが欲しかったですね。


 しかし、この世界、女神の神殿って和式なのか……と思ったら後で調べてみると、普通の街にある神殿は普通にファンタジーっぽい造りでお祈りもひざまずいて祈りを捧げるだけのようです。


 和式なのはダンジョンの謎解きのためだけかっ。



 大陸暦1052年 空の月 24日



 金貨を拾いにB2階に戻ったり、鳥居と参道に気づくのに何回もやり直したりしていたので、1度下に降りる前にログアウトして休憩してきました。


 ログインしなおすと、なぜかダンジョンではなく真っ白な空間に現れます。


 あれ?と思っていると目の前に1人の少女が現れました。


 年齢は中学生から高校生くらい。茶色の髪を短く切りそろえており、青い瞳。白いリボンで飾られたつば広の黒いハットをかぶり、同じく黒のケープを羽織っています。ケープの下は質素な黒のワンピースで、男性用っぽいいかついブーツがアンバランスな感じです。


 「初めまして」


 その少女は帽子をとって恭しく一礼しました。

 私はその少女を知っています。先ほど像が並んでいるのを見ていましたからね。


 「初めまして、ティセルさん」


 十二女神が一柱、空を司り、自由と放浪の女神、ティセル。


 世界を見渡す「瞳」を持つと言われ、世界に起きているどんな出来事も見知っている、ゆえに物語の語り手たる吟遊詩人たちが崇拝する女神。

 プレイヤーには動画作成サービスのGMとしての方が一般的ですね。先生呼びされています。


 「今日は君の誕生した日を祝うために、空の守護神であるボクがこうして祝福を届けに来たよ」


 おお。


 今日のゲーム内の暦は大陸暦1052年空の月24日。つまり、ノエルの誕生日です。


 キャラクターの誕生日にはこうしてイベントがあるんですね。


 「さあ、これをどうぞ」


 ティセルさんが私に小箱を差し出します。開けてみると中には腕輪が入っていました。



 女神の腕輪(10日)

 分類:アクセサリー

 レア度:1

 品質:A

 重量:2

 装備効果:[体力][生命][器用][敏捷][知性][精神][魔力]+5

 女神から誕生祝いに送られた腕輪。

 効果時間:大陸暦1053年 戦の月 3日 まで



 単純にゲーム内時間で10日間、全ての能力値を+5してくれるようです。これはありがたいですね。


 「そして、誕生日の今日、空の月24日だけ、スキルレベル上昇効果のある祝福を授けるよ」


 ティセルさんの手から光があふれると、私を包みます。

 私の頭の上に何かマークがつきました。これが祝福を受けてることを示す表示でしょうか。


 「じゃあ、またね。ノエルが君だけの良い歴史(クロニクル)を紡ぐことを、願ってるよ」


 笑顔でティセルさんは姿を消しました。


 白い空間が一瞬で、ログアウトしたダンジョンの、女神像の並ぶ部屋に戻ります。


 スキルレベル上昇効果の祝福、今日1日だけですか。

 ちょっとどんなものか試してみる必要がありますね。


 この後、めちゃくちゃレベル上げしました。



 大陸暦1052年 空の月 25日



 B4階のマネキンたちを相手に戦闘系のスキルとアーツのレベル上げを1日やりきりました。その前にロテッドコープスとスカヴェンジャーワームでレベル上げした分を含めるとこんな感じです。



 〈竜闘術・王魔★〉LV19

 〈ドラゴンクロー★〉LV19

 〈ドラゴンスケイル★〉LV26

 〈ドラゴンバイト★〉LV17

 〈ドラゴンブラッド★〉LV8

 〈ドラゴンテイル★〉LV8

 〈ドラゴンウィング★〉LV12

 〈魔力操作〉LV28

 〈魔力奪取〉LV20

 〈竜の胃袋〉LV21



 たぶん〈竜闘術・王魔★〉が20レベルで次のアーツを覚えると思うのですが、残念ながら19レベルで祝福の効果が消えました。

 マネキンがだいたい18~20レベルなので上級スキルであることを考えるとなかなかレベルを上げるのも厳しいのかもしれません。


 ただスキルとアーツが十分なレベルになったことでマネキンパーティも正面から倒せるようにはなりました。それでも〈ドラゴンウィング〉を使って隊列を崩して後列から倒す方が手っ取り早いんですけどね。


 また、マネキンたちを倒していると欠けた魔石を拾える以外に宝箱が出現することがあります。だいたい罠がかかっていることが多くて〈罠察知〉スキルに反応するのでスルーするのですが、たまに罠の反応のない宝箱があります。


 その宝箱から入手できたのがこちら。



 HP回復ポーション

 種別:薬

 レア度:2

 品質:C

 重量:1

 【HP】を50回復する。



 MP回復ポーション

 種別:薬

 レア度:2

 品質:C

 重量:1

 【MP】を50回復する。



 見た目はペットボトルに入った色付きジュースです。HP回復が赤色、MP回復が青色をしています。入れ物は透明ですがガラスではないようですね。落としても割れないのは便利です。

 あとキャップがワンタッチで開いてすぐ飲めるようになっているのは現実と変わらず便利だと思いますが、少々ファンタジーらしさを損なっていないでしょうか……。



 =B5階=



 階段を下に降りるといつものように復活地点とのある小部屋になっています。復活地点を此処に設定しておきます。


 部屋を出ると通路が真っすぐ続いています。罠とかはとりあえず、なさそうですね。

 前方からどんな敵が出てくるか、注意して進むことにしましょう。


 通路はひたすら真っすぐ続いています。罠もありませんし、敵も出てきません。上の階層ですと、そろそろ巡回している敵と遭遇するころなんですけどね。


 そうしていると、特に敵と遭遇することもないまま、ちょっと開けた場所に出ました。


 正面に扉があります。


 ただ普通のダンジョン内の扉と違って、何か看板がぶら下げてあります。

 ……字が書いてあるんですが、読めません。

 あと看板とは別に扉に何か文字が書き殴ってあり、それに線を引いてまた何か文字が書いてあるのですがこれもやっぱり読めません。


 これも解読依頼を出すべきでしょうか。看板はともかく扉に直接書いてある文字は〈鑑定〉で表示されるんでしょうかね。


 うん、まあもし中で何か困るようなことがあったら解読依頼を出すことにしましょう。


 意を決して私は扉を開けました。


 中はとても広い部屋です。

 がらんとして特に何も部屋の中に置いてはありません。正面と左右の壁に扉があるのは見えます。


 一歩部屋の中に足を踏み入れると、じりりりりりとまるで目覚まし時計のベルのような音が鳴り響きました。


 目の前に黒い靄のような魔力が集まります。


 さあ、何が出てくる?

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