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 大陸暦1052年 土の月 30日



 =B1階=


 仮定ですが、現在位置を地下1階と認識しておきます。


 だいたい全ての通路と部屋を見て回りました。出てくる敵は結局、ボーンゴーレム、ダンジョンバット、ダンジョンラットの3種類だけのようです。


 で。


 上へ上がる階段が見当たりません。


 この階層は全体が正方形の形をしていて、4辺にそれぞれ小部屋がある、という構成のようです。

 そのうちの1部屋が私が降り立った復活地点です。他の小部屋にも同じような水晶が埋め込まれた柱があったのですが、触れても反応がありませんでした。


 一応、見てない場所はまだあります。


 復活地点を出てすぐの場所にある、大きな扉です。


 でも、ここは何があるかだいたい予想できるんですよね……他に行ける場所は全部行ったので、仕方ないので開けてみましょう。


 はい、予想通り、下へ降りる階段がありました。


 普通に考えると、ダンジョンというものは上から下へ潜って行くものですよね。

 つまり上へ行けば入口に戻り、下へ行けば進むものだと思います。

 下へ進んだ後、別の場所から入口に戻れることを願うしかありませんか。



 =B2階=


 下りるとすぐ、水晶の埋め込まれた柱が真ん中に立った小部屋になります。


 これは……まあ、触ってみましょう。



 【復活地点に指定できます。指定しますか?】



 上と同じような構図のようですね。

 ……というか、結果論的にはすぐ降りてもよかったのかな……。

 上の階層は結局何もなかったですし、ここは、はい、を選択しておきます。


 扉を開けて外にでましょう。



      ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇



 通路が正面と左手に続いています。床や壁、天井の雰囲気はB1階と変わりません。とりあえずまっすぐ進んでみることにします。


 しばらく進むと、通路に硬貨が何枚も落ちているのに気づきました。明らかに不自然なんですが、何でしょうね?



 金貨

 分類:貴重品

 レア度:1

 品質:C

 重量:-

 金貨。現在流通しているものではなく金銭としては使用できない。

 骨董品としての価値はある。



 〈鑑定〉してみるとこんな感じです。うーん、お金として使えるものではなく、いわゆる宝物的なものでしょうか?普通のアイテムのようなので拾ってみましょう。


 確かに金貨……なんですが真ん中に丸く穴が開いてます。ドーナツみたいな感じです。


 「痛っ!?」


 金貨を持つ手の指先に鋭い痛みが走りました。何ごと、と思ってよく見ると。

 金貨が噛みついていました。


 慌てて〈鑑定〉しなおしてみます。



 コインパック

 種族:魔法生物

 レベル:14

 属性:-

 スキル:〈群体〉〈偽装〉



 モンスター!?さっきまで確かにアイテムだったのに!?


 よく見ると上の階の敵は持っていなかったスキルをこいつは持っています。〈偽装〉というのがそれっぽいですね。〈鑑定〉結果を誤魔化せるのでしょうか。


 と、そうしていると、さっきまで地面に散らばっていた硬貨が宙に浮いて一斉に襲い掛かって来ました。どうもあれ全部がモンスターのようです。


 〈ドラゴンスケイル〉が攻撃に反応して防ぎます。が、出てくる鱗の大きさは手の平サイズ。2,3体の突撃は防ぎますが、多くがすり抜けて、私の体に当たります。


 範囲攻撃だこれ!?


 1体1体は小さいですしHPに受けたダメージは合計で5点と少ないのですが。当たった部分がすりむいたような感じでヒリヒリします。


 「この!」


 〈ドラゴンクロー〉を大振りに薙ぎ払います。3,4体くらい落ちたようですが群れが散らばって効果は薄いようです。どうやらこのコインパックというモンスター、全部のコインあわせて1体のモンスターのようですね。


 また一団となってコインが突っ込んできます。〈ドラゴンスケイル〉を多重発動で複数枚発動させて広範囲を守ろうとしてみることにします。広範囲に攻撃してくる敵は初めてですので、ちょうどいい練習と思いましょう。


 時間差で次々に手の平サイズの鱗を発動させていき、1枚の壁になるようにします。けれど、さっきよりは防げましたが、鱗を展開しきる前に結構な数がすり抜けて、噛みつかれてしまいました。


 結論。範囲攻撃を多重発動で防ぐにはよほどの先読みをして展開しないと無理そう。


 さらに反転して襲い掛かってくるので今回は素直に【MP】を使って黒い鱗の壁を出現させて、防ぎます。

 〈ドラゴンクロー〉が効果が薄そうなので攻撃方法を変えて。


 〈魔力操作〉と合わせて【MP】をつぎ込み〈ドラゴンバイト〉を発動させます。


 巨大な牙と口が現れ、小魚の群れを飲み込む巨大魚のごとく、コインの群れを飲み込んでいきます。


 甘い!これはたぶんチョコレート味!


 そのままコインの群れは消えていなくなりました。


 強くないと言えば確かにそうなんですが、厄介は厄介な敵ですね。結構【MP】を使わされましたし。

 そういえば最初の〈ドラゴンクロー〉で叩き落としたコインが通路に残っています。



 【金貨×3を入手しました】



 拾い上げようとするとシステムメッセージが流れました。あれ、倒した後の死体扱いなんですか。入手したアイテムとしては最初の〈鑑定〉の結果通りのようです。


 試しに1枚食べてみると、やっぱりチョコレートの味でした。


 真ん中に穴の開いた金色の硬貨で、チョコレート。そういえばこんなお菓子が昔はあったそうですね。



      ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇



 いきなり初見の敵でしたが、それ以外ではB1階と変わらないボーンゴーレム、ダンジョンラット、ダンジョンバットが出てくるようです。ただ、B1階に比べると1~2レベル高いレベルですね。あとたまにですがボーンゴーレムが〈剣術〉のスキルを持っていたりします。動きが格段に違うので注意が必要ですが……やっぱり遅いので何とでもなったりするのが悲しいところですが。


 そんな感じに探索を続けていると、通路の前方からボーンゴーレム2体1組が近づいてきました。



 ボーンゴーレム

 種族:人造生物

 レベル:13

 属性:-

 スキル:〈剣術〉


 ボーンゴーレム

 種族:人造生物

 レベル:16

 属性:-

 スキル:〈剣術〉



 両方ともスキル持ち、しかも1体は今まで見た中でも1番レベルが高い。


 足を止めて、身構えて相手が来るのを待ち構えます。


 けれど、その2体は途中で背を向けると通路を遠ざかっていきました。


 うーん?ボーンゴーレムって普通は通路を巡回していて、引き返すのは見たことなかったんですが、なんでしょうね?


 とは言っても通路はまっすぐにしか通じてないのでそのまま進みます。


 急に足元の床が抜けました。


 あっ。


 ああああああ、落とし穴!?


 ていうか、ここってさっきボーンゴーレムが2体、引き返したところじゃないですか。引き返したのってそういうこと!?


 こ、こういう時は、そうだ。〈ドラゴンクロー〉で穴の縁を掴んで落下を防ごう!


 と考えついた時には既に底まで落ちていました。


 結構な高さを落下したようです。着地した足がじんじん痛みます。幸いねんざとか骨折とかそういう状態異常は発生していないようです。


 まず最初に感じたのは、鼻が痛くなりそうな匂いでした。何でしょうね、この匂い。とにかく臭い、と感じられます。


 辺りを見回しました。かなり広い部屋のようです。


 キャラクターブックを開いて、地図を見てみます。自分の周囲以外は真っ黒。つまりこれは「まだ自分が足を踏み入れたことのない場所」を意味します。


 どうやら落とし穴に落ちて下の階に強制的に移動させられてしまったようですね。


 しかも周囲で何やら動く複数の気配が。


 何気にピンチですこれ?


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