82 魔王と会いました
結局、魔王とは西大島の北西にある島(東夷領)で会うことになった。
「やあ、会ってくれて感謝している。」
「東夷王イチローです。わざわざ東夷まで来ていただき、」
「いや、こちらがお願いしているのだ。足を運ぶのは当然。久しぶりに民の格好をして外を歩くのも楽しかったしな。
危険だからと言って、なかなか爺が出させてくれんのだ。」
「御家老が心配なさるのも当たり前ですよ。今回も、いつ猛虎王の手勢に見つかるかと思って冷や冷やしておりました。」
「猿(美猴)も心配性だからな。ハゲるぞ。」
「放っておいてください。ハゲて殿のお忍びが無くなるのならば、いくらでもはげましょうぞ。」
「ところで、同盟の話じゃがの。」
「ああ、シルヴァ殿か・・・東夷には戦だけの同盟ではなく、改革の協力者になって貰いたいのだ。」
「改革じゃと?どの様な改革をするつもりなのじゃ?」
「形だけ残った身分を壊す。今は、央華の民であるから、貴族だから、獣人ではないから、で税金も裁判も有利になっている。勝手に関所を設けて税金を取って、民を苦しめている。
これを俺は変えたい。法に則った公平な裁判に公平な税制を全てに行き渡らせる。央華がしている人治では、貴族だけが楽しみ、民は苦しむだけだ。
東夷や朱雀、白虎に玄武の民にも悪い話では無いと思う。」
「身分で無いとすると、人を何で評価するのじゃ?」
「金儲けだ。金儲けの上手いヤツ、すなわち多くの税金を納めるヤツが評価されるべきだと考えている。」
「奴隷はどうするのじゃ。」
「何もしない。というか、何もしなくても工業と商業が発達すれば、人を奴隷として扱うなんて勿体なくて、自然に無くなるさ。人は人として扱った方がより多く儲けてくれるもんだ。
猿も、俺が滅ぼした蝮王の所で奴隷をやっていた時よりも、今の方が俺に大きな利益を運んできてくれるぞ。」
「へえ。(たしか工業が発達したアメリカ北部と農業主体のアメリカ南部では奴隷の必要度が違っていたはず・・・でも、イギリスに対する保護貿易のため奴隷解放を行ったという話も聞くな~。この世界にイギリスにあたる様なところは有ったっけ?)」
「まあ、他の国に強制しようとは思っていないから。ただ、全ての民が読み書き計算が出来る東夷には凄く大きな利益があると思っている。」
「よかろう。詳細は後で詰めることにして、同盟を結ぶことにしよう。」
「(だから、シルヴィアさん、国王である私を放っておいて勝手に返事しないで下さい)」




