確かに対応すべきなのは私なんだろうけど……!重要案件なんだけど……!他に誰かいないの!?:3
紅い刃の原石剣と紅い爪の原石鉤が打ち合う。
質量も重さも原石鉤──タイタニアの方が上だが対するファルナは原石剣──ファランで全ての攻撃を捌いていく。
「悪いねファルナ……!私今日、大分温まってるから手加減とかできないよ……!」
「そう、手加減無しでそれなんだ」
オリンピアの一撃は風圧で壁を砕き、一閃で地面を揺らす。
だが、ファルナは体幹を崩す素振りすら見せない。
「馬鹿にするんじゃな──っ!?」
オリンピアが仰け反った。
突然空中から襲ってきた剣──煉瓦で出来た剣が彼女の頭にぶつかり、土埃が舞う。
オリンピアがファルナから大きく距離を離し、腹部を抑える。
傷が開いたか、はたまた切られたのか、先程より増えた出血が道に溢れた。
「鎖もなくて、弱くなってるのに余裕とか、無様ね」
ファルナの周囲を、地面から引き抜かれた煉瓦の剣が護衛し始める。
「……クソォォ!舐めるんじゃ──」
立ち上がったオリンピアの横から、さらにもう一撃が加わった。
大砲の砲撃のような音が響き、爆風がオリンピアを襲う。
「へ?」
ファルナすら驚き、突然乱入してきた人物を見つめる。
煙を上げる籠手を付け、紫色の髪をなびかせた、騎兵隊の制服を着た女性──
「隊長じゃん」
エドガーがぽつりと呟く。
カティア隊長がタイタニアで爆風を防御したオリンピアに距離を詰める。
そのまま彼女の腹部に、拳を一発叩き込む。
「グァっ……!」
籠手の引き金が引かれ、彼女の正面で爆風が舞った。
そのまま大きく吹き飛ばされたオリンピアは動かない。
「……原石武器持ちに手加減は要らんと思ったが」
少し焦ったような、確認するような口調。
「少々……やり過ぎてしまったか?」
オリンピアは起き上がらない。
「……レガリア、大丈夫か?」
私を支えるエドガーが顔を覗き込んでくる。
「うん……」
頭はぐらつき、吐き気もするが安心感で力が抜ける。
ちょっと前から、胸が苦しい。
上着を脱ぐと、ベコベコになった蒼鉄の胴当てが出てくる。
「うわ完全に曲がってるじゃん……お前、よく生きてるよな」
もう一つ、服の中の首飾りを引き出す。
昨日ファルナから貰った、小さな鉄のお守り。
それに鎖を付けて、首から下げられるようにした物。
「……はぁ」
お守りは、粉々に砕けてしまっていた。




