焦っても事は進まない、落ち着いてやりましょう:1
「例の巨人の目撃者はその少女の一件のみ、か」
時刻は昼下がり。
目の前にはイストサイン騎兵隊長にカティアが座り、私とエドガーの報告を聞いている 。
ここ隊長が指定したイストサインの屯所、昨日ファルナと模擬戦をしたテラス川に程近い建物だ。
狭い室内には4人、隊長にエドガー、腕を組んで話を聞くファルナ、そして私だ。
屯所の壁には壊れた支部から持ってきたコルクボードが架けられ、イストサイン騎兵達と隊長が纏めた『リーパーの連続殺人』の資料が貼ってある。
「エドガーにレガリア、出来る限りジルという少女から情報を引き出してくれ、負担にならない程度にな」
「了解です」
エドガーが答えた。
事件の方は既にイストサインの街で話題になり始めていた。
昨日の事件は被害者が多くかった。
夕刻、それも帰宅前の人通りの多い時間帯に酸を出す巨人が人を襲ったという情報は瞬く間に記者に拾われ、朝の一面を飾っていた。
「殺された者達から共通点が見えないな……」
コルクボードに貼られた資料を睨みながら隊長が呟く。
「最初の一件は至って普通のイストサインの住民4名だ。次は住人名簿に登録の無い不法移民1人、昨日被害に遭ったのは移民も住民も含めて10人……」
起こった場所もバラバラだ。イストサインの外れ、危険地帯サインエンド、その間を挟む通り。
「犯人像が掴めん、目的も見えてこないな……」
「……殺す事、が目的」
隊長の言葉を聞き、ファルナが発言した。
「何故そう思う?」
「リーパーは命を奪い取る殺人者、とロスが言ってたわ」
ファルナが続けるのは、数日前ロスが言及していたリーパーの情報。
「比喩って訳じゃ無いなら命を奪う行動が目的、グラドミスみたいに人を殺して力を発揮する原石武器を持ってるかもしれないわ」
「……あり得るな、相手が原石武器ならそういう事もあるか」




