確かに対応すべきなのは私なんだろうけど……!重要案件なんだけど……!他に誰かいないの!?:1
痛みは無い、手足も折れていない。
だが頭を強く打った。
脳震盪を起こしたようで視界がぐらつく。
「流石に効いた?頭打てばいいんだね?」
オリンピアが歩いてくる。手足の自由が効かない。
「前は油断したけどさ、私って結構強いんだよ?」
声のする方向へアガサを向けようとした。
「ダメ、それ禁止」
腕を衝撃が伝う。アガサが跳ね飛ばされていく。
原石糸で繋がっているので一定以上離れることはないが、少なくとも手元に無い。
「まだ戦う?負けを認めて私と一緒に来てくれないかな?」
襟を掴まれ持ち上げられた。
「……いやよ」
ただでさえ休日出勤中なのに、これ以上自由を奪われたくない。
「あーあ」
再び視界が空を舞う。
しばらく飛んだあと石畳に打ち付けられた。
立ち上がってみると、再び目の前にタイタニアが迫ってきた。
(使えるのは、糸だけ)
「ほらぁ!ほらぁ!どこまで避けられるんだぁ?」
オリンピアが鉤を振り回す、どの攻撃も一閃で建物一つは破壊できそうな雰囲気だ。
集中力が足りず、糸に意識を合わせられない。
大振りな攻撃をギリギリで躱しているものの攻撃に移れない。
(視界が揺れる……破壊力だけならグラドミスよりも上……!)
小柄な少女が振り回しているとは思えない巨大な鉤。
「ヒヒッ!驚かせてやるよ」
オリンピアがタイタニアを上段に構える。
(……今なら!)
隙が出来た、がら空きの胴に束ねた原石糸を叩きつける。
だが──
「──っ!?」
地面が揺れる。足元の感触がなくなる。
オリンピアが振り下ろした鉤がイストサインの石畳を粉砕し、隆起させていた。
そのまま、私は地面の下に埋もれた。
原石糸で重いレンガを除去し、石畳の大穴から体を出す。
「ちぇー、もう出てくるのかよ」
笑みを浮かべこちらを見ている。
「少しずつだけど、お前のことがわかってきたよ」
オリンピアは腹部を抑えていた。
「……もう、やめにしない?怪我してるよ」
私が叩きつけた原石糸はオリンピアの身体を切り裂いていた。
出血度合いを見るに内臓には届いていないだろうがこれ以上戦うと──
(殺してしまうかもしれない)
「やめるわけないじゃん、せっかく面白くなってきたんだし。それに」
オリンピアが周囲に目を向ける。
いつの間にか支部からは離れ、住宅の並ぶ通りに近付いてきている。
「お前は私を逃がせない」
オリンピアがタイタニアを周囲の家に叩きつける。
ガラスが割れ、住民の悲鳴が聞こえた。
「それに、私とロスもお前を逃がしたくない」




