そういえば、集合時間に間に合いそうにないな……隊長どうしてるかな……:1
(真っ黒な……漆黒鉄の銃?)
夜でもわかる、異質な黒い光沢を帯びた銃。
その銃を見た時、背筋に不吉な予感が走った。原石銃が私に警鐘を鳴らしているかのような強い悪寒。
(別の原石銃……?)
色こそ違うが直感でわかる。色鉄製の六連発の中型拳銃。
手に入れたとすれば──
(消えたと思ってた、最初の一本)
威力は嫌というほど知っている。
(流石にアレに撃たれるのはまずい)
照準から逃れるように身を躱そうとする。
その瞬間、大砲のような音が辺りに響き渡った。
グラドミスの持つ銃から出た、拳銃から発せられたとは思えない轟音。
その後感じたのは胸を貫いた異物感、そして熱さ。
「──がはっ……」
呼吸が出来ない、今まで感じた事のない痛みに意識を失いかけ、その場に膝をつく。
痛み出した左胸を触ると、溢れ出した血液が服を湿らせている。
(嘘だ……血が出てる)
人生初の経験だ。
「……成功だな」
声と足音、グラドミスが近づいてくる。
(私……死ぬの……?)
夢で見たあの感覚、あの恐怖感が現実にやってきた。
「まだ息があるのか」
(死にたくない)
原石の糸も周りには無い。もう何も私を守ってくれない。
「しぶとい女だ」
「……アンタにだけは……言われたくない」
私にはまだ意識がある。
(まだ負けてない)
原石銃に力を込める。至近距離からこの男に一撃を──同じ痛みを食らわせてやりたい。
銃を向けようとするが腕が持ち上がらない。
力が入っていないわけではない、何かが私を抑えている。
(何……これ……)
膝をついた私の腕に、脚に、黒い影達がが掴みかかってくる。
「誰か……」
痛みで朦朧とする意識の中、黒い影が私を覆っていった。




